黄色い奴らの旅立ち ~さよなら、プニキ。さよなら、さはなくん。~
2020/12/16、ひときわ寒い今日この日は、黄色いあいつらが旅立つ日になりました。
その旅立つ一人目のあいつは、こちら。
「くまのプーさんのホームランダービー」
「Yahoo!きっずゲーム」等で提供されている、言わずと知れた子供向け無料ブラウザゲームなのですが、Wikipediaですら「難易度が非常に高いことで知られる」とまとめてしまうレベルの鬼畜難易度から、多くのVtuberがこれに挑み、そして敗れて来ました。
そんな気畜な彼も時代の流れには勝てず、ソフトウェアAdobe Flashの、2020年12月末での開発と提供の終了を受け、今日12/16のおそらく16時頃にゲームのサービス提供が終了されることになりました。
昨日はそんな彼との激闘を懐かしむ多くのVtuber達が、彼に挑み、そして再び散っていきました。
大体みんな最初は、これまでの激闘を振り返ったり、ちょっとエモい感じに配信がスタートするのですが、結局プレイが始まると、その理不尽なゲームの投球にみんな舌打ちをし始めるようになるのは、さすが鬼畜のプニキでした。
特に、2アーカイブ15時間を超える配信を行ったにじさんじ所属、樋口楓の激闘は、さすがに私も配信全部を追うことができなかったのですが、かつての耐久配信と、とても既視感のあるものでした。
余談ですが、昨晩の私の睡眠導入は、プーさんの打つ打球音と、樋口楓のリップノイズで、目覚ましの音は、樋口楓が七色の魔球を使うスペシャルステージの魔物クリストファー・ロビンことロビカスに放っている罵声だったことを、記録としてここに残しておきます。
他にも数々のVtuberが激闘のアーカイブを今週、大量生産していますので、興味がある方は、舌打ちと悲鳴を作業BGMにでもしながら、再生してみるのも良いかと思います。
とりあえず目についた直近のVtuber配信アーカイブを拾ってみたのですが、中にはクリストファー・ロビンに勝ってる人もいるみたいですね。すごい……。
この記事をアップした時点でまだプレイできるかどうかはわかりませんが、時間がある方は一度このゲームにチャレンジしてみて、Vtuberの面々がいかに頑張ってるか、体感してみるのも良いかなと思います。
そして、もう一人の今日旅立たれるかた。
さはなくん、です。
人によっては名前呼びの最後が「くん」だったり「ちゃん」だったり「くんちゃんさん」だったりする性別不詳なあたりから、ちょっと不思議な方です。私もこの記事書く時、どれにするかちょっと悩みました。
もっと言えば、なんなら初めて私が見た動画の彼の体は、3Dどころか総パーツ数を小学生でも数えられるレベルの2Dの生首でした。今日久しぶりにアーカイブを見返して、そのシュールさにちょっと笑ってしまったぐらいです。
さはなくんをご存じない方に簡単に説明すると、2017年デビューと、Vtuber界隈でもおそらく最古参のほうのVtuberさんで、雑談とゲーム実況をされていた方だったのですが。
特徴的なのは「バーチャルYouTuber好きのバーチャルYouTuber」を公言していらっしゃったことで、面白いVtuberを紹介したり、視聴者視点に近い発言や目線でいろんな配信をされていたのが、特に魅力の方だったと思います。
最近もこんな感じで定期的動画を上げてらっしゃったので、私は正直な所、旅立ちの日が来るなんてことは夢にも思わず、思いっきり油断していたのですが。
自身の3周年を迎えた翌日にあたる今日、12/16にtwitterで卒業を発表されていたのを朝発見して、かなり驚きました。
その卒業理由に「「バーチャルYouTubeを流行らせたかった」という目標をずいぶん前に達成したから」と「一身上の都合により活動を続けることが来年から困難になった」こと、等を挙げていらっしゃいましたが。
その理由がどちらかと言えば前向きだったことは良かったと思いますが、また一つ、個人勢Vtuberの火が消えてしまったことは寂しく思います。
特に今年は若菜レイなどをはじめとする、2017~2018初頭にデビューしたVtuber黎明期の配信者達の引退が散見されるようになってきました。
活動開始から3年という時間は学生が入学して卒業する期間としてぴったりだと思いこの日にしました。
さはなくんも、卒業ツイートの中でこう語っていますが、Vtuberにとっての3年間というものは、ある意味コンテンツとしてのVtuber活動で誰もが迎える大きな転換期、にあたるのかもしれないなと、この頃なんとなく思います。
特に何の根拠があるわけではないのですが。
動画勢中心で始まったVtuber文化が、生配信勢を中心とした文化に変わり、今また大手の事務所がVtuberのタレント化や、ライブ特化、バラエティ化といった知名度と資金力による社会認知度の向上を進めている一方で。
個人勢Vtuberは、極端に過激なことをすれば注目を集めることが出来た時代から、大手事務所と関係性の深い一部と元々他業種で知名度の高い個人勢Vtuberばかりが目立つ時代へと、流行が移り変わっているように感じます。
Vtuber黎明期という先の見えない暗い夜の世界で、キズナアイに代表される大きく輝く月や星々のような眩しい存在を見つめながら、空に舞った個人勢Vtuberという名のか細い光を放つ蛍たち。
少しずつ明るくなり始めたVtuber業界の今、企業勢ばかりが大量に輝く、まぶしすぎる朝焼けの光の中で、個人勢Vtuberという蛍はどこに飛べばいいのか。どこに行けばその淡い輝きを視聴者に見せることが出来るのか。
さはなくんが最後にUPした歌ってみた動画、「夜明けと蛍」を見ながら、ふとそんなことを思いました。
今日は私にとって、時代の移り変わりを感じさせる日のようです。