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東工大生、学内関係者、OB、社会人と一緒に考えるワークショップ開催レポ

みなさん、こんにちは。LAQDAの沢田です。
今日は、2月に開催した東工大生とのコラボイベントについてご報告です。

東工大生とコラボのきっかけ

きっかけは、ある日、突然のメールをいただいたことでした。

東京工業大学の博士後期課程に在籍している新倉梨加と申します。
私は大学内での生理用品の無料提供を提案し、23年9月より学内部署と協働して一部トイレの個室内への常設を開始しました。
(参考:https://www.titech.ac.jp/student-support/students/health/free-sanitarypad)

ふむふむ、ここまではよくある話。
・・・しかし、ここからが面白かった!!

私自身の専攻は建築の意匠・歴史分野ですが、指導教員が主導した学内施設の設計に参加し、施設内女子トイレを設計する中で「建築だけでなくサービス面でも女子学生の環境向上を目指せないか」と考えたことがきっかけです。
以降、1か月間のトライアル設置を2度実施し、現在は19個室に設置中です。
自身で設計したディスペンサーは、ポリプロピレンシートをレーザー加工機で切り出して組み立てたものでしたが、偶然貴社の「せりぽん」をこのたびお見かけし、制作の理念に非常に近しいものを感じつつ、「顔をつける」というアイディアに膝を打ちました。

おお!!それはすばらしい!
『制作の理念に近い』ってどの辺だろう?ポリプロピレンシートでレーザー加工機を使った時点で、LAQDAと同じような開発思想であることは間違いなさそう!といった気持ちになり、メールを読みながら「うんうん、そうだよね。ミニマム設計考えるとこれしかないよね!」と胸が熱くなりました。

しかも顔がついていることについて評価してくれてる!これ、うちと同じ流れでの考え方の人っぽい・・・!!

そしたら、さらに……!!

加えて、学内で今月、「生理用品から考えるダイバーシティのこれから」という学生むけワークショップを企画していたところに、貴社ではすでに「せりぽん」をきっかけとしたワークショップをされているとの様子をHPで拝見しました。そこで、ぜひワークショップ開催にご協力願えないかと思い、ご連絡させていただきました。

もしご興味をお寄せいただけるようでしたらお返事をいただけると大変嬉しいです。

わー!!!!すごいすごい!
ケース設置だけじゃなくて、ワークショップまで考えてるって、LAQDAと同じじゃん!と、非常にシンパシーを感じてしまい、これは協力しないはずはないよ!するする!!ってことで、即連絡。

初めてzoomで新倉さんと話をしたら、もう考える過程が一緒なことに感動しました。もうこれはやるっきゃない!っていうことで、既存のLAQDA参加メンバーにも声をかけ、あっという間にイベント告知へ。

新倉さん制作のフライヤー画像。すごく素敵!!

イベント当日

新倉さんと1回zoomで打ち合わせして迎えたイベント当日。
向かった大岡山キャンパスは、自由が丘からも近くて利便性もよいだけでなく、建物がすんごく素敵!

建物内も素敵です。天井が打ちっぱなしの配管剥き出しおしゃれ構造。
新倉さんにお伺いしたら、ここは建築科の学生が学ぶ場所なので、設計にもこだわりがある建物なんだそうな。

東工大での生理用品設置の試みについて

新倉さんから東工大の紹介や、そもそもなぜ今回の施策を実施するに至ったかの発表がありました。写真は新たにオープンした学食で、明るく開放的で学生にも人気のスポットになっているそうです。

続いて、学科ごとの男女比率についての紹介。比率はどの学科においても男子学生が多く、その中で今回の新倉さんのように、女子が取り組む意義はとても大きいと思いました。

参加者もいつも触れることがない理工系大学の設備面の話に興味津々。

トイレの設計を任された新倉さん。男女トイレを設計する中で、施設というハード面だけでなく、ソフト面でも女性へのサポートが必要ではないかと考えたのがきっかけだそうです。

まずは学生支援課という学内部署と協力し、設置のトライアルを実施。2022年の12月と、2023年の5月に各4週間、2つのキャンパスで学生の利用が特に多い食堂や学生会館、体育館の個室内に設置したのだとか。この時、大変多くの消費があっただけでなく、箱に付したアンケートに対しサービスを求める多くの切実な声が寄せられたことで、常設化への勢いがついたのだそうです。

これらのトライアル・調査を経て、この提案は「令和5年度 東工大学生スタートアップ支援」に採択され、学内で提供を始めるにあたり、トライアルで協働した学生支援課に加え、全学的な活動に携わる企画本部・ダイバーシティ推進室の協力も得ることができたのだとか。学内の複数部署の方が関わってくださることで、今までなかった対話が生まれ、女子学生のために設備はどうあるべきかという議論が進んでいるそうです。

今回の実稼働に際しては、物品の購入や補充等の管理費用といった運営費用は学生支援課の予算で賄われ、新倉さんが設計したケースは大学の2つのキャンパスの4施設の女子トイレと多目的トイレに23個も設置されているそうです。重要な一歩ではあるものの学内の一部のみの設置なので、新倉さんは学生支援課のみなさんと一緒に取り組みを広げていきたいのだとか。

最初はダンボールで作ったプロトタイプから始まり、現在東工大に設置しているケースがこちら。おお!せりぽんに似ている!!

