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Trip|写真で旅する冬のフィンランド 〈01.アアルト建築が集まるセイナヨキへ〉
フィンランドの美しい自然とデザイン、そこに暮らす人々に魅了され、その魅力を発信する活動を行うイラストレーター・フォトグラファーの入海ヒロさんがお届けする、“読む”フィンランド旅。以前の連載、『私のフィンランド探訪記』とあわせて、ぜひお楽しみください。
2022年の12月、4年ぶりのフィンランドに行ってきました。このコラムでは、旅の中で私がみつけた冬のフィンランドのかけらを、2回に渡り、みなさまにお届けします。
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この旅の目的のひとつ、それはアルヴァ・アアルトの建築を巡ること。そこで今回は、ヘルシンキから電車で3時間ほどの場所にあり、アアルト建築が集まる地方都市、セイナヨキの様子をご紹介します。
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時計塔を目印に、さっそくセイナヨキの中心部にあるアアルトセンターへ。ここは、教会、市庁舎、図書館など、アルヴァ・アアルトが設計した建築を一堂に堪能できる、北欧デザインや建築が好きな人にとって、とても贅沢な場所です。
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まずは、時計塔の隣にあるラケウデンリスティ教会へ。祭壇側のみを照らすしくみのランプが印象的。
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背面が十字架に見えるようにつくられた教会のベンチ。ランプやベンチのほか、パイプオルガンまで、アアルトがデザインしています。
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窓の外は雪景色。壁の白とゴールドのランプが相まり、教会内は柔らかくあたたかな雰囲気に包まれています。
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教会を出て少し歩くと見えてくるのは、1960年代に建てられたセイナヨキ市庁舎。壁面はモダンな青いタイルで覆われています。
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セイナヨキ市のマーク(左)と、アアルトがデザインした議場のランプ。
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こちらは、市立劇場の待合エリア。
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アアルトセンターには、彼の作品がそこかしこに置かれています。
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そして、こちらはセイナヨキ市立図書館。高い位置に取った窓から優しい光が射しこみます。細やかな壁の木組みの模様、アアルト=波を意識したデザイン、向かい合わせに座っても視線がぶつからない工夫がされた机など、アアルトらしさが至るところから感じられます。
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森のブルーベリーからヒントを得たと言われるランプ。
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カブのランプ。
壁の白色と木やランプが放つ温かな色のコントラスト、直線と曲線、使う人々のことをミリ単位で考えていたのであろうデザインの数々。アアルトセンターの建物の内部は共通して、静けさの中に居心地のよさがあり、建築やデザインを好む人もそうでない人も、いつまでもここに居たいと思わせてくれる空間です。
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さて、フィンランドのさまざまな図書館を訪れることが好きな私。2012年にアアルトセンター内に新しく建てられた、アスモ・ヤークシ設計のアピラ図書館も外せないスポットです。
ここは、アアルト設計の市立図書館と館内で繋がっています。
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窓際の席。
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靴を脱ぎくつろいだり、読み聞かせをしたりできるエリア。
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図書室の壁。この穴に入って本を読んでいる学生たち。
デザインに溢れていながらも安らげる雰囲気のアピラ図書館では、冬のフィンランドの光景らしく、編み物をしている人もいました。
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あっという間に日が暮れ始める、冬のフィンランド。気温も下がってきたところで、カフェ「Puoti & Kahvila Ihana」でホッと一息。
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キッチンペーパーにサンタ帽でクリスマスの装い。
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こちらのお店では、チョコレートやケーキの他、ハンドメイド雑貨も販売しています。地元の作家さんたちの作品やスイーツが並ぶ、楽しげで賑やかな店内。初めてでもどこか懐かしく感じられるのは、少しレトロな雰囲気によるものかもしれません。
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すっかり暗くなった帰り道。森の樹々を分け入るように伸びたまっすぐな道を進むと、幻想的な世界の中にトルナバ教会が現れました。
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街をイメージしてデザインされたARABIAのマグカップ。
コンパクトでアクセスしやすいセイナヨキ。教会や図書館、スーパーに手作りスイーツのカフェ。足りないものは何もない、そんなふうに私の目には映ります。
図書館で、天井まで広がるガラス窓から外の景色を眺めながら、赤いソファで編み物をしている自分を思い浮かべ、いつかここに住んでみたいと思うほどに、セイナヨキを気に入ったのでした。
今回は冬のセイナヨキでしたが、ラケウデンリスティ教会の窓から見える夏の景色はどうだろう?と想像してみます。凍っていない湖はどんな色をしているのだろう?想像してはまた、行きたくなっています。
長い冬を終えて雪が解けたら。徒歩で、自転車で、訪れることができる範囲はさらに広がり、違う景色を見せてくれることでしょう。
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