三橋鷹女の句からその8

子を恋へり夏夜獣の如く醒め

子を思う情も、並の女性のそれではない。野獣のごとき母性本能なのである。息子にしても、ここまで偏愛されるのは、鬱陶しいことだったかもしれない。戦争が激化し、鷹女の生活環境にも、困窮の気配が色濃く表れてくる。


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