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#2023年上半期Vtuber楽曲10選(歌ってみた動画編)阿斗乃真釣


今回も前回に引き続き、野良猫のユウ様の企画『 #2023年上半期Vtuber楽曲10選 』に参加してみました。

なお前回はVtuberのオリジナルソングで10選を選んでみましたので、今回は歌ってみた動画で10選を選んでいます。なので選曲基準は割と原曲との対比だったり、耳障りのよさだったりといったフワッとした部分が傾向としては多いかもしれません。

なお今回は迷ったあげく選外にした曲や関連楽曲も可能な限りコメント内に太字でリンクを突っ込んでます。
気になる方がいらっしゃいましたら、そちらもぜひ聞いてみてください。

ちなみに前回のオリジナルソングでの10選はこちら。
こちらは何故か、ややコミカル寄りの感が否めない10選になっております。



10選

【歌ってみた】水流のロック/葉加瀬冬雪(Cover)

この曲に関しては「よくこんな難曲に挑戦したな」という感想がなによりも先に立った、そんな歌ってみた動画です。

そもそもの原曲が、伴奏がピアノとドラムのみで水の流れと水しぶきとを表現するかのような非常にシンプルな作りであるがゆえに、歌唱のアクセントや音の強弱などによる表現力もまた歌い手に非常に求められる難曲だと私は思っているのですが、今回のこのにじさんじ所属、葉加瀬冬雪のカバーでは、歌い方がとても原曲に沿っていて、特に歌詞の8小節ごとの歌い終わりでのスタッカートの効いた跳ねるようなフレーズの切り方などに、原曲への丁寧なリスペクトを感じます。

それでいて彼女の透明感のある歌声が、原曲のせせらぎのような清冽さとは少し違う、水の柔らかさのようなものを感じさせてくれるのも好みです。


逆夢 / King Gnu 全部僕達の声

この歌ってみた動画をあえて一言で表すならば、まさに「にじさんじでしか出来ないバイキング」みたいな歌動画、でしょうか。

一見すると、にじさんじ所属のライバー中でも特に個性的な歌声の持ち主である緑仙町田ちま渡会雲雀ジョー・力一長尾景たちを、まとめてドカッと取り皿の上に取って持ってきたような感じの動画に見えるのですが、その色とりどりの歌声を上手く組み合わせることで、原曲のささやくような余韻のある美しさとはまた軸の違う、男女混声のハーモニーならではの鮮やかで美しい歌に仕上げてしまっているのが、まず凄いです。

またMVの構成も、原曲の耽美さをきっちりとリスペクトをしながら、その各小節ごとのメインボーカルにきっちりフォーカスを当てる丁寧な作りになっているのが、実に素晴らしいと思います。

Vtuber界隈ではおそらくこんな歌動画、今はにじさんじでしか作れない。
そう強く思わせられた動画でした。

なので、この楽曲に参加しているライバーについては、今期は他にも「Subtitle」「ジェヘナ」「」など色々とカッコいい歌動画を出しているのですが、あえて今回はこの曲を選んでいます。


劇団Cちゃん / covered by キョンシーのCiちゃん

こちらは今年の3月に突然の解散を迎えた、Vtuber界隈のラップ楽曲の第一人者とも言うべきバーチャルアンデッドユニット、BOOGEY VOXXのボーカルだったVtuber、キョンシーのCiちゃんの歌う、歌ってみた動画。

原曲はCeVIO AIの 音楽的同位体 狐子(COKO)で製作されている、可愛らしく涼やかな印象の楽曲なのですが、そんな楽曲も彼女が歌うと、やたら骨っぽくて、ひたすらカッコいい、まるで生き様を語る歌のように聞こえてくるのが個人的にとてもツボでした。

動画のコメント欄でも書かれていましたが「夢芝居なの 生きても 死んでもいない」という歌詞のフレーズといい、曲タイトルといい、実に何から何まで彼女にあつらえたようにぴったりな楽曲なのもまた面白いと思います。

