見出し画像

駄文:Vtuberファンが朱宮キキ達の悲劇を忘れるのはまだ早い ~引退を賭けてチャンネル登録者を増やす挑戦は、最終的に誰も幸せにならない件~

この記事については、日頃のnoteの趣旨とは少し違い、本当に衝動的に書いているので、いつも以上に上手く練れていない文章になっていますが、ご容赦いただけると助かります。

また、名前は出しませんが今回はとある方を批判する内容になりますので、そういうのが嫌な方はスルーして下さい。



先日、ちょっとしたきっかけで覗いたとあるVtuberさんの動画で、久しぶりに嫌なフレーズを目にしました。

そのVtuberさんについて、私は紹介をしたいと思いませんし、なんならそのVtuberさんを特定するための材料すら皆さんに提供したいと思わないので、今回、詳細はあえてフェイクを入れつつ極力特定できる記述を避けますが、その時、私が見たとあるVtuberさんは、配信内で下記のようなニュアンスのことを口にされていました。

「年内にチャンネル登録者〇〇〇〇〇人行かなかったら、活動をやめる」

実際の表現はもっとマイルドに匂わせるたぐいのフレーズで、ハッキリ「やめる」とは明言されていませんでしたが、視聴者側に「やめるかも?」という連想をさせるには十分なそのフレーズに、私は古傷に触れられるような思いがしました。

自分の頭に拳銃を突き付けて、自身の死の期限を予告し、客を脅す

そんなバカみたいな「人質商法」的な脅迫が、Vtuber界隈でいまだにまかり通ってよいと、あのVtuberさんは思っていたのでしょうか?


私はそのフレーズを目にしたその時に「そのVtuberさんは見ない」と決めたので、その後、そのVtuberさんがどうなるかは分かりません。

ですが、もし仮に今回目標を達成してうまく生き残って、再びどこかで巡り合うことがあったとしても、私がそのVtuberさんを応援することは、おそらく二度とないと思います。

久しぶりに、非常に嫌な気持ちになりました。


コンテンツ側自身が困っている、集客や売上といった業務ノルマをファンに肩代わりさせる、いわゆる「人質商法」というのは、オタクコンテンツでは時々見かける販売戦術ではあります。

例えば、「ファン投票が集まった上位〇人は出演、集まらなかったら落選」「CDが〇〇〇枚売れたら次回の楽曲製作決定」「〇〇〇人がコンサートに来なかったら罰ゲーム」するアイドルとか、「事前登録者数が〇〇万到達しないと特典として予告されている原作の誰某というキャラがGetできない」スマホゲームなどは、みんなどこかで目にしたことがあるのではないでしょうか?

ともすればそれにまつわる炎上騒動なども起こりうる商法ではありますが、販売戦術としては必ずしも間違っている、という訳ではありません。

Vtuberというコンテンツでも、広義の意味でとらえるならば、例えばよく見かける「チャンネル登録者数〇〇〇人まで歌う歌枠」などの耐久配信風企画は、目標の達成条件をファン側に委ねているので「人質商法」の一つだと言えるのかな?と思いますが、いずれの場合も、自分で広げた風呂敷を自身で必ず回収できる目算があって実行しているのであれば、それは有効な販売戦術だと言えると思います。


ただし、冒頭でお話ししたような、Vtuberの引退人質商法は、私は基本的にダメな戦術だと思っていて、その理由はパッと思いつくだけで3つあります。

1つ目は、引退人質商法で脅されているファンのうち、既にチャンネル登録をしている人は、ほぼ宣伝くらいしかできることがないこと。金銭で簡単に解決できる問題ではないので、熱心なファンほど出来ることがない、というのは、商売の方法として効率が物凄く悪いです。

2つ目は、ファン側のリスクが「引退という名の一つのコンテンツの消失」という大きいものなのに対して、新たにチャンネル登録した新規層以外の、熱心なファンが脅された結果得られるリターンは「現状維持+推しが喜ぶ」という、第三者から見れば意味があるんだかないんだかわからない程度のものであり、そもそものリスクとリターンが釣り合っていないこと。

3つ目は、先ほど少し書きました。「自分で広げた風呂敷を自身で必ず回収できる目算があって実行しているのであれば、それは有効」。
この点が、引退人質商法では成立していないことです。

