4石目 雲出ずるは本より無心
朝、娘と手を繋いで歩く保育園までの道。
たった100メートルほどの道だが、娘との思い出がたくさん詰まった道だ。
3歳にとっては、まだこの距離は遠いようで、途中「だっこ〜」と短い手を伸ばしてきた。
逆に冬はフワフワした娘を抱っこしたくて「抱っこしようか」と私が手を伸ばすことが増えた。
手を繋いで保育園のお友達の話、今日みた夢の話、しりとりやクイズをしながら歩いた。
何もない時は、道すがら出会う四季の花や虫の話をよくしていた。
ある時保育園の先生から「⚪︎⚪︎ちゃん、よくお花の名前を知っていますね」と言われた時は嬉しかった。
縦割り保育で自主性を大事にする保育園のため、年長さんになった今では
リーダーとして、下の子のお世話をしたり、話し合いをまとめたり
毎日本当によく頑張っているようだ。
今朝の空、入道雲も勢いをなくし、モコモコとした雲がちぎれちぎれに浮かんでいた。
娘「ねぇ、みて。あの雲、赤ベコみたい。」
私「ほんとだねー。昨日そういえば、ママ掃除の時赤ベコ床に落としちゃったんだ」
娘「あぁ、だから死んじゃって雲になったんだね。」
この何気ない会話に娘の成長をすごく感じた。
「雲出ずるは本より無心」
わいてきた雲は風まかせで悠然としている。
保育園までの道、私は空を見上げ何も考えないことを意識している。
考えたい事、やりたい事ひとまずそれは置いといて
子どもに委ねる時間、それは自由でとてもリラックスできる時間。
あの小さな背中にランドセルを背負うまであと半年、
それまでこの100メートルにもっともっと娘との思い出を詰めていきたい。