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“石の拳”レオナ・ペタスの今こそ! 20200322KO勝利インタビュー

LARA column series.4 20200325 加藤玲於奈編

“石の拳”レオナ・ペタスの今こそ!

文責:LARA TOKYO

2020年3月22日、さいたまスーパーアリーナ、K-1実行委員会主催「K'FESTA.3」で、難敵、村越優汰に第3ラウンド2分33秒、KO勝利した当ジム所属、レオナ・ペタスの試合後インタビューです。文末に緊急収録の加藤美香(母)との談話も付帯しております。

◆ だからこそ、最短ルートを弟と捻り出したんです

——武尊と五分の試合をしてのけた強敵、村越優汰から3度のダウンを奪い3ラウンドKOで会心の勝利。翌日の記者会見(※1)で宿願の武尊戦に向けて猛アピールするかと思いきや、「ブアフフ選手と僕がやって、ISKAのベルトを獲ってもいいし、皇治選手もISKAのベルトを持っているので、奪い取ってやってもいい」「それでそのベルトを獲って武尊選手とやってもいいんじゃないかな」と驚きの提案をされました。

ホントは、すぐにやりたいですよ!

——ですがあえて?

急がば回れ。試合後、コオナ(実弟のプロファイター、加藤虎於奈)と話して決めたんです。最短で武尊戦を実現させるのはどうしたらいいのか? 僕には時間がない。

——村越戦後のリング上、マイクアピール(※2)で真っ先に名前を挙げられたお母さん(加藤美香)のことですね?

母ちゃん、会場に来れませんでしたからね。

——やはり病床の身にコロナウィルスの脅威など?

それはもちろんありますけど、もうちょっとキツい感じです。体重も20kg台になってしまって。

——昨年12月15日の山本直樹戦(2ラウンドKO勝ち)も来場は叶わなかったと聞いております。これまですべての試合で直接声援を送られていたのに。

だから、僕が良いニュースをどんどん届けて早く元気になってもらわないと。なんだってやりますよ。だからこそ、最短ルートを弟と捻り出したんです。

◆ 母ちゃんがあのベルトが欲しいと言ったので

——ISKA世界タイトルを保持してダブルタイトルマッチに持ち込む?

実力証明は完了しました。それは武尊選手も認めてくれている通り(※3)です。その他、彼がこだわっている部分は「K-1のベルトの価値を高める試合」だと。そこで「ISKAのベルトはずっとほしかったベルトだし、K-1のチャンピオンの価値を高めるためにも獲っておきたいベルト」と言うのなら、僕がそのISKAのベルトを先に獲っておけばいいだろうと。その間、彼は望む試合でもなんでもすればいい。

——「望む試合」とは、格闘技ファン待望のスーパーファイト、武尊×那須川天心のこと?

できるんであれば、すればいいし。僕も見たいです。けど、そこにK-1世界スーパーフェザー級タイトルが懸けられるわけじゃないないでしょうから、それが実現したとしても、その次は、僕との防衛戦しかないでしょう。どうしたって、この2戦以内に実現する。それは今年中。そう信じています。

——武尊選手との対戦もさることながら、K-1世界スーパーフェザー級王座が望み?

はい、母ちゃんがあのベルトが欲しいと言ったので、何が何でも!

——K-1世界タイトルだけで考えれば、フェザー級(57.5kg)王者の江川優生、ライト級(62.5kg)王者の林健太も指標に入りませんか?

60kgのスーパーフェザー級。ここだけが僕の舞台です。最強の自分が表現できる階級。そこから動く気はまったくありません。

——意地悪な仮定ですが、K-1世界バンタム級(55kg)王者から三階級制覇した武尊がフェザー級に戻り、江川が階級をスーパーフェザー級に上げたとしたら?

その結果、K-1世界スーパーフェザー級王者が江川選手なら、狙いがそこになるだけです。

——なるほど、あくまでK-1世界スーパーフェザー級チャンピオンにこだわるわけですね。世界王者ということでは、ISKA世界タイトルはひとつの到達点ではない?

ベルトがカッコイイので欲しいとは思いますけど、それだけのこと。あくまでK-1世界タイトルを獲る為の手段です。すぐ次の試合で武尊選手のベルトに挑戦できるのであれば、それが一番いい。

◆ 最初で最後のわがままかもしれません

——ちなみに3月22日、武尊×ペッダム・ペットギャットペット戦は、ご覧になりましたか?

はい、控室のモニターで。

——改めて印象は?

強いな、回転が速いなと。

——勝てますか?

勝ちます! けど「勝てないかもしれない」と少しでも不安があるのが武尊選手だけ。だからこそやりたい。

——武尊だけ?

