少年と白い老人
僕は10歳から14歳まで少年兵だった。
ある日、大人たちがやってきて、僕をコンゴレアメタルのNGO施設に連れてきた。部屋はきれいで、食べ物があって、僕と同じような子がたくさんいた。
昼間、僕らはサッカーをする。ちゃんとしたルールは知らないけど、みんなでボールを蹴って、グラウンドを走りまわる。みんな大声を上げ、笑い合う。読み書きも教わり、将来は自動車の整備工になりたいと思っている。でもそんなことあるのかな。僕は施設の敷地から出ない。べつに出ちゃいけない規則があるわけではない。
少年兵になった時のことを話そう。僕は家にいて、家族と夕食を食べていた。そこに兵隊が何人も入ってきて、父さんを銃の尻で何度も叩いた。父さんが血まみれになって床に倒れている時に、母さんは他の兵隊にレイプされていた。それから、僕に、母さんを銃の尻で叩けと言った。やらなければ母さんも僕も殺すと言ったので、僕は母さんを何度も何度も叩いた。
ジャングルの中で、僕みたいな子供はたくさんいた。軍は飯をくれた。それから、銃を持たせて歩かせた。行列の前の方を歩いている子供は弾除けだ。敵が撃ってくるとたまに死んだ。多少の娯楽はあった。銃弾の芯のところを集めてそれを吸う。すると酔っ払う。そのまま敵の方まで歩いて行って銃をぶっ放す。それと、みんなで村に行った。そこでしたことは話したくない。人を殺すと褒められた。
でも今いるのはここだ。それは僕もわかっている。僕の部屋の話をしよう。夜、僕の部屋には黒い髑髏がやってくる。壁を抜けて。次から次へと。部屋の床いっぱいに積み重なる。彼らは何も言わない。そうやって朝までそこにいて、それからまた朝、帰って行く。僕は黙っている。毎晩だ。
でも、ある夜、反対側の壁を抜けて、白っぽい老人がやってきた。
「ごめんなさい、ごめんなさい。許してください」彼は何度も何度も髑髏に謝っていた。それから、髑髏を連れて反対側の壁へ消えて行った。それで、その日から黒い髑髏が来なくなった。
あの人、誰だったんだろうなと思う。父さんに声が似ていたけど、父さんはあんな年寄りじゃない。
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