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『かわいい』の天才。

小さい頃、お姫様になりたかった。

かわいいドレスが着たかった。優しく、美しく、みんなから好かれるようなそんなお姫様。幼稚園生のころはオーロラ姫に憧れ、小学校低学年の頃はベルに憧れた。

まあでもそんな夢見がちな少女も現実を知るときは来るわけで。成長してお姫様にはなれないことを知った。お姫様は物語の中のものだけだと理解した。

でも、私は大学二年の夏に見つけてしまった。”宝塚”という夢の世界を。

『お姫様が…いる…』

初めて観劇した宝塚。公演が始まりすぐに主演の娘役さんに目を奪われた。きらびやかなドレスをまとった彼女はまさしく私が憧れた『お姫様』だった。

あのお姫様は誰なんだ。幕間の時間にあわててパンフレットを買い、あのお姫様が『愛希れいか』という名前だということを知った私。公演から帰って全力でググったことを覚えている。

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私が初めて見つけた『お姫様』はちょうど見た公演で退団することが決まっていたから、私は早速ネットを使い新たな『お姫様』探しに繰り出した。

そしたら宝塚、お姫様の巣窟張りと言わんばかりに次から次へとまだ見ぬお姫様が出てくる出てくる。いやお姫様の巣窟とかどこにあるかしらないけどね!?

気づいた時にはすっかり私はヅカファン&娘役フリークになっていた。

男役さんがカッコいいの天才なら娘役さんはかわいいの天才だ。私服、声、ヘアアレンジ、言動…全てがかわいい。もう『かわいい』という単語を濃縮したら宝塚の娘役になるんじゃないかってレベルでかわいい。ずっと見てると頭の中でかわいいがゲシュタルト崩壊してくる、まさにキングオブかわいい。実際問題私は今、この短い段落で6回かわいいを発している。

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「本当にみのりって娘役さん好きだよね~」

ヅカファンの友人と話をしている時、よくこう言われる。

何度も言われるうちに、なぜ男役さんではなくこんなに娘役さんに夢中になったんだろうと思った。

理想のお姫様だから???それもあるけれど、それは夢中になった本質というより、きっかけな気がしてどうも腑に落ちない。なんだろうな…と考えて

「自分がなろうと思ってもなれないから」

だからじゃないかな、と思った。私の娘役フリークは彼女たちに抱くコンプレックスの裏返しなんだ。

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低めの声、甘めの服が似合わない顔立ち、ガサツ。そんな私とはうらはらに娘役さんは鈴を転がすような高くてかわいらしい声で、白地にピンクの花柄が入ったワンピースも着こなし、所作はどこをとっても上品。可憐、という言葉がよく似合う。

かわいい!好き!という気持ちを抱くと同時にうらやましいな、あんな風にはどんなに頑張ったところでなれないなという想いも抱いているような…そんな気がする。

例えば、星組のトップ娘役の舞空瞳ちゃんは私と同い年。コメントはいつも立派だし、いつも可憐で素敵な娘役さんだ。彼女を見ていると、同い年なのに、同じ人間なのに…と自分と比べて悲しくなってしまうことがある。羨ましいな、と少し妬ましく思ってしまうこともある。いやそもそも同じ土俵に上がろうとしているのがおこがましいっていう自覚はあるんだけどね??

彼女たちが中途半端にかわいい存在だったら、ここまでハマらなかったと思う。コンプレックスを刺激する存在を見続けるほどつらいものはないし…(笑)(最近は自分の顔立ちと声も好きになってこれたと思うけどね…うん。)

でも、私のちっぽけなコンプレックスを吹き飛ばしてしまうぐらい彼女たちは『かわいい』。そして私は彼女たちがその『かわいい』が一朝一夕のものではないことを知っている。

私のコンプレックスも一朝一夕のものではないけれど(笑)彼女たちは『かわいい』の天才で『かわいい』のプロ。所詮小さなコンプレックスが敵うわけがない。

私、かわいいは正義っていう言葉って真理だと思うんですよね。

だって圧倒的な『かわいい』の前にはひれ伏すしかないもの。

これからも、白旗をあげながら彼女たちのかわいさにひれ伏したいと思います(笑)

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秋月みのり
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