現代詩 繭の中

忘れられた部屋の中で
溶けない雪の繭にすむ蚕が叫ぶ
イノチ!イノチ!
声が響くと 星に支えられた天井がゆっくりと降りてくる
繭に触れてはまた昇るのだが
イノチ!イノチ!と
響く声が星を射落とすので
天井はやがて繭を押し潰すと
予言する老婆に
僕はあまったるい愛を囁き
「予言」を取り消させると
繭の中からいっそう大きく響くのだ
イノチ!イノチ! いのちいのちいのち
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