選曲の妙、というのはこういうのを言うのかな、と思った動画です。


Blindness|月白 累 cover

こちらはVEEから2023年4月にデビューしたばかりのVtuber、月白累の歌ってみた動画。

原曲ではVocaloidが歌う、非常に高低差の激しい曲を歌いこなす彼女の音域の広さと透明感のある歌声や、「奇妙な病を患う少女」という「Vtuber月白累」自身の持つ設定をキチンと反映した選曲もさることながら。

ぱっと見だと一枚絵に見えるMVの中で細かく鳴動する光の演出や、「Blindness」という楽曲の歌詞が持つ「意図的な当て字の多彩さ」を生かすために、ノベルゲームのように無機質で視線の向けやすい歌詞の文字送りを採用する一方で、あえて感情の乏しさを演出するかのような「原曲には存在した歌詞のフリガナの削除」を行っていたりと、とにかく雰囲気作りに全振りしたかのようなMVが非常にカッコいいなと思いました。

彼女自身デビューからそれほど経っていないこともあって、彼女の歌動画も数はまだ多くは無いですが、「熱異常」「造花の雫」といった他の歌動画もそれぞれに雰囲気作りがしっかりしている曲とMVになっているので、芸術的、あるいは退廃的な雰囲気が好きな方には、是非見ていただければなと思います。



【バニー/すりぃ】津軽三味線と民謡声で 歌ってみた& 弾いてみた【三味線VTuber cover】

こちらはリズミカルな原曲とアレンジの津軽三味線の伴奏とが、だいぶ面白い化学変化をした感のあった、そんな歌ってみた動画。

津軽三味線Vtuber早紅夜による、津軽三味線演奏&民謡歌ってみた動画は、以前私のnoteでもレクイエムの歌ってみた動画についてご紹介させていただいたことがあるのですが、彼女の歌ってみた動画の中で、原曲と最も印象の違いがインパクトのある形で仕上がっている楽曲が、私の印象としてはこの歌ってみた動画だったので、今回はおススメしてみました。
軽やかに響く津軽三味線の音が魅力の面白い動画です。

余談ですが、逆に彼女のしっかりした民謡調歌唱とどっしりした津軽三味線を聞いてみたい方には、ゲーム「天穂のサクナヒメ」の楽曲「ヤナト田植唄・巫 ―かみなぎ― cover」なんかもお勧めです。

彼女のおかげで聞く機会が増えた津軽三味線ですが、色々と表現の幅が広い楽器だなと思います。


よくばり | 一条 × アルバ・セラ【歌ってみた】

こちらもまたアレンジで原曲と印象がガラッと変わった、歌ってみた動画。

原曲は作詞・作曲Ayaseで初音ミク歌唱の「クールで無機質な雰囲気を装う女性の強がっている心情を歌う失恋の曲」だと私は感じたのですが、そんな曲がVERSEⁿ 所属の歌姫Vtuberアルバ・セラと、イラストを担当している一条氏とのデュエットで歌われることによって何故か「情感のこもった一組の男女の、恋愛の終わりのワンシーンを切り取った曲」のような、別の仕上がりになっていたのが、なんというか聞いていて終始とても不思議な感じがしました。

アルバ・セラの高く艶やかな歌声と一条氏の低く響く歌声による、カッコいいけれど徐々に悲しさがクローズアップされていくこの歌動画、個人的にはMVの演出同様にドライブの時とかに聞きたい曲だなと思います。

あと、今期のアルバ・セラは「アイワナムチュー」や、「インザバックルーム」「first death」といった全く聞き心地の違う動画を多数上げているので、気になる方はそちらも聞いてみてください。


逆光のフリューゲル (Gyakko no Flugel) - 風鳴翼 × 天羽奏 // covered by 凪原涼菜×神崎茜

こちらはただひたすらカッコいい、そんな歌ってみた動画。

RIOT MUSIC所属の凪原涼菜神崎茜によるこの歌ってみた動画は、映像面はRIOT MUSICの歌ってみた動画でよく見るタイプの、美麗な一枚絵をひたすらメロディに合わせて拡大縮小したり、スライドしたり、暗転したり、光を調整したりという工夫で見せている感じの、言ってしまえば非常にシンプルな作りなのですが、この動画はそんなシンプルさが全く気にならないレベルで歌ウマ2人のハーモニーの完成度の高さが光る、そんなコラボ歌ってみた動画になっています。

