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趣味としての人工生命づくり 第7回 GPTに人工生命を作ってもらう

Chat GPTにソースコードを書いてもらう事ができると聞いてNetLogoのコードも書いてもらえるか試してみました。
NetLogoはここでダウンロードできます。

お題は以前書いた視神経が脳の視覚野に接続される方法についてです。

謎3 視神経の配列
目で光を感じる視神経は網膜に2次元上に配置されていて120万本もの神経の束が脳へとつながっています。脳の視覚中枢でも元の網膜と同じように平面状に神経がつながっているそうです。
目から伸びた神経が位置関係を保ったまま脳につながるのはどのような仕組みによっているのでしょうか?一つ一つの神経は自分の位置をどのように知るのでしょうか?
これは光ファイバーの両端の配列を揃えることの難しさを考えてみても驚異的なことです。

趣味としての人工生命づくり 第5回 生物の謎3つ
三共光学ホームページより https://www.sankyou-kogaku.co.jp/capability/basics/basic-26.html


まずChatGPTが視神経の発生について基礎知識を持っているか確認します。

発生上の過程でトポグラフィカルマッピングが行われる仕組みはどのようになっていますか

視覚系の発生過程でトポグラフィカルマッピングが行われる仕組みは、遺伝的指令、シグナル分子の働き、そして細胞間相互作用によって精密に制御されています。トポグラフィカルマッピングとは、網膜上の位置情報が脳の視覚野に正確に対応するように再現される過程を指します。このマッピングは発生初期から段階的に形成され、以下のような仕組みで進行します。
 1. 網膜での位置情報の確立
 1.1 網膜の発生と分化
- 網膜形成: 視覚系の発生は、外胚葉から眼胞が形成され、これが後に網膜に分化するところから始まります。網膜は光を感知する視桿体や錐体を含む複数の層で構成されます。
- 細胞分化と位置情報の設定: 網膜内では、神経節細胞などが分化し、細胞が特定の位置に配置されます。この配置は、後のトポグラフィカルマッピングの基盤となります。
2. 視神経の軸索誘導
2.1 ガイダンス分子の役割
- ガイダンス分子: 視神経の軸索が成長し、脳に向かう際、ガイダンス分子(例えば、Ephrinとその受容体Eph、ネトリン、セマフォリンなど)が軸索の方向を制御します。これらの分子は、網膜の特定の位置に対応する軸索が脳の対応する場所に到達するように誘導します。
- Ephrin-Ephシグナル: 特にEphrin-Ephシグナルは、網膜と視覚野のトポグラフィカルマッピングにおいて重要な役割を果たします。網膜上の特定の領域が視覚野内の特定の領域に対応するように、Ephrin-Eph相互作用によって軸索の伸長が調整されます。
2.2 視交叉と軸索の分岐
- 視交叉での軸索交差: 一部の視神経軸索は視交叉で交差し、反対側の脳半球に到達します。これにより、視野の左右の情報が適切に処理されます。この交差も、ガイダンス分子によって精密に制御されています。
3. 視覚野での位置情報の再現
3.1 トポグラフィカルマッピングの確立
- 視覚野の発生と組織化: 脳の視覚野(V1領域)は、網膜からの情報を受け取るために、発生過程で特定の構造を形成します。視覚野内では、網膜の上下左右の位置情報が二次元的にマッピングされます。
- 軸索投射の精密な配置: 網膜から視覚野に投射される軸索は、トポグラフィカルマッピングを維持するために、特定の順序で正確に配置されます。この配置は、先述のEphrin-Ephシグナルや他のガイダンス分子の働きによって達成されます。
3.2 経験による微調整
- 活動依存的なシナプス形成: 発生の後期には、網膜からの神経活動が視覚野でのシナプス形成に影響を与えます。視覚刺激のパターンが、視覚野内でのニューロンの結合を強化し、トポグラフィカルマッピングが精密に調整されます。
4. 遺伝子とシグナル経路の役割
4.1 主要な遺伝子
- Pax6: Pax6は、目の発生において重要な遺伝子で、視神経の発達や網膜の分化を制御します。Pax6の発現は、視覚システム全体の発生において基本的な位置情報を設定します。
- Ephrin/Eph遺伝子: Ephrinとその受容体であるEphは、視覚系のトポグラフィカルマッピングにおいて重要なガイダンス分子をコードしています。これらの遺伝子は、軸索誘導を制御し、網膜から視覚野への正確なマッピングを保証します。
4.2 シグナル経路
- Wntシグナル: Wntシグナルは、網膜の極性と視神経の発達に関与し、網膜上の位置情報が視覚野に正確に投影されるのを助けます。
- Sonic Hedgehog (Shh): Shhシグナルは、視神経の成長や分岐に影響を与え、トポグラフィカルマッピングの形成に寄与します。
まとめ
トポグラフィカルマッピングの形成は、網膜の発生と視神経の軸索誘導、そして視覚野での情報再現の過程を通じて行われます。このプロセスは、遺伝的指令とガイダンス分子の精密な相互作用によって制御され、発生段階から経験依存的なシナプス形成に至るまで、多層的に組織化されています。これにより、網膜上の位置情報が脳の視覚野に正確に対応するように再現され、視覚情報の正確な処理が可能になります。