ポリプロピレンシートを学内のレーザーカッターを利用して1個1個制作されているそうです。トイレというミニマムスペースに展示するために壁掛けできるようにしたところ、取り出し口に半円の切り欠きをつくることで、指でつまみやすくしているところなどがLAQDAのせりぽんと共通しており、ミニマム設計を追求するとこうなるよね、、、とプロダクトの考え方に、双方の共通点を感じました。

LAQDAからも発表

今回は新倉さんがケースの話をしてくれたので、うちも過去の設備開発についてご紹介しました。昔はIoTのケースを作ることを目的にしていました。

しかし、その開発中に取ったアンケート結果にびっくり。アンケートから読み解ける情報から、ケースというモノの問題ではないことがわかりました。むしろなぜこの課題が放置されてきたのかにメスを入れる必要があります。

課題にメスを入れるためにみんなで対話する機会を作るんですが、ここでまた別の課題が。生理の話はしたことがない人がほとんど。関係者と話をしても無意識に斜め下を向いて目を合わせない方も多く、なかなか対話ベースに持ち込めない。そんなことで、みんなが話題に触れやすいことを目的にして作ったケース「せりぽん」を紹介。

小さな工夫でしたが、これを考えついた時すごくいいアイデアだと思いました。デザインを工夫することで、話しづらいことが性別によらず話を出しやすくなるからです。
「生理」ってなると身構える。「生理用品」でもまだ話すハードルがある。でもケースについて話をすることができれば、言いづらいことをどう婉曲に話すかなどの気遣いが減り、日常生活の中でモノをどう置くのがよいかという話になってきます。

後日談ですが、新倉さんはこちらについて、「通常モノには感情移入するものではないけど、『せりぽん』は目があることでクスっと笑える要素があり、生理の後ろ向きな感情を明るく転換する効果がある」また「取り出し口を口と見なして目をつけることで、デバイスの形に準拠したデザイン」であると評価してくれました。

建築を学んでいる学生に、そんな評価をしてもらえるなんて!
自分のがんばってきたことを正しく受け止めてもらえて、嬉しかったです!

グループディスカッション

この二人の話を受け、参加者に感じたことを手元のポストイットにメモしてもらいました。その後、3チームに分かれ、まずは生理の有無を超えて互いの状況を知り合うことから始め、徐々に生理用品の提供という一般にややデリケートな話題に踏み込み議論。

各テーブルでは、感じたことをポストイットに書き溜めてもらい、グループごとにシェアしました。

グループごとに発表

グループディスカッションのあとは、各テーブルごとにどんな話があったのか、共有してもらいました。こちらは東工大で土木・環境工学を学んでいる大河原さんによる発表です。生理用品にとどまらずいろいろな女性向け、男性向けの商品について話は広がっていったことを共有してくれました。

こちらのグループは、2020年からLAQDAの実証実験に関わっていただいている東京建物から櫻井さん。東工大OBでもあるのだそうです。グループで学生同士のコミュニケーションの話が話題にあがった話をしてくださいました。

こちらも今年LAQDAの実証実験を行ったいただいた西武リアルティソリューションズの工藤さん。東工大の入試での数学の試験が3時間あるという話を聞いて、生理がある人たちにとって生理用品がどんなに大変だと思ったかという話を共有いただきました。

東工大 ダイバーシティ推進室 野村先生から

東工大の野村先生からもコメントをいただきました。東工大で学位を取り、所属研究所初の女性教授会メンバーになったという先生。30数年前から東工大にいらっしゃるそうですが、博士の時も教員という形で東工大に入る時も教授会でも、女性は一人だったそうです。そのため、東工大でダイバーシティ推進室を作ることになったとき、学内からお声がけがあったそうです。男性が多いアカデミックな分野で女性として一人でやってきて誰よりも苦労しているからこそ、「同じように大変な思いをしている女性を野村先生だったら助けられるのではないか」とのことでした。

今回は支援課からのお声がけがあり、新倉さんのプロジェクトのことを知ったのだそう。理工系大学ならではの環境下で長くキャリアを積まれてきた野村先生が、活動を支持してくださるとは素敵ですね!

最後はご参加のみなさまと写真撮影して終了しました。
この度も誠にありがとうございました!

***
後日、学生と社会人と両方から話を聞きました。
就活をしている学生もいたのですが、「いつも就活の中だと社会人に対して相手に合わせて話をしないといけないと感じていたけど、今日は社会人がわたしたちの話を聞いてくれた!」との声が聞かれました。なんと!それはよい体験だと思いました。

社会人も刺激になったようで、「ふだん学生の意見を聞ける機会がないから貴重だった」といった声のほか、「あんな会があるならまた参加したい!」などのご意見がありました。日常生活の中では、なかなか所属や年齢層を越境したコミュニケーション機会がなく、こういった会は新鮮に感じるのだと思いました。

実は参加者の中には、参加の方のお子さん(中学生)もいました。今のように時代の変換点では、多様な人の意見を聞いたり対話しながら、越境して進めていくことが良いのだと多くの方が感じているように思いました。

ご参加のみなさま、ありがとうございました!!

📎 主催・協力・会場
主催:東京工業大学 新倉梨加さん(環境・社会理工学院 博士後期課程2年)
共催:わたしの暮らし研究所株式会社
会場:東京工業大学 大岡山キャンパス
サポート:東京工業大学 学生支援課、ダイバーシティ推進室

*本イベントは「令和5年度 東工大学生スタートアップ支援」のサポートにより実施されました。

📎 参考
・東京工業大学 生理用品の提供について
・令和5年度 東工大学生スタートアップ支援について


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