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家庭では買わない順!パティシエのマニアック道具4選

はじめに

専門的な職種のマニアックな道具って面白くないですか?

テレビで見かけた桶職人さんがその大きさの桶の曲線を削る為だけに使っている曲がったカンナとか、宮大工さんが使っている古代から続く不思議な形のノミとか。

そういうの見るの、わたしは大好きです。

その仕事の為だけに作られた道具には、一つの仕事について研ぎ澄まされた技術や、仕事の哲学まで表現されているような魅力を感じます。

色んな業界のそういう道具を見てみたいと思っているので、まずは自分が書いてみようと思いました。

想定している読者はお菓子作りに興味のある方と変な道具が好きな方です。
お楽しみいただければ幸いです。


1,ストーンローラー(アーモンドローラー)

主にナッツ類を粉砕するための西洋式石臼。
粉砕を重ねるとペーストにもなる。
プラリネ(スニッカーズの中身みたいなやつ)を作る時などに使う。

挽きたてのナッツは圧倒的な香り!!
食べる前から絶品であることを約束してくれます。
アーモンドプードルやマジパンを手作りするのも夢じゃない!

家庭ではお薦めしない点

デカい、高い、使わないの三拍子そろった一品。
自宅で炭酸水を作る機械とかそんなレベルじゃない。
完全に商業用っていうかいっそ工業用って感じだけど、こだわりの個人店とかなら稀に使っている。

株式会社明和エンジニアーズ アーモンドローラー 破砕・粉砕装置 | 製品・サービス詳細 | FOOD TOWN (food-town.jp)

ピーナッツバターならジュースミキサーで作れるらしいです。
出典
ピーナッツバターの作り方(無糖、有糖、クランチ、薄皮入り)【人気レシピ】 | ピーナツ専門店の鈴市 (suzuichi-s.co.jp)

ナッツは種類によってめちゃくちゃ固くて故障の元なのでご家庭のミキサーが対応しているかどうか確認してから挑戦してください。
ナッツの粉砕ができると明言しているミキサーもあります。

家庭では買えないけど、やっぱり引き立てのナッツの香りは抜群に良いんですよね~!

2,ギッターカッター

チョコレート用のカッターというかスライサー。
均等に平たく伸ばした生チョコやプラリネを作業台の上に置いて、
ピアノ線で一気に切る!
平たくて巨大なエッグスライサーのようなもの。
お店の生チョコは大体これで切っているか、技術のある職人が良い包丁を使って正確に切っているかのどちらかでしょう。

見た目も楽器のハープを連想させる美しさ!
お店のような洗練された生チョコを一度にたくさん作れます!
ピアノ線が作るうつくしい断面をみたらギッターのトリコになること間違いなし!

家庭ではお薦めしない点

重い。
邪魔。
掃除が大変。

家には要らないけど、切るところが気持ちいいのでぜひ見てください。
↓実演動画。


わたしが使っていたのはもっと大きかったし、一方向からしか切れなかったし、ガイドもついていなかったので新鮮な驚きがありました。
ずっと見ていられる。

機能も見た目もとても楽しい素敵な道具!
ピアノ線や、ピアノ線の留め具を壊さない硬さの物なら何でも切れます。
バナナとかようかんとか。
案外製菓業界以外でも似たような道具はありそうな気がします。

大量に出る切れ端は試食しましょう。

3,メッシュローラー

そろそろ現実的に買えるものを選びました。

アップルパイに乗っている網を切る専用のカッター。
パイ生地の上で一回転がすと、網目がきれいに作れる。

憧れの"あの網目”が再現できる魔法のような道具!
価格も安いものは一千円以下から、
本格的な物でも一万円未満とお求めやすいお値段です!

家庭ではお薦めしない点

他の出番がなさすぎる。
洗いにくすぎる。
しまう場所どうすんだ。

個人的には便利道具というよりマニアック道具。
見た目よりも厚みがあるので台所の引き出しに入れると邪魔です。

本格的な趣味という方はあってもいいかもしれませんが、室温の問題でめちゃくちゃ慣れた人じゃないと難しいんじゃないかな。
機能的に作れるのと、技術的に作れのるのは別の話なので。

寒い方が良いので挑戦するなら冬場が失敗しにくいと思います。
パイ生地を伸ばす → 切る前によく冷やす → 一回で切り切る → 網を広げる前にもう一度冷やす → 冷えたら広げながらパイに乗せる
って感じにこまめに冷やすと失敗しにくいはず。慣れたら冷える前にできるようになるかもしれません。
打ち粉は必須です。
パイ生地を薄くし過ぎないのも大事。
網目状になるってことは強度が落ちるってことなので。

室温が低く、よく冷えて打ち粉をした石製伸し台の上がベスト環境だと思います。
ふつうないと思うので、せめてまな板の上が良いでしょう。
金属の上よりは木やプラスチックの上の方が熱伝導率が低いので低温が保たれます。

網状のパイ生地の扱いが難しいとはいえ使いこなせたらかなり面白いかも!
パイ生地以外でも、クッキー生地とかパン生地とかであの網目を作れるのはやっぱり魅力的です。
暑さと厚みのコントロールで成功率を上げましょう。

プラスチック製もありますが、本気で欲しいなら金属製です。
パイ生地は一回切りそこなったら元には戻りません。
切れ味重視で選びたいですね。

この手のローラーカッターあるあるで、オーブンシートの上で切ったらシートごと切れる場合があります。
異物混入に注意。

4,カーレックス

スプレータイプの油。
カーレックス以外にもセパレなどが有名。なぜかみんな商品名で呼ぶ。
「焼き型に刷毛でバターを塗ります」×100回なんてやっていられないのでスプレーする。
超早い。便利。好き。


ケーキやパンを焼く時の型に油を塗るの、ちょっとひと手間ですよね?
これを使えば面倒な油塗が一瞬で完了!
圧倒的速さでコスト削減!
快適な使い心地!

家庭ではお薦めしない点

個人的には火災リスクが気になる。
周りが油っぽくなる。

現場でも小麦粉とか砂糖とかが入っていた袋 ↓

こういう茶袋を解体して敷きますが、数が多いのでその場の空気ごと油っぽくなる。

フライパンに一瞬吹きかけるくらいなら大丈夫かな?
器からはみ出したり、空中でスプレーすると空気中に散った油がフローリングに落ちてめちゃくちゃ滑ります。
せめてシンクの中でスプレーする方がマシでしょう。
壁とか換気扇とかは汚れますが、けが人は出ないので。

缶の中身が油とガス(スプレー用)っていう火気厳禁の権化みたいなものなので一般家庭にはどうなんだろ?と思ってレビューを読んだら結構家庭でも使われていた。
冗談抜きで気を付けて使ってください。

現場では本当に便利で、現役時代は毎日感謝しながら使いました。
諸問題をクリアできたらめちゃくちゃ便利な一品です。

おわりに

以上、いかがでしたか?

上記4点はわたしが
「家にあったらめちゃくちゃテンション上がるけど買わないな~」
と思う順番でご紹介しました。

後ろ2つはもしかしたら「こういうの探してた!」って方が居るもかもしれませんね。

一応ぜんぶ物理的には家庭に入るサイズの道具を選びました。(ひとつめは洗濯機くらいありますが)
大きさの問題を入れていいならパイシーターとか、30コートミキサーとかも入れたいですが、あまりにも現実的じゃないので外しています。


読んだ方が #業界マニアック道具  の紹介してくれる日が来るとわたしが嬉しいです。

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