ChatGPT出力結果

視神経が視覚野の正確な場所に誘導される過程をNetLogoでシミュレートできますか。できるだけ実際の過程に即した形でお願いします。

シミュレーションで視神経(軸索)が視覚野の正確な場所に誘導される過程を再現することは、NetLogoで可能です。以下のステップで、実際の生物学的プロセスに即した形でモデルを構築する方法を説明します。
1. 環境設定
- パッチ: 網膜と視覚野をモデル化するために、NetLogoのパッチを使用します。網膜は左側、視覚野は右側に配置し、それぞれが同じ二次元座標系を持つように設定します。
- タートル: 視神経の軸索をタートルで表現し、網膜から視覚野に向かって成長する過程をシミュレートします。
 2. ガイダンス分子の設定
- Ephrin-Ephシグナルのモデル化: ガイダンス分子として、EphrinとEph受容体をシミュレートします。Ephrin濃度を視覚野内のパッチに割り当て、それに応じて軸索が適切な方向に誘導されるようにします。

patches-own [ ephrin-level ]  ;; Ephrin濃度を示すプロパティ

初期設定: シミュレーション開始時に、視覚野のパッチに異なるEphrin濃度を設定します。

 to setup
  ca
  ask patches [ set ephrin-level random 100 ]  ;; ランダムに濃度を設定
  create-turtles number-of-axons [  ;; 軸索(タートル)を生成
    setxy random-xcor random-ycor
    set color blue
  ]
  reset-ticks
end

3. 軸索の成長と誘導
- 軸索の移動ルール: 軸索(タートル)が最適な濃度を持つパッチに向かって移動するように設定します。軸索は現在の位置と隣接するパッチのEphrin濃度を比較し、最も低い方向に進むようにします。

to move-axon
  ask turtles [
    let best-patch min-one-of neighbors [ [ ephrin-level ] of ? ]  ;; 最適な隣接パッチを選択
    face best-patch  ;; 最適なパッチに向かう
    fd 1  ;; 1ステップ進む
  ]
end

- 成長と終了条件: 軸索が視覚野の特定のエリア(目標地点)に到達したら成長を停止します。

 to check-goal
  ask turtles [
    if [ ephrin-level ] of patch-here < 10 [  ;; ゴールに到達
      die  ;; 成長終了
    ]
  ]
end

  4. 経験依存的な微調整
- シナプス強化: 視覚刺激が与えられた場合に、軸索が視覚野内で適切に再配置されるように、シナプス結合の強化をシミュレートします。この部分は、特定の条件下で軸索の位置が再調整されるように、学習アルゴリズムを導入して実装します。
 5. シミュレーションの実行
- モデルの実行: 軸索が視覚野の適切な場所に到達するまでシミュレーションを繰り返し実行し、結果を観察します。

to go
  move-axon
  check-goal
  tick
end

   まとめ
このシミュレーションでは、視神経の軸索が視覚野の適切な場所に誘導される過程を、NetLogoを使って基本的な形で再現します。生物学的なプロセスを忠実に再現するためには、軸索誘導の詳細なメカニズム(例えば、シナプス形成や軸索分岐など)をさらに追加することが考えられます。もし、このシミュレーションをさらに発展させたい場合や具体的な調整が必要な場合は、お知らせください。