村越選手とやらせてもらって、もう何度やっても全部勝つことが分かりました。今回は、KO勝ちながら、幾度もやれば判定になることもあるでしょう。けど、勝ちは揺るがない。それを確かめることができました。もうそういった証明はやり尽くしました。相手は武尊選手しかいない。

——その一方で同日、林からダウンを奪って番狂わせの金星を得た朝久泰央は、翌日会見で「いろいろ理由つけて逃げてばっかりいる」と過激な挑発を含めて再戦を煽っていますし、大岩龍矢もTwitterで「その位置にいない? why!?」と絡んできています。

朝久選手は、2度やって両方ともダウンを取って完勝しているのにどうしてここでやる必要がありますか? 林戦の勝利にしてもライト級の60kgではない。本当にやりたいなら、誰でも自分と同じかそれ以上の実績を積んで資格を得ればいいだけのこと。それは大岩選手も一緒。Krush王者になれずに朝久選手に負けてしまう状態でよく言えるなって。僕は、誰の挑戦でも受けますが、それは「資格のある選手」のみのこと。Krushが次期挑戦者決定トーナメントをやって3回なり勝ち昇って優勝したなら朝久選手の3度目だろうと、知らない選手が相手だろうと受けて立ちます。

——現在、Krushの方針では、そこで試合をすることは、イコール王座防衛戦ということになります。そこで朝久なり大岩なりが相手に選ばれたら?

資格もない認められない相手とはやりません。今までプロの義務として否応なしにすべてのオファーを受けてきました。けど、その時間がない。最初で最後のわがままかもしれません。今だけは、僕がすべき試合に集中させてほしい。

——そして、それはK-1世界スーパーフェザー級王者、武尊との同タイトルマッチであり、もしくは、そこに直結するなんらかでしかないと?

押忍!(※4)

◆ K-1世界王者となって初めて見える景色

——極端な夢物語ですが、契約も何も無視できれば、那須川天心戦というのは?

それが武尊選手との世界戦に直結するとK-1が送り出してくれるならやります。

——日本格闘技界のエースとも目される“神童”に勝てますか?

天心選手も僕が「勝てないかもしれない」と認めざるを得ない凄い男です。けど、K-1世界タイトルに関係のないその試合は、武尊選手からベルトを奪った後に考えることで、今、深く分析をする必要もありません。

——武尊に勝利となれば、否応なしに「次は天心戦」と注目されることでしょう。

まずは、武尊選手に勝ってK-1世界スーパーフェザー級王者になること。それのみが目標です。K-1世界王者となって初めて見える景色があると思うんですよ。それを体感して、次のステップをどう定めるか? なってみなければわからないし、僕はそれを想像でどうこう言うタイプではないです。

——レオナ選手らしい頑固さです。

世間が武尊×天心で盛り上がっていることは重々承知です。なら、僕は武尊選手からベルトを奪うことでレオナ×天心が最高のカードと望まれるように全力を尽くします。それには、武尊選手を倒してK-1世界王者となるのみです。

◆ 本物の殺気こそが最高の演出

——ともすれば「華がない」「パフォーマンスが足りない」と揶揄されがちなレオナ選手ですが、纏うべき装飾は“実力”のみですか?

皇治選手や芦澤竜誠選手のようなパフォーマンス先行の自己表現は、それはそれでいいと思います。ただ、僕はそれを選ばないし、そういう選手と闘いたいとも思えない。交わることがない別の世界のことだなって。

——そこまで徹底した実力主義は、どこから来ているのでしょう?

半澤会長(師匠であり所属のLARA TOKYO会長 半澤英俊)に認められたいから。半澤さんは実力でしか認めてくれないので。

——半澤会長は、非常にシニカルで偏屈なところがあるので、それも納得です。

K-1世界王者のベルトは、母ちゃんが欲しがっているから。それを獲るにあたり、適正階級で一番強いチャンピオンに勝たないと半澤さんに認められないからの武尊戦、僕がファイターとして生きる原動力です……あっ、もうひとつ一番大切なものがありました!

——一番とは?

応援していただいている人を喜ばすこと。そして、僕は、それをパフォーマンスではなく実力を示すことでしかできないし、皆もそう望んでいるに違いないです。その仲間たちの中で更に一番が母ちゃんです!

——その他、“有名”“大金”といった普遍的な栄達は?

そりゃあ欲しいですけど、飛び抜けた実力を証明し続ければ自然とついてくるし、強くなること以外の営業やタレント活動をして得るお金や名声には興味がありません。

——現代においてあまりもストイック過ぎませんか?

