突然の幕引き ~ピンキーポップヘップバーンのさいごのおはなし~
配信休止状態になっていることだけは知っていたけれど、今回の動画公開はあまりに唐突すぎて驚きました。
1/8、ピンキーポップヘップバーン、活動終了。
約3か月ぶりにUPされた約3分間の動画「さいごのおはなし」で、お別れの言葉を綴った彼女は、実にあっさりと次のステージに旅立っていきました。
2018年の年末に産声を上げた彼女は、当時Vtuberの中で平均動画再生回数が最も多く、当時すでにチャンネル登録者数が80万人を超えていたVtuber、輝夜月と同じMika PikazoデザインのVtuberということで注目を集め、デビューして半月程度でチャンネル登録者数が10万人突破するなどの華々しいスタートを飾ったVtuberでした。
輝夜月のプロジェクトの延長線上でのスタートではありましたが、デビュー当初からその活動は輝夜月とは経路が多少異なり、声が声優の平野綾に似ているとか、輝夜月と比べると胸のポリゴン数が足りないとか、アイドル部のもこ田めめめが好きだとか、とにかくいろいろなバラエティに富んだ話題で、動画や生配信、コラボやイベント、歌など幅広く活躍し、なんならゲームまで出るぐらい、すごくマルチな活動をしたVtuberでした。
現在もチャンネル登録者数はメインチャンネルで19.2万人、サブチャンネルで2.1万人と、多くのファンを抱えていました。
しかし、近年は先輩である輝夜月の活動頻度が激減、所属する株式会社VICもそのことについて特に動きを見せるわけでもなく、またピンキーポップヘップバーン自身も、動画から生配信へ、他事務所間コラボから自社事務所内コラボへ、そして広告収入からグッズ販売とスーパーチャットへ、と需要と形態が移り始めた企業系Vtuber界隈の変化の流れには上手くのれず、苦しい状況が続いていたように見えました。
そして2020年10月を最後に、動画投稿は途絶えてしまいます。twitterこそ動いていましたが、Vtuberとしては輝夜月同様に休眠状態に入っていた状態でした。
そして先日、1/8に動画投稿をするという予告がtwitterにUPされ、今回の活動終了報告という流れになりました。
そしてその引退理由も、本人曰く「次のやりたいことが出来て」ということが動画内で語られていましたが、詳細はあまり明らかになりませんでした。
しかし彼女の引退は、近年頻発している2016~2018年デビュー黎明期のVtuber達の引退と同様に、黎明期を支えた動画勢Vtuber配信者自身の衰退と、それを運営する企業の衰退を表しているように、私には思えました。
事実、Live2Dの普及とともにVtuberを同事務所で大量発生させるようになった2018年以前にデビューした、キズナアイ、ミライアカリ、富士葵などのソロを中心とした代表的な3Dの企業Vtuber達も、2020年には運営企業や所属レーベル等をそれぞれ変更しています。
もちろん某感染症等の影響もあるのでしょうが、3Dのモーショントラッキング技術さえ持っていれば、タレントとしてVtuber単体を運営して広告や案件収益を得られた時代は、いよいよ終わりを告げようとしているのではないでしょうか。
輝かしいデビューでVtuber業界を彩ったピンキーポップヘップバーンのその2年間の活動の終わりは、業界の時流の速さとその運営のVtuberプロデュース方針の違いから伸び幅がはっきりと分かれだした企業勢Vtuberを象徴するものだったのかもしれません。
最後になりますが、ピンキーポップヘップバーンの次に向かう「やりたいこと」が、どうか元気で明るく社交的な彼女がひときわ輝ける場であってほしいと、個人的には願うところです。