『未成年~未熟な俺たちは不器用に進行中~』の劇判に関する軽い考察(~ラヴェルの『マ・メール・ロワ』に端を発して)
ドラマ「未成年~未熟な俺たちは不器用に進行中~」の2話。
「水の音」の映画を蛭川と水無瀬が2人で見るシーンのBGM。
ラヴェルの「マ・メール・ロワ」の1曲目「眠りの森のパヴァーヌ」をピアノで弾いたものと雰囲気が似てるような気がして仕方がない。
聴き比べると、同じとか似てるフレーズがある訳でも無いし、調も違うし、全く別の曲で、劇判の方は同じフレーズを繰り返してる曲なんだけど、何て言うか…聴いたときに感じる曲の雰囲気が同じなんだよね。
「マ・メール・ロワ」の中の「眠りの森のパヴァーヌ」のピアノ版を聞いてると、未成年の「水の音」のシーンのBGM?と思うくらい、水無瀬と蛭川が映画を見ているシーンが浮かんでくる。
「マ・メール・ロワ」は5曲の組曲で、フランス語のタイトルは「マザーグース」の意味。
管弦楽で演奏するver.も、ピアノver.もあって(ラヴェルは初めにピアノ曲として作っている)、ピアノver.も、1人で弾くver.も、2人で連弾するver.もあって、YouTubeで検索すると色々出てくるんだけど、ドラマの雰囲気に一番近いのは↓の演奏かもしれない。
因みに、「マ・メール・ロワ」のピアノ版を漁っていたら、↓の2人の連弾動画を見つけた。(この動画は、「マ・メール・ロワ」5曲全部を弾いているものです。お時間がある方は、是非ラストまでどうぞ。)
演奏も素敵だけど、演奏してる2人の雰囲気が…もう目の保養でしかない💦
弾いているのは、オランダの兄弟ピアニスト。
ルーカス・ユッセン(1993年生まれ)とアルトゥール・ユッセン(1996年生まれ)。
以下、ググって見つけた彼らの説明。
<ユッセン兄弟は、オランダで高い人気を誇るピアニスト。 兄ルーカス(1993生)と弟アルトゥール(1996生)は、少年時代からピリスの“秘蔵っ子”として注目され、現在では国内外でオーケストラとの共演も増えている。 彼らのリサイタルは、連弾・2台ピアノ・ソロという3つの演奏形態で披露されるのが特徴だ。>
…と、これは「曲の雰囲気が似てる!」ということを書く為の記事ではなくて、曲の雰囲気が似てると感じるのは、もしかして意図的なものだったりして?と思ったから。
「未成年」の最終回、蛭川が水無瀬の手紙を元に作った映画の試写会シーンで、映画のBGMに使われているのは、ドビュッシーの「月の光」。
↓は、サンソン・フランソワというピアニストの演奏。
色んな人が演奏してるけど、蛭川の映画のBGMに使われた部分(曲の真ん中あたり?)の音源に一番近そうな弾き方を選んでみました。
フランソワは、全体的にテンポが速めの演奏。
因みに、↓はアレクシス・ワイセンベルクの演奏。
「未成年」の作品の雰囲気に近いかなと思ったので載せておきます。
↓は、反田恭平さんの演奏。
此方も「未成年」の作品の雰囲気に近い感じがしたので。
と、ドビュッシーの「月の光」を載せたんですが、
「未成年」の劇判を担当したのは、遠藤浩二さんという方で、wikiで調べたら、劇判のキャリアが長く、色々なドラマの劇判を手掛けておられて、「未成年」の劇判の雰囲気のような曲とは全く違う雰囲気の曲も多く、遠藤さんカラーというより、其々のドラマのカラーに合わせた劇判を作っている印象。
(遠藤さん劇判をそんなに知ってる訳ではないんですが、手掛けたドラマ群を見て、自分が知っているドラマの劇判の雰囲気からの印象ですが)
で、思ったのは…「未成年」の劇判、遠藤さん的には、ラヴェルやドビュッシーの世界観にインスパイアされたものなのではないかと。
(長い説明になりましたが、これが言いたかった💦)
「未成年」のドラマを見始めた頃、このドラマは叙情詩的?と感じました。
蛭川と水無瀬の心情や関係性を台詞等で直接的に語るのではなくて、2人の表情やキスシーン等の言葉ではないもので表現しているドラマ。
論理的に理解するのではなく、雰囲気で感じるドラマ。
そんな印象。
ハッキリとしたものではなく、少し曖昧。
