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親友の隣に立つのが嫌でしかたなかったけれど。

告白します。

私は親友のことが大好きだけど大嫌いでした。

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変わった子だなぁ、というのが第一印象。二次元の沼にどっぷりハマってそう、浮世離れしてそう。…多分一生仲良くなれないタイプだ、なんて思ったのが嘘みたいに3年間一緒にサークル仲間として、親友としているようになったのだから人生ってわからない。

親友は、かわいい。心の底から顔の系統が全然違って産まれてきてよかったなぁと思う。一緒の系統だったら嫉妬で一緒になんかいられなかった気がするから。系統が違くても、自分が容姿で褒められることがあっても、その回数の差で黒い感情が広がってくることがあるのだから。

隣に立ちたくなかった。遊ぶ時も、サークルの時も。飲み会でかわいい人ランキングで呼ばれるのは親友だ。私じゃない。私が呼ばれるのは面倒見がいい人、とかそんな感じ。自分はそういうキャラじゃないなんて、20年間でそんなのわかって生きていたはずなのに。心が痛いのはなんでだろう。

そこまで顔面偏差値に差がないことは救いだったけれど、人によっては私の顔の方が好きな人がいるのも知っているけれど。身近な後輩が他の同期のことをかわいいかわいいと褒めると私は…?って心の中で思うのは私がひねくれているからなのか。

親友は、私のことを認めてくれている。人のことをよくみてるね、とか。なんなら私の容姿を褒めてくれることもある。

私も、親友のことを認めている。容姿だけじゃない。彼女が聡明なことも知っている。親友になれたのも彼女の思考が深かったからだ。そして私も人より物事を深く考えるタイプだったからだ。

"羨ましい"

そう思うことが悪だと思っていた。だから私は苦しかった。大道具も同じくらいやりたかったとは言えど落ちてしまった役者のオーディションに彼女は受かっている。大好きだった先輩は私にはかわいいとは言わないのに彼女にはかわいいと言った。

自分にないものを持っている彼女を羨ましいと思うこと=負けだと思っていたけれど。

多分、それは違う。

サークル三年目。最後の大会。私たちの団体の劇は最優秀役者賞と英語賞(私のサークルは英語劇のサークル)をいただくことができた。ただ、舞台効果賞、総合優勝を手にすることはできなかった。

親友は役者に英語の指導をしていた。そして私は舞台美術を束ねていた。お互い背中を預けあってやってきた3年間。3年目、お互いがお互いにやれるところをめいっぱいやった。

英語賞はとれた、舞台効果賞はとれなかった。

これは裏方にとって屈辱でしかない。役者は評価されたけれど、裏方はもっといいパフォーマンスをした団体があった、ということなのだから。

泣いた。思いっきり泣いた。

大会後の打ち上げ。3年目の同期たちは疲れていたからかみんなかなり酔っていた。

そして、私は酔いに任せて彼女に言ったんだ。

「〇〇は自分の仕事を全うして英語賞をとったのに、私は舞台効果賞がとれてない、〇〇と並べなかったのが悔しい」

分かっている。舞台効果賞が舞台美術だけでとれないことなんて。でも総合優勝をとったところに比べて舞台美術は勝っていると思っていただけに悔しかった。去年も英語賞を受賞した親友に並ぶためにはそれしかないと思っていたから。

親友は泣きじゃくる私を変に慰めることなどせず、こう言った。

「私、3年間一緒にやってきた中で今年の大道具が1番好きだったよ。」

私達はあまりお互いを褒めない。それはお互いが負けず嫌いなのもきっとあるし(笑)それぐらいのこと、あなたならできるよね?っていう高めの前提をお互いが持っているからだと思う。

1番私が力を入れていた舞台美術は賞という形にはならなかったけれど、たくさんの人が認めてくれた。そして、親友も認めてくれた。

その瞬間、私が欲しいと思っていたものを親友は持っていることだけを嫉妬していた自分がなんだか馬鹿らしくなったんだ。

わからないけど、もしかしたら親友も同じようなことを思っているかもしれないじゃないかと。多分私の嫉妬や羨望の感情は自分を認められなかったところから来ているんだ。私の考えは不毛だった。だって私も親友が持ってないものを何かしら持っているんだから。なんでも持ってたらむしろ疲れちゃうよ。

去年、英語賞をとったとき、その場でおめでとうと言っただけだった気がする。やっぱりどこか悔しい部分はあったんだろう。

でも、今年は違う。しっかりお祝いしようと思った。親友の頑張りを、親友の賞をしっかりたたえようと思った。それは同時に私を認めることだ。お互いを労うための祝賀会を再来週ぐらいに開くことにした。

親友のためにサプライズプレートを頼んで、ようやく私はこの変な呪縛から解き放たれた気がする。

多分、私達はもっと仲良くなれるはずだ。

ごめんね、〇〇。これからもよろしくね。

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