ChatGPT出力結果

ここで出てきたソースコードをNetLogoに貼り付けます。
するとエラーが表示されたので、ChatGPTにエラーの内容を伝えます。

number-of-axonsが定義されていません。

number-of-axons が未定義のためエラーが発生していますね。これを解決するためには、シミュレーション内で生成する軸索(タートル)の数を指定するために number-of-axons 変数を定義します。

ChatGPT出力結果

出力されたコードをペーストしたところ、またエラーがでたのでChatGPTにエラーの内容を伝えます。

ephrin-levelが定義されていません。

ephrin-level を各パッチに定義するためには、patches-own を使ってパッチのプロパティとして ephrin-level を定義する必要があります。以下のようにコードを修正します。

ChatGPT出力結果

またまたエラーがでたのでChatGPTにエラーの内容を伝えます。

?が定義されていません

?はNetLogoの文法でよく使われるシンタックスの一つで、通常は省略記法として使用されます。しかし、ここではシンプルにコーディングした方がわかりやすいため、代わりに明示的に記述します。
以下のコードで ? を patch に置き換えました。

ChatGPT出力結果

またまたまたエラーがでたのでChatGPTにエラーの内容を伝えます。

PATCH expected 2 inputs, a number and a number.のエラーが出ました。

エラーメッセージは、patch プリミティブが特定の形式の入力を期待しているために発生しています。patch プリミティブは、座標を指定して特定のパッチを参照するために使用されますが、ここでは必要ありません。
neighbors は、タートルが現在位置しているパッチに隣接するすべてのパッチをリストとして返すので、そのまま min-one-of で最小の ephrin-level を持つパッチを選択できます。
以下のように修正します。

ChatGPT出力結果
globals [ number-of-axons ]  ;; グローバル変数として軸索の数を定義
patches-own [ ephrin-level ]  ;; 各パッチにEphrin濃度を表すプロパティを定義

to setup
  ca
  set number-of-axons 100  ;; 軸索の数を設定
  ask patches [ set ephrin-level random 100 ]  ;; Ephrin濃度をランダムに設定
  create-turtles number-of-axons [  ;; 軸索(タートル)を生成
    setxy random-xcor random-ycor
    set color blue
  ]
  reset-ticks
end

to move-axon
  ask turtles [
    let best-patch min-one-of neighbors [ ephrin-level ]  ;; 最適な隣接パッチを選択
    face best-patch  ;; 最適なパッチに向かう
    fd 1  ;; 1ステップ進む
  ]
end

to check-goal
  ask turtles [
    if [ ephrin-level ] of patch-here < 10 [  ;; ゴールに到達
      die  ;; 成長終了
    ]
  ]
end

to go
  move-axon
  check-goal
  tick
end

これでようやくエラーがでなくなったのでインターフェースタブに切り替えて[setup]ボタンと[go]ボタンを作ります。

+ボタンをおしてボタンを作成します
コマンドの部分にsetupと書き込みます
コマンドの部分にgoと書き込みフォーエバーにチェックを付けます

しかし、setupボタンを押して、goボタンを押して動かすと視神経がすぐに一番濃度が濃い部分に移動して終わってしまいました。
そこで次のように修正を依頼します。

左端から右端に視神経が移動するような形でお願いします。

視神経が左端から右端に向かって移動するシミュレーションを作成するには、軸索(タートル)が左端からスタートし、右端に向かって進むように設定します。また、ephrin-level を使って誘導されるようにします。
以下のコードでは、軸索が左端から生成され、右端に向かって成長するように設定します。

ChatGPT出力結果

ephrin-levelを可視化してください

ephrin-level を可視化するためには、パッチの色を ephrin-level に基づいて設定します。これにより、視覚的にパッチの濃度分布を確認できます。以下のコードでは、ephrin-level を色で表現するようにしています。