ちなみにこの動画公開の数日後には、同じ2人組でいけないボーダーラインの歌ってみた動画も出ているのですが、そちらも非常にカッコいいハーモニーが聞けます。

どっちが好きかはぶっちゃけ曲の好みの差だと思うので、とりあえず気になった方は両方を聞いてみていただけると嬉しいです。


【Cover】ファイトソング(Eve) / 奏手イヅル

こちらは原曲のちょっとしたコミカルさもあるMVとは全く違うタイプの、いかにも終始悪そうな雰囲気のMVがとても印象的だった歌ってみた動画。

ホロスターズ所属の奏手イヅルの持つしゃがれた感じなのに艶のある唯一無二の歌声と、Eve氏の原曲との相性の良さもさることながら、イラスト上の彼の、闇に怪しく輝く瞳の演出をはじめとする、多数のイラストと細かいカット割り、膨大なエフェクトの数々がとてもカッコよく連なっていて、非常に魅力的な仕上がりの動画になっています。

ホロライブプロダクション系の歌ってみた動画は、時折物凄いクオリティの歌動画を出してきますが、イラストの変化だけでも疾走感を感じさせるこの動画は、その中でも割と映像的にも音楽的にも好きなタイプの動画でした。


Overdose - Kobo Kanaeru (Cover)

この動画に関しては完全にMVのクオリティと個人的な好みで選んでます。

「Overdose」という楽曲自体は昨年末に流行っていたこともあって、いろんなVtuberが既に多くの歌ってみた動画を出していて、私も大量に聞きましたし、なんなら昨年発表のローレン・イロアス栗山やんみ & 影。/かげまるの動画など、割と刺さった歌ってみた動画も多かった楽曲なのですが、今年発表の分ではこのhololive IDKobo Kanaeruの動画はMVと歌声が完全にツボでした。

日頃の突き抜けたような明るくやんちゃなキャラクターからは想像もつかないほどにクールな日本語での歌唱と、こちらもいかにもホロライブプロダクションっぽい、ギターのネックを持つ指まで動かすような凝った作りのMVは一見の価値ありかと思います。


強風オールバック / さくらみこ(Cover)

Vtuber界隈で歌ってみた動画を聞いていると、時折「この曲の代表的なVtuberカバー動画は、再生回数から見ても勢いからしても、圧倒的にこの人の歌ってみた動画だな」みたいな動画に遭遇することがあります。

例えばそれは私にとって、燦鳥ノムの「ドラマツルギー」だったり、HIMEHINAの「劣等上等」だったり、葛葉の「KING」だったり、ラプラス・ダークネスローレン・イロアスの「神っぽいな」だったり、星街すいせい町田ちまの「フォニィ」だったりと、それはまあ曲によって色々あるのですが。

2023年上半期に大きくヒットした「強風オールバック」という曲に関しては今のところ間違いなくホロライブ所属、さくらみこの歌ってみた動画がそれだな、と個人的には思っています。

その面白かったMV制作経緯等については、以前別のnoteにも書きましたが、なによりもまず楽曲と本人の声の親和性が非常に高い、妙に記憶に残るタイプのいい歌動画だと思います。

この記事を書いている時点で再生回数は800万回を超えていますが、果たしてどこまで伸びるでしょうか。


さて、こんな感じで10曲選んでみましたが、いかがだったでしょうか。

オリジナル曲の10選よりもはるかに選択肢が多くて、自分でも迷いに迷った印象の10選ではあるのですが、ぜひこのnoteを読んでくださった方に一人でも多く聞いていただければ、と思える曲を厳選したつもりでおりますので、良ければ是非一曲でも多く聞いていただければ、と思います。

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