ホロアース「PROTOLIVE」が見せた、近未来エンタメの希望と課題

多数のタレントの誕生日や周年記念の度に3Dライブを見ているホロライブのファンにとって、この「プロトライブ」がどのように映ったのかは正直判りませんが、私としては、久しぶりにとてもワクワクするものを見たなぁ、と感じたライブでした。

12/26にカバー社が、自社コンテンツ「ホロアース」と、YouTubeのホロライブ公式チャンネルで同時中継を行った『【ホロアースライブ】AZKi × Mori Calliopeプロトライブ』。

システム検証的な意味合いの配信であるがゆえか、歌われた曲は全3曲と少なく、登場したタレントは、AZKiとMori Calliopeの2人だけという、ボリュームとしては少々物足りない3Dライブでしたが、その少なさに反して「面白そうな感じだなぁ」と「ここがこうなったらいいなぁ」という感慨は、多種多様に感じることが出来たライブだったように思います。



私の感じたその独特な視聴感を、ここで全部語るのは、読んでる人やライブをまだ見ていない人をうんざりさせてしまいそうなので、ここでは省略しますが。

とりあえず私が今回一番「面白そう」と感じたのは、
〇環境を揃えることが出来れば、ライブ会場に観客として入り込める
〇演者に対して、観客が非常に小さく設定されていて視聴の邪魔にならない
〇360度でタレントを視聴できる3Dライブ環境
〇観客がライブ中にリアクションをすることが出来る
これらの要素から生まれる「ライブの臨場感」が、予想していたよりもあったこと、でしょうか。

私の視聴環境はYouTubeからだったのですが、画面の中で無秩序に動く無機質な存在であるはずの、ただの三角形アバターの観客たちが、なんとなく「ちゃんと自分と一緒に同じコンテンツを楽しんでいる仲間のように見える」というのは、ちょっと新鮮な体験でした。

それは実際のライブを中継で見ているワクワク感に近いような気もしますし、それでいて、実際のライブを中継で見てる時に思う「現場の奴は生で見れていいなぁ」という嫉妬のような感じまではしない、というちょっと変わった感覚だったのですが……、この表現で何となく伝わりますでしょうか?

何にしても、ファンに新しい楽しみ方を提供する楽しいライブ、だったと思います。



もちろん今回の「プロトライブ」では、「ホロアースにログインできない人が続出」したり、「ライブを見る観客の位置が偏るので、観客が集まっていない場所が閑散として見える」「現行の3Dライブとして見た際に、演出の種類が少ない」「観客のライブ中のリアクションを邪魔に感じることがある」などの、誰もが分かるような課題も、数多く見受けられました。

また、何よりもホロアースに限らず、メタバース全般に言える事ですが「使用環境を整える費用が高額で参加しにくい」という根本的なコンテンツの敷居の高さ、という問題は確かにあります。

しかし、今回の「プロトライブ」は同時に、「一度メタバース空間を訪れた人が、再びメタバース空間を訪れたいと思うかどうか」という、現行のメタバースの多くが抱えている問題に対する答えとしての「メタバース内でしか得られない楽しみ方を提供する」コンテンツの片鱗を見せることが出来たのではないか?
そんな気がちょっとしています。


あと、余談っぽくなっちゃいますが、個人的には今回歌われた楽曲3曲がどれも好きでした。

1曲目は『ホロライブ・オルタナティブ』 1stティザーPVで歌われた、Mori Calliope「Dawn Blue 」。

2曲目は「星」や「変化」がテーマに含まれた、AZKiのオリジナル曲「canopus」。

3曲目は『ホロライブ・オルタナティブ』 2ndティザーPVで使用された楽曲「Story Time」を、AZKi × Mori Calliopeで。

どれもホロライブの未来像を楽しみにさせてくれる、疾走感のあるいい曲だと思います。どうでもいいことですが、初めて「Dawn Blue 」を聞いたあの頃からもう1年半以上経つと思うと、時の流れの早さを感じますね。


さて、とにもかくにも今回のライブは私にとって、Vtuberの配信を見て久しぶりに「技術のいち早い進歩」を願う気持ちになった、そんな配信でした。

次回がいつになるのかはわかりませんが、次の「ホロアースの3Dライブ」がどう進化するのか?が、今から非常に待ち遠しいです。

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