アレッサンドロ・ザナルディ
アレッサンドロ・ザナルディ
アレッサンドロ・ザナルディというイタリア人のレースドライバーがいるそうだ。ザナルディは、レース中の事故で両足を失うという重傷を負ったが心折れる事なく、退院後に直ちに義足を作りリハビリを開始した。
「あのレースの残りの周回を走ってみないか」という、当時のレース主催者の粋な計らいで、義足でレースカーを運転したのだが、ゆっくりした走りでは家族は喜ばないと考えたザナルディはコースを疾走した。そして、両足を失った事故のあのレースでも入賞できるのではないかというタイムをたたき出したそうです。やがて義足でレースに復帰し、世界ツーリングカー選手権に参戦した。
その後引退しパラリンピックを目指し、2012年にロンドンパラリンピックのイタリア代表に選ばれた。ザナルディは2種目で金メダルを獲得した。
優勝した後にBBCの取材にザナルディはこう語った。
「20歳の時なら、メダルに価値を感じていただろう。でも、40歳になると毎日積み重ねてきたことに価値を感じるよ。(中略)実現できない夢を追うべきじゃないのはもちろんだけど、もし地平線が見えるならやるべきだよ。幸せはいつも、コーナーを曲がった先にあるのだから」とコメントした。そして再びカーレースの世界に復帰したのだ。
上に記載したその時の言葉が泣かせるではないか。
「地平線が見えているのならやるべきだよ。幸せはいつも、コーナーを曲がった先にあるのだから」
いくつもあるコーナーは、レースドライバーには危険だがスリルに満ちた難所だろう。だが、私達のような普通の人間にも、人生の曲がり角はいくつもある。受験、恋愛、結婚、結婚、出産、子供の受験、昇進、降格、退職と枚挙に暇がない。レースにコーナーがない直線だけのレースがないように、人生にも曲がり角のない人生はない。「幸せはいつもコーナーを曲がった先にあるのだから」という彼の言葉は、人生をよりよく生きようと思う人には、大切で重要な示唆である。