サービスを提供する側が人質商法を使用し、仮に目標が未達成だった場合でも、目標に向かって頑張ってくれたファンには、何かしらの対価が払われていなければなりません。

例えば、スマホゲームなら人質商法の企画で獲得したゲームのアイテムなり、その後のサービス提供なりで報いることが出来るでしょう。アイドル活動だって、次のチャンスで頑張る切っ掛け作りなり、投票券がついていたCDなり、有形無形で何かしら残るものはあると思います。仮に目に見えるものが何もなくても、人質商法で得た顧客を維持するためにサービス提供側が新たに何かムーブメントを起こす以上、対価が全くゼロということは非常に考えにくいです。

しかし引退人質商法で実際に未達成でVtuberが引退した場合は、応援した熱心なファンほど一方的に傷つきます。そしてその時、本来その傷のケアをすべき加害者であるVtuberや運営は大半の場合、既に姿を消しているのです。

脅して、努力させて、その結果、熱心なファンを置いて逃げる。
私が引退人質商法を好きになれない理由は、ここに尽きると言えます。


そんなVtuberの引退人質商法は、過去に幾度となくありました。

その中で今回は、記事構成として以下は完全に蛇足かもしれませんが、私が印象に残っているVtuber3名のケースを、どうか同じ轍を踏まないで欲しい、忘れないで欲しい、という思いを込めてここで改めて紹介したいと思います。


1人目は朱宮キキ

2018年6月にtwitterが始動した彼女は、歌ってみた動画の投稿を中心とした活動の英語が堪能なVtuber。アーカイブは現在も残っているので、実際に聞いてもらえれば、その実力の程は伝わると思います。

当時のVtuber黎明期は、Vtuberの運営企業名は非公開であることが多く、彼女も所属先は不明でしたが、そんな所属先から「あと4本のカバーソング動画と、1本のオリジナル楽曲動画を投稿し、最後の動画投稿から1週間後にチャンネル登録者数が1万人に届いていなかった場合はVtuber引退」という発表が動画でなされたのは、2018年9月15日のこと。

タイムリミットは11月7日までの僅か53日間で、その上外部とのコラボ等は一切なし、その挑戦の発表時点で彼女のYouTube登録者数はまだ3ケタ後半と、当時のVtuberファンの誰が見ても、運営サイドの引退人質商法は無謀でプロデュースとして問題のある挑戦でした。

それでも、2018年頃のVtuber界隈の「Vtuberはみんな仲間」といった空気感と、朝ノ瑠璃ら他社Vtuberによる情報拡散、そして何より本人の歌唱力などで、チャンネル登録者数を急激に伸ばしていったのですが……。惜しくも最終的な数字は5千に届かず、本人は引退を迎えることになりました。

最後の配信で彼女が応援してくれたファンに残した願い、「もしも皆さんの周りに夢を叶えるために頑張っている人がいたら全力で応援してください、私の思いはその人たちに託します」という言葉は、4年経った今も私の中に複雑なものを残しているような気がします。

YouTube上での彼女の活動期間は約100日とあまりに短いものでしたが、彼女の歌動画が、今でも少しずつその再生回数を伸ばしているのを見ると、少しだけ嬉しくなるのは、まだ彼女の頑張りを覚えている人がいるからだと、そう思いたいところです。

蛇足ですが、そんな彼女のその後が気になっている方が、もしいらっしゃいましたら「何とは言いませんが」ネットの海を泳いでみることをおススメします、とだけ書いておこうと思います。



2人目は、葉邑ゆう(ゆーはむ)。
彼女は私が知るVtuberでは数少ない(というかほぼ唯一の)引退人質商法の成功者です。活動内容も特殊で、2018年8月のデビューの最初から、芸能人としての活動を期待されていた感のあったVtuberになります。

芸能人としての現在の所属先は大手芸能事務所のワタナベエンターテインメント。運営元も(現在は無くなってしまいましたが)株式会社ドワンゴとの合弁会社「株式会社ワタナベアマダクション」と、タレント的な活動をするVtuberとしては破格のデビューでした。

同じプロダクションのお笑い芸人さんとコラボをしたり、リアクション芸をしたり、漫才やコントをしたりと、あまり配信者感の無いいろんなバラエティ色の強い動画を出しており、のちにはライブ配信も行うようになります。

ちなみに彼女、既にデビュー時からググればある程度いろんな情報がネットに出ていました。私もお金かかってるなぁ、と思って彼女の動画とネット上の情報を見た覚えがあります。

