その種はいつの頃からかそこにあった。

大きくて黒くてとても重い。
いや、重いというのは正確ではないのかもしれない。
誰にも動かせないので、とてつもなく重いと言われているだけなのだ。

種はいつの頃からか、ただそこにあった。

村長がまだ小さかった頃から、
その時の村長がまだ小さかった頃から、
そのまたその前の村長が小さかった頃からも。

ある時、力自慢の旅人が種の話を耳にした。
「動かせたら村の英雄だろう」と、軽い気持ちで挑んだ旅人だったが、
次第にその挑戦は彼の人生そのもののようになっていった。
丸太を使って梃子の原理で動かそうとしてもびくともしない。

ついには「奇怪な種じゃ」と呟き、旅人は肩を落として村を後にした。

それから数日後、旅人が折りたたまれたような不自然な姿勢で発見される。
「種の祟りだ」
村人は恐れ、種を神聖視するための社を建てた。

それから、村長がまだ小さかった頃も、
その時の村長がまだ小さかった頃も、
種はそこにあった。

ある時、村に科学者がやってきた。
「この種の正体を解き明かしたい」と言う。

科学者の目は、恐ろしいほどに澄んでいた。
村長は戸惑いながらも、「種を傷つけない」という条件で調査を許可した。

社の中には、初めて見るような機械が次々と運び込まれた。
科学者は慎重に、少しずつ調査を進めた。

だが、最初に出された結論はこうだった。
「これは……種だ」

村人はずっこけた。
「そんなことは昔からわかっている!」

それでも科学者は続けた。
「この種の中には、何かが隠されているかもしれない」

やがて科学者は禁じられた行為に手を伸ばす。
――種に穴を開けようとしたのだ。

最初は手作業だったが、進展がないと見るや、
より強力な工具を手に取り、やがては機械で破壊を試みた。

大きな音に気付いた村人たちが社に駆け付けたとき、
科学者は奇妙な器具を握りしめていた。

「これは……必要だったんだ!」
科学者はそう叫んだが、種には傷一つついていなかった。

科学者は村から追い出された。
それから間もなく、彼は原因不明の病に倒れ、
痘瘡のような跡を全身に残したまま、自ら命を絶ったという。

村人たちは再び種を畏れ、社を守ることをさらに徹底した。

そうして今の村長が小さかった頃も、
その前の村長が小さかった頃も、
種はそこにあった。

時が流れ、ある日テレビ局が取材に訪れた。
「この村には『祟りの種』があると聞きました。特集を組みたいのです」

村長は考え込んだ。
村おこしになるかもしれない。
だが、村人たちは反対した。
「また種を狙われるだけだ!」

村長は村の未来のために決断した。
「社を観光名所にする」

社は修繕され、祭りが開かれた。
「種のおかげで村が救われた」という新たな伝説が語られるようになった。

「この種は、私たちの繁栄を象徴する存在なのです」
ガイドが笑顔で観光客に説明する。

村人たちは口々に言う。
「ご利益があったよ」

こうして種は、「飯の種」として知られるようになり、
村の繁栄とともにその姿を保ち続けた。


昔思いついて書いたやつをChat GPTでブラッシュアップしてもらってみた。こういうのはショートショートっていうのかな?

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zacky
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