各Vtuber運営会社の誹謗中傷への対応発表は所属Vtuberの盾となりうるのか
今日はあんまり読んでも面白くはならないかもしれない話を。
9月1日、いちから株式会社はプレスリリースで、「攻撃的行為及び誹謗中傷行為対策チーム」を設置しました、との発表を行いました。
そして9月8日に、カバー株式会社も「弊社所属タレントに対する迷惑行為・誹謗中傷への対応について」という発表を行いました。
この2つの発表はいずれも昨今問題となっている「ストーカー行為等の攻撃的行為やインターネット上での誹謗中傷行為から当社に所属するバーチャルライバー、タレント、当社従業員の権利を守る」(いちから株式会社プレスリリースより抜粋)というのがその目的と言えるかと思います。
実際この、誹謗中傷等への企業側の対応、というのは配信事業主関連では最近色々と注目を集めている項目で、日本でも有名どころではUUUM株式会社が、今年6月末に同様の取り組みを発表したのが一部界隈で話題となっていました。
今回の件で言うと、いちから株式会社の「対策チーム」の設立の流れはこのUUUM株式会社の取り組みと大筋が同じ印象です。「任天堂ゲーム配信許諾問題」の時の展開と似ていますので、いちから株式会社としての方針は、Youtubeでの大手配信事業者の法整備関連の流れに今後も追従していく、という見方が出来るような気がします。
ちなみにUUUM株式会社では、6月末の立ち上げから2ヶ月後の8月31日に専門チームの活動報告を公開しています。いちから株式会社も同様の流れを踏襲するのであれば、このような活動報告についても期待が出来るのではないかと思います。
続いて今度はカバー株式会社の発表について触れたいと思います。ネットでは両社とも対策に力を入れだした、という評価を多く見受けますが、こちらは正直な所、発表見ただけでは対策は「何もわかりません」でした。
というのも、いちから株式会社の発表が、「これからこの問題に対策チームを作って、社員やライバー、タレント保護としてこういうことに取り組みますよ」という、いわば予告だったことに対して、カバー株式会社の発表は「タレントへの嫌がらせがやまなかったから、会社としてIP アドレス開示請求をしたよ」という、いわゆる経過報告であったためです。
カバー株式会社の発表では、いちから株式会社のように「誰が」「どういう基準で」「誰を保護対象に」という対策・指針は一切明示されていません。責任者もわかりませんし、今後も同じ対応を継続していくのかどうかも今は一切わかりません。これまでに取っている措置はこれですよ、という現状の対応方針のみが今回は発表されたにとどまります。
先程のUUUM株式会社といちから株式会社のように「専門部署の設置による対策」は界隈としてはやっていくべき流れになっているのは間違いなさそうなので、カバー株式会社もいずれは専門チーム作成の方向に行くかもしれません。が、現時点では2社の取り組み方には大きな差があると言えるでしょう。
むろん、対応をきちんと企業で実行しているという点が大事な問題なので、専門チームの有無でどちらの取り組み方がより優れている、という話ではないよ、というところはこの記事を読まれた皆様にはご留意いただきたいところです。
それでもあえて今回の2社を比較し、共通した点を言うとすれば、両社とも「誹謗中傷専用の通報窓口の設置」を行ったことぐらいですが……。
こちらは勿論いいことではあるのでしょうが、どの程度の有効性があるのかという点は、正直な所微妙かな、と現時点で私は思っています。
その理由はこの各社の「REPORT」「通報窓口」という窓口の作りを見ればわかるのですが、両社とも通報するには「名前」「メールアドレス」「電話番号」と個人情報が必須項目とハードルが高くなっています。
そして、通報側がそこまで個人情報の提供をしても、窓口側の対応は「対応結果に関するご報告は、控えさせていただきますことをご承知おきください。」というスタンスです。
(カバー株式会社側は明記がありませんが、そもそも「対策チーム」のような専任者が明確でないので、おそらく報告を業務として取り扱う方はいないでしょうから、結果同じ対応だと思います。)
つまり個人情報と連絡先を開示する意味が、通報側にほとんどないんですね。むろん、「個人情報記入欄を作ったほうが、いたずらや嫌がらせの通報が減る」という企業側の利点は判りすぎるぐらい判るのですが。
また、この手の窓口を設置することは、割といろいろな形で一般企業もやっている事なのですけれども、窓口はあってもたとえば通報があった件数と対処した件数とかの実績を公開してるところはほぼなかったりするので、稼働の実態が非常に不透明です。
つまり、雑にかみ砕いて杞憂を言うと、個人情報まで提供して通報してもメール見てるかどうかもわからないし、もしかすると企業側の意図としては「こういう窓口があるんだぞ」と閲覧者に警告する以上の意味がない可能性すらあります。
こういう「もし」の杞憂話にあまり意味はないので、私はこの手の話が好きではないのですが、中小企業のホームページなどでは実は割と聞く話だったりするので、私はあまりこういう窓口を積極的に利用したことはありません。なので、こちらの窓口がどう活用されたかについても、今後の2社の発表等で何らか報告等があればいいな、と個人的には思っています。
と、ここまで2社の発表を受けた一視聴者の雑感を簡単に書かせていただきました。
いずれも昨今とくに誹謗中傷が酷くなってきているVtuber関連のインターネット各コンテンツ(掲示板、まとめ記事、切り抜き、twitter等)への企業方針を明確に示してくれたことは、一視聴者として非常に喜ばしいことだと思いました。今後もこの取り組みに関しては継続的に見守っていきたいと思います。
ただ、この手の記事はやっぱりどう頑張っても読んでて面白い記事にはなりそうにないなぁと、今回書いて改めて思ったので、次に同様の記事を書くかどうかは悩ましいところです。
<9/9 13:00追記>
直接関連のある話題かどうかは微妙なラインのですが……。
長らくVtuber関連ワード汚染(主にホロライブ、楠栞桜関連)が問題視されていたニコニコ大百科の「急上昇ワード」についても、9/10から仕様変更する旨が、9月8日にニコニコ大百科ブロマガ(仮)から発表されていたようですね。
効果は実際の運用状況を見ないと何とも言えませんが、これでVtuber関連話題における誹謗中傷の拡散が少しでも減ることを期待したいと思います。
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