そんな彼女が「3月31日までにチャンネル登録者数1万人いかないと消滅します」と発表したのは2019年3月7日。

発表当時のチャンネル登録者数はおよそ7000人。半年で7000人を集めた彼女が残り3000人を24日間で集めるという挑戦内容は、なかなかのハードルの高さでした。

個人的な印象で話をすれば、この時のVtuber界隈は、前述の朱宮キキの引退人質商法の未達成の影響や、2018年末頃からのいわゆる物申す系Vtuberの台頭などにより、Vtuber事務所全般にゴシップ的なうさん臭いイメージがついていた時期ということもあり、この彼女の引退人質商法にもVtuberファンは比較的冷ややかな目を向けていた印象がありましたが。

そんな中で彼女は、主にコラボ先や芸能人からのtwitterによる宣伝という方法で、3/24にチャンネル登録1万人を突破することに成功しました。

しかし、後に分かることなのですが、この達成時期近辺で、彼女の運営元の合弁会社「株式会社ワタナベアマダクション」が解散していたことが株式会社ドワンゴ関連の4月15日の官報で判明します。

また一度は達成したチャンネル登録者数1万人も、2019年5月頃には再び割り込むことになり、その後再びその数字を回復することは現在までありませんでした。YouTube上の活動も2019年7月を最後に更新が止まり、その後2021年ニコラジパーク等のタレント活動を最後に、現在は活動がみられなくなってしまいました。(2022年現在も事務所に登録はされています)

彼女の現在の登録者数は7千人弱。奇しくも引退人質商法を始める前ぐらいの数字が今も残っていることには、何か皮肉のようなものを感じます。



3人目はfairys(ふぇありす)。
今回ご紹介している3人の中で最も知名度が高く、チャンネル登録者数の多い個人勢Vtuberかなと思います。過去には天開司と共に一時期いちから株式会社(現ANYCOLOR株式会社)が運営していた「にじさんじネットワーク」に加入していたこともあります。

ポケモン関連の配信や、両声類(女声を出せる男性)として有名な方です。

彼は前述の2人とは違い、配信者である自分自身が引退人質商法を発信したのですが、2019年1月6日に発表した彼の発表内容は「YouTubeのチャンネル登録者数30万人を今年(2019年)中に達成しなければ、Vtuberを引退する」というものでした。(該当動画は現在非公開)

発表時点で彼のチャンネル登録者数はおよそ5万人。その当時にチャンネル登録者数が30万人に到達していたのはわずか8人と、かなり高いハードルだった彼の目標発表は、Vtuber界隈でも比較的大きな話題となりました。

「週6本動画投稿」という具体的な目標も込みの、自発的な発言であったこともあり、当初は好意的な意見も多かったように思います。

しかし、Vtuberの流行が動画勢からライブ配信勢に移行していった時期でのこの目標達成は、かなり難しいものがありました。

見通しが甘かったと言ってしまえばそれまでなのですが、しかしながら当時の彼は、非常にこまめな動画の投稿頻度に加え、2019年5月には当時Vtuber界隈では飛ぶ鳥を落とす勢いの「にじさんじ」関連のMCN(マルチチャンネルネットワーク)「にじさんじネットワーク」に1期生として加入するなど、チャンネル登録増加が見込める好材料が、彼の活動に多かったのも事実でした。

なので、彼の目標を甘いと安易に責めるのは正直酷かな?と思う部分もありました。

その後、彼は目標を発表した動画を非公開にしたことを一部ファンに責められたり、2019年の年末に彼が「にじさんじネットワークを救いたい」という動画を出したその4日後になんと「にじさんじネットワーク自体が解体になる」というまさかの展開を迎えるなどの不遇な出来事の果てに、2020年年始に「チャンネルプロデューサー兼居候のゆう君が、目標未達を実写動画で謝罪する」という結末を迎えることになります。

ちなみにその際のチャンネル登録者数は10万人を少し超えたあたりでした。
目標が30万だったので一見少なく見えますが、チャンネル登録者数倍増は、立派な数字だと思います。

今年は活動頻度が低い彼でしたが、また元気にポケモン配信してくれないかなと個人的には思います。


以上、人質商法の良くない所と、人質商法で幸せにならなかった2018~2019年頃のVtuberを3人ご紹介しました。

勢いに任せて書いたせいで、前半と後半で全く別のnoteのような、本当に読みにくい文章構成になっていることには申し訳ない気持ちになっておりますが。

どうか、この記事でVtuberの「チャンネル登録者が〇〇までに〇〇〇〇〇人行かなかったら、活動をやめる」という、これまで誰も幸せな結末を迎えていないと思われる人質商法の不毛さが、ひとりでも多くのVtuberとVtuberファンに伝わってくれたら嬉しいなと思います。




<参考にした記事>


いいなと思ったら応援しよう!