その曖昧さが漂う感じ…
ラヴェルやドビュッシーは、音楽史で印象派と呼ばれている作曲家。
絵画だと、睡蓮を描いたクロード・モネが印象派として有名ですが。(絵画は門外漢なので、もっと適当な例があったらごめんなさい)
「未成年」の劇判は、担当された遠藤浩二さんのイメージから生まれたのか、それとも柴田監督が、ラヴェルやドビュッシー的な印象派的なイメージでドラマを作りたくて、それに合わせて遠藤さんが作られたのかは分からないですが、
私が感じたドラマの映像や描写から感じた叙情詩的な雰囲気は、ラヴェルやドビュッシーの印象派的な世界観から生まれたのかも…と、何となくそんな気がしてならないんです。
🌿🌿🌿
ここからは、ドラマから離れて、ラヴェルのピアノ曲を載せていきながらの話を。
殆ど、私の興味・関心の範疇でしかないので、
もし、ご興味のある方がいたらお付き合い下さいませ💦
「マ・メール・ロワ」の中で私が一番好きな終曲「妖精の園」。
演奏は、マルタ・アルゲリッチ&ミハイル・プレトニョフのピアノ連弾です。
マルタ・アルゲリッチというと、ショパンコンクールで優勝した時の賛否を醸した演奏やアグレッシブなイメージが強かったのですが、今回色々聴いていて、彼女のラヴェルの弾き方…ちょっと意外でした。
因みに、YouTubeでラヴェルを検索していたら、サムネイルを海の画像にしているチャンネルがありました。
やっぱりラヴェルと言えば「水」のイメージなんでしょうか。
ドラマのテーマでもある「水」。
↓はラヴェルの「水の戯れ」。演奏は、パスカル・ロジェ。
同じく、ロジェの演奏で、ラヴェルの『夜のガスパール』も。
此方にも水をモチーフにした曲があります。
『夜のガスパール』は3曲の組曲。
1水の精
2絞首台
3スカルボ
1曲目の「水の精」は私の好きな曲。
2曲目は鬱になりそうな曲ですが💦
ロジェの「水の精」、やわらかい水のような印象を持ちました。
此方は、アルゲリッチの『夜のガスパール』
鮮やかな音で、キラキラした感じ。光が反射してるような?
ロジェの演奏とは少し雰囲気が違う。
因みに、真偽のほどは分かりませんが、ラヴェルは同性愛者(ゲイ)だったという説があるようで。
ベンジャミン・イヴリーという人が書いた「モーリス・ラヴェル ある生涯」という著書にその説が書かれているようです。(私は未読)
ただ、色々検索してみると、ゲイ説を覆すような女性関係のエピソードがあったり、夜の女性達との付き合いもあったようで、真偽のほどは不明。
↑の記事によると、ロザンタールというラヴェルの弟子の著書「ラヴェル その素顔と音楽論」では、同性愛者説を覆すエピソードが書いてあるらしい… (此方も未読。)
両方とも読んでいないのと、元々そんなにラヴェル自身のことを知らなかったのでよく分かりませんが、ラヴェルは生涯独身だったそう。
お洒落だったそうで、外出時にお化粧をしていたとか、亡くなった時も、化粧台の上には綺麗に香水の瓶が並べられていたとか、とても繊細で神経質な人で心のうちを誰にも明かさなかったとか、調べれば調べるほど、謎に包まれているようなラヴェル。
でも、謎だから良いのかもしれませんね。
ラヴェルの曲も、想像力を掻き立てられるものが多いです。
最後、私が一番大好きなラヴェルの曲「亡き王女の為のパヴァーヌ」で、終わりたいと思います。
演奏はどちらも、ウラディーミル・アシュケナージ。
何故2つも載せてるのかというと、下の動画…多分ですが、実際に私が聴きに行った時のもののような気がするからです💦
当時、来日したアシュケナージのコンサートに行ったのは確かで、場所もこのホールで…でも果たしてこの日に行っていたかは記憶が定かじゃないんですけど💦
にしても、↓の動画、著作権関係が大丈夫なものなのか、よく分からない状態で載せてます…😓
万が一、削除該当の動画だったら大変申し訳ありません…🙇
「未成年」の劇判の話だったのに、ラヴェルを調べているうちに、つい色々書きたくなり、殆ど何の記事か分からなくなってしまいましたが…
私の趣味にお付き合い頂いてお読み下さった方、ありがとうございました✨