入場や衣装や記者会見とか、最低限の身だしなみは整えます。それ以外は、僕の場合「強くなること」のみに集中することこそ最高の装飾だと思っています。

——プロボクシングWBA世界スーパーフェザー級王者だった内山高志や宇宙最強とまで謳われた“アイアン”マイク・タイソンのような本物が纏うオーラというか色気でしょうか?

本物の殺気こそが最高の演出。僕はそれがいいです。

◆ どちらがより強いのか?

——話は変わって、コロナウィルスの猛威が強まる一方の昨今ですが、3月22日の試合も大変だったのでは?

いつも来ていただいている応援団の半分ちょいしかご来場いただけませんでしたね……小さな子供やご老人のおられる家庭のある方など仕方のないことではあると思います。

——注文済みの返品が利かないチケットを取ってしまってのキャンセルは、かなりの負担なのでは?

それは痛いですけど、「応援に行くよ!」と言っていただいて発注したにせよ、この状況で「子供がいるので申し訳ない」と謝られて、それでも「チケット代はください」とは言えませんよ。こんな時は仕方ない。その分、次こそ倍も応援していただけるように頑張るのみです! そして、その対価としてコロナなんかブッ飛ばす元気を試合でお届けします!

——また現在、トレーナーとして勤務する所属先「LARA TOKYO」では、パーソナルトレーニングを含め、プロファイターたちの直接指導が受けられるわけですが、レオナ選手ならではの魅力を教えてください。

軽いフィットネスとしてやりたい人、本格的にハードに鍛えたい人、それぞれに合わせた指導を楽しくさせていただきます。僕が心がけているのは、選手として自分も大切にしている「確かな基本」を支柱において、どんなレベルでも“本物”を学んでいただくことです。最強でチャンピオンの僕からそれを感じていただければ嬉しいです!

——それでは最後に一言、お願いします。

僕は今こそが最強。武尊選手もそうであると試合を見て確信しました。どちらがより強いのか? 決めましょう! 最高のK-1王座を賭けて!

※1 翌日の記者会見 https://www.k-1.co.jp/k-1wgp/news/32101/
※2 マイクアピール 「みなさん、こんばんは。まず具合悪くて家で見てる母ちゃんに報告したくて。お母さん、勝つことできたよ!」
※3 武尊選手も認めてくれている通り 試合翌日会見の武尊コメント「強い選手だと思うし、実力をしっかり昨日示したと思うので。そういう状況になれば、しっかり叩き潰したいと思います」
※4 押忍 レオナは、空手家であるニコラス・ぺタスの影響でキックボクシングでは使わない「押忍(おす)」を返事として常用する。

2020年3月25日 其の四 了

特別緊急追加「加藤美香の願い」

3月26日、レオナ・ペタスや加藤虎於奈たち加藤一家が実家に集結した。外は桜が花盛り。久しぶりに母、美香を連れ出して散歩を楽しんだ。強い薬の影響で意識は半濁状態を彷徨い定かではない。帰宅して、つい先日、激勝したレオナの村越優汰戦が話題に上がった。

レオナ オカア、俺と虎於奈、どうなってほしい?

美香 虎於奈は、なんか……別に……レオナをサポートみたいなのでいいかな(笑)。

レオナ 俺は?

美香 チャンピオンでしょ?

レオナ なんの?

美香 ケイワンの。

レオナ あといっこだから! 勝っただろ? 村越に! KOで勝っただろ? 最後、もうちょいだから、頑張れよ!

美香 頑張るよ!

レオナ 一緒に頑張るぞ!

美香 レオナだってきついだろうし、お母さんだってきついもん。

レオナ でも、オカア、頑張るだろ?

美香 うん!

2020年3月26日 其の四 了

レオナ・ペタスのプロフィール

リングネーム:レオナ・ペタス
英語名:Leona Pettas
本名:加藤 玲於奈(かとう れおな)
所属:THE SPIRIT GYM TEAM TOP ZEROS/LARA TOKYO(短称:LARA-TSG TEAM TOP ZEROS)
生年月日:1992年4月29日
出身地:埼玉県入間市
身長:175cm
血液型:A
戦型:オーソドックス・ファイタータイプ
得意技:右ストレート
プロデビュー年月日:2012年6月17日
戦績:33戦27勝(12KO)5敗1分
プロステータス:第9代K-1 KRUSH FIGHTスーパーフェザー級王者、2016年英雄伝説アジア60kg級トーナメント優勝
アマステータス:第210回新空手道東京大会K-2トーナメント軽量級優勝(2011年)、第5回J-NETWORKアマチュア全日本選手権Aリーグフェザー級優勝(2011年)
キャッチコピー:石の拳
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