ChatGPT出力結果

その後もうまくイメージどおりに動かない部分をダメ出ししていきます。

左端に集合して移動しません。

ephrin-levelは上下軸で変化させるのではないですか

全てが濃い濃度に集まってしまい適切な場所に配置されません。

やはり同じように色の濃いところに集合します。

タートルにも目的とするエフェリン濃度を設定しないとだめではないですか

target-ephrin-levelをパッチのコンテキストで使用しています。

ephrin-level - target-ephrin-levelの部分についてtarget-ephrin-levelはパッチの中では使えません。

タートルの方からパッチの変数を取得する形にできませんか

target-ephrin-levelをパッチから取得できるように一度グローバル変数に入れてはどうでしょうか

軌跡を描くようにしてください。

タートルの軌跡を描くには、タートルが移動する過程でその位置を記録し、軌跡として可視化する方法があります。NetLogoでは、タートルが移動する際に、パスを描くための pendown と penup コマンドを使うことができます。以下のコードは、タートルが移動するたびにその軌跡を描くように設定しています。

ChatGPT出力結果

軌跡を描くための修正コード

globals [ number-of-axons ]  ;; グローバル変数として軸索の数を定義
patches-own [ ephrin-level target-ephrin-level ]  ;; 各パッチにEphrin濃度とターゲットEphrin濃度を定義
turtles-own [ ]  ;; タートルに特別な変数は設定しない

to setup
  ca
  set number-of-axons 100  ;; 軸索の数を設定
  
  ;; 上下軸でephrin-levelを均等に変化させる
  ask patches [
    set ephrin-level (pycor + max-pycor) / (2 * max-pycor) ;; 上下の範囲に基づいて均等に設定
    ;; ターゲット濃度も上下方向の中央値として設定
    set target-ephrin-level (max-pycor / 2) / (2 * max-pycor)
    ;; ephrin-level に基づいてパッチの色を設定(濃度が高いほど明るい緑に)
    set pcolor scale-color green ephrin-level 0 1
  ]
  
  create-turtles number-of-axons [  ;; 軸索(タートル)を生成
    setxy min-pxcor random-ycor  ;; 左端で生成
    set color blue
    pen-down  ;; 軌跡を描くためにペンを下げる
  ]
  
  reset-ticks
end

to move-axon
  ask turtles [
    ;; 周囲のパッチから、最も目的の濃度に近いものを選択
    let best-patch min-one-of neighbors [ abs (ephrin-level - [target-ephrin-level] of patch-at 0 0) ]
    face best-patch  ;; 最適なパッチに向かう
    fd 1  ;; 1ステップ進む
  ]
end

to check-goal
  ask turtles [
    if pxcor >= max-pxcor - 1 [  ;; 右端に到達(少し余裕を持たせる)
      pen-up  ;; 軌跡を描かないようにペンを上げる
      die  ;; 成長終了
    ]
  ]
end

to go
  move-axon
  check-goal
  tick
end

コードの説明
1. pen-down と pen-up の使用:
• setup プロシージャでタートルを生成する際に pen-down を設定して、タートルが移動する際に軌跡が描かれるようにします。
• check-goal プロシージャでタートルが右端に到達すると、pen-up を設定して、タートルが移動を停止した後の軌跡を描かないようにします。
2. 軌跡の描画:
• タートルが移動するたびにその位置が記録され、パスが描かれるようになります。これにより、タートルの移動経路が可視化されます。
この修正を加えることで、タートルの移動経路が可視化され、シミュレーションの結果がより直感的に理解できるようになります。シミュレーションを実行し、タートルの軌跡が正しく描かれているか確認してみてください。

ChatGPT出力結果

まだうまく動きませんが、ここまでできれば少しコードを直せば使えるようになりそうです。

すぐに思い通りのプログラムが得られるわけではありませんが、何度もやり取りを繰り返すことでイメージに近いプログラムが作成できそうです。私としては大きな可能性を感じることができました。

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