ひとりぼっちふたりへ捧ぐ――「エイリアンズ」と郊外の宇宙
わたしの家族はよく「うた」を贈りあう。
実家に帰ると、父は必ず毎回違うレコードを聴いている。
母は雑談の合間に、必ず「これ聴いてよ」とYouTubeやApple Musicの画面を差し出してきて、わたしにうたを聴かせてくれる。
弟とわたしが音楽談議をすることはまれだが、家族でもっとも音楽にくわしいかれの音楽の影響を、両親ともに濃厚に受けている。
何しろ、バブルの時代に「スティーリー・ダンを知っているのがお互いだけだったから」という理由で、恋に落ちて結婚した両親だ。
この家