三橋鷹女の句からその5
白露や死んでいく日も帯締めて
自らが息を引き取るときに着物を着て帯を締めた状態でいたいという願望がそのまま句に仕上がっている。
男はこんなことを考えもしない。病院のお仕着せのパジャマであろうと、お気に入りのシャツであろうと、死んでいくと時の服装などには注意が向かない。
それよりも、苦痛にのたうち回りたくないとか、男らしい死に方をしたいとか、女々しいやつだなどと思われないようにしようとか、どちらかと言えばかなり抽象的思考に囚われてしまうだろうと思う。
そういう意味では、この句はやはり女性にしか詠めない句のひとつだろう。
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