アセクシャルを自認するまでの経緯・学生編

私には恋愛感情がない。
正確に言えば、いままで27年間の人生で恋愛感情っぽい感情が湧いたことがない。

今のところアロマンティックアセクシャルを自認している。
“今のところ”というのは、アセクの人が、恋愛経験のある人によく言われる「まだいい人に出会ってないだけだよ〜」という言葉にイラっとしつつ、まぁ一理あると思っているからだ。

なぜアセクシャルを自認するに至ったか、言語化してみたくなったので記事にすることにした。

小学校

小学校でよくある「好きな子誰?」という会話。
「いない」と言うと、自分だけ隠してずるい、と言われるので、適当にそれっぽい同級生の男の子の名前を言っていた。
その後、中高大と10年女子校に通うことになる私にとって、唯一の共学の経験だが、小学生ながら小学校はあまり好きではなかった。
卒業式で、みんなが別れを惜しむ中、やっと小学校卒業できる!嬉しい!早く中学生になりたい!と思っていた。

中学・高校

私には思春期が来なかったように思う。
中学生になると、周りのみんなは嵐や、EXILEなどのファンになったり、アニメや漫画の登場人物に心酔したりしていたが、私には今でいうところの「推し」はいなかった。
1人の人物に執着し、その人の一挙一動に一喜一憂する感覚が当時の私には理解できなかった。

私も「推し」が欲しかったので、友達に勧められるまま『テニスの王子様』を全巻読んだり、嵐のライブDVDを見たりした。とても面白かったのに、推しはできなかった。

でも中高とも女子校で、みんな「推し」はいても彼氏はいなかったので、恋愛感情がないことも、恋愛経験がないことも、あまり気にすることはなかった。
誰と誰が付き合ったとか、別れたとかいった恋愛近況報告を聞かずに済み、快適だった。

その頃、おしゃれな人が毎日その日のコーディネートに載せるブログを読むのにハマっていた。その人が高校を卒業する時、高校3年間を振り返る記事を書いていたのだが、「恋愛に振り回された高校生活だった」というような内容だった。
失礼な話だが、私は恋愛に振り回される高校生活じゃなくてよかったと思った。

大学時代・前半

女子大に進学した。大規模なサークルに入ってたくさんの人と接したり、遠くのキャンパスに活動に行くのが面倒でインカレサークルには入らなかったので、相変わらず私の周りは女子ばっかりだった。
そのうち、中学から一緒で恋愛っ気のなかった友達には彼氏ができていたし、別の友達も好きな人ができて悩んだりしていた。大学で出会った友達は高校時代すでに恋愛経験があったりした。

周りのみんなには恋愛感情ってものがあったんだ、しかもその相手がいるってことはその相手にも恋愛感情があるんだ、本当に恋愛って現実世界に存在するんだ、と思った。


バイト先にはたくさん大学生がいて、みんな清潔感があって仕事もできるし、趣味も合うし、好きな人を作るには絶好の機会だったと思うが、恋愛はできなかった。
知り合い以上友達未満の“バイト先の同僚”以外の目で見ることはできなかった。
彼氏がいない私に、大学の友達は「バイト先に誰かいい人いないの」と聞いてきた。
「みんないい人だよ」と答えたら呆れた顔をされた。


みんなが彼氏と付き合ったり別れたりする話題は、正直つまらなかった。
みんなの“恋バナ”を聞きながら、毎週末デートに出かけたり、相手の返事ひとつに感情を振り回されて面倒くさそうだな、大変だなと思っていた。
友達の話を聞いていると、恋愛によって楽しんだり幸せを感じたりするのと、悲しんだり怒ったりするのを天秤にかけたとき、後者のようなネガテイブな感情になるシチュエーションの方が多いような気がした。
じゃあ恋愛をするメリットってなんなんだろう、そんな情緒不安定になるんだったらしない方がマシじゃないかと思った。

大学時代・後半

ゼミの先生がとても面白い人だった。男性と結婚している女性だったが、「いつか素敵な女性と出会ったらパートナーになりたい」と言っていた。
もちろん、浮気したいという意味ではない。今はヘテロセクシャルだが、自分も夫も、いつ変わるかわからないという考え方なのだ。
その先生は性別に関しても、「性別は2択ではない。全ての人の性別はグラデーションであり、流動的だ」という考え方だった。

この先生の話は、20歳を過ぎても彼氏はおろか、好きな人もできたことがない自分は何か欠陥があるのでは?と思っていた私にとっては、かなり衝撃的だった。
自分が思っているよりも世の中には色んな人がいることを知り、非常に救われた。

この頃に“LGBT”以外のセクシャルマイノリティの存在を知り、アセクシャルという言葉にたどり着いたのだと思うが、非常に残念なことにどんなきっかけでアセクシャルを知ったのか、覚えていない。
いつの間にか言葉は知っていたので、もしかしたら自分はそれかもな〜とうっすら思っていたが、まだ自認するには至らなかった。


社会人編へ続く

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