090_39歳の誕生日は、バカと気づいた日
6月1日(月)
この日はボクの誕生日だった
最後に彼女と会った日、3月27日
この日、
お店で飲んでいるときに、
ボクの誕生日の話になって、
彼女は忘れないように、
スマホのスケジュールに入れていた
「こうして入れておいたら、忘れないんだ」
あの時の笑顔も、今では懐かしい。
昨日、
全ての真実を
知ってしまったボク
ただ、一つだけ、
気になることがあって、
今日、ボクの誕生日に、
LINEをしてくるのか、
LINEもしないのか、
1ヵ月以上、連絡がない中で、
Twitterを見られたとは気づいてない彼女は、
どうするのか、ボクは気になっていた。
午後になっても、
彼女からの連絡はなかった。
もう彼女から連絡はないかな。
彼氏がいるわけだし、
もう1ヵ月以上も連絡がきてないわけだし、
スケジュールを見ても、連絡しないか。
面倒なだけだもんな。
そんなことを思い、
時計の針は、
23時30分を過ぎたところ、
「今日、もしかして誕生日!?」
彼女からLINEが来た。
ボクは、一瞬びっくりした。
不意に彼女からのLINE。
彼氏がいることをわかっていても、
嬉しさがあったのは、正直なところだった。
けど、ボクが返せたLINEは
「うん、誕生日」
が精いっぱいだった。
後ろに彼氏がいるかもしれない。
彼氏に、
「太客なんだし、とりあえず送っておけば」くらい言われて、
送ってきたのかもしれない。
疑心暗鬼にもなるが、
事実かもしれない。
そんなことを考えていたら、
すぐに彼女から、
「お誕生日おめでとう」
「あんだけお祝いしてもらったのに、遅くなってごめんなさい」
「こんな状況でお祝いできなくて、悔しい」
とLINEがきた。
彼女からのLINEを読んで、
いつものボクなら、すぐに、
「ありがとう」
「こんな状況だから仕方ないよ」
「さやかから連絡をもらえてうれしいよ」
「元気にしてる?何やってたの?」
「コロナが落ち着いたら、ご飯行こうね」
「お店出るようになったら、ちゃんと教えてね」
彼女への溢れる想いを、
返していたに違いなかった。
けど、今は違う。
スマホをもつボクの手は、指は、
何も動かなかった。
何も動けなかった。
動かすことが怖かった。
何も思いつかなかった。
何て返したらいいか、
本当にわからなかった。
「ありがとう」だけ、
返すことはできたけど、
それさえも、
ボクは躊躇してしまった。
そんな数十秒の間を、
彼女は許してくれなかった。
きっと、いつものボクは、
すぐに返信していたから
今の彼女のスマホの画面は、
既読スルーになっていて、
きっと、ボクが、
ずっと連絡くれないことに拗ねたか、
誕生日の連絡が遅くて、拗ねたか
そう、彼女は思ったに違いない。
だから、面倒になったのか
「おやすみなさい」
ただただ、
事務的な連絡が届いた。
ボクのLINEは、
画面を開いたままだったから、
すぐに既読になったはず。
ボクは、変わらず、
何も返信することができなかった。
ボクは、ボクの中にいる自分に、
「これでいいんだ」と、
何回も繰り返し、叫んでいた。
昨日、衝撃のTwitterを見て、
昨晩は眠ることができなかった。
彼女との思い出が走馬灯のように、
頭の中を駆け回り、
彼女の後ろに、
ボクの知ってる男が立っていた
ボクが触れられなかった彼女を
そいつは、触れることができて、
それもなんだか悔しかった。
ただただ、彼女を信じて、
良い人を演じてしまった自分が
本当にバカだと思った。