#12 Optional Practical Trainingに関する英語記事の意訳(2700字程; VOA Learning English, June 20,2020)
(英文元記事800words)
1.Gregory Minottさんは、生まれ故郷のジャマイカからアメリカに、20年以上前に、学生ビザで来ました。彼は、この仮の就労ビザのおかげで、アメリカで建築分野で成功することができました。
In this June 12, 2020, photo, Gregory Minott stands in front of Town Hall in Andover, Massachusetts.
43歳の彼は今、アメリカ市民であり、マサチューセッツ州ボストンの不動産開発会社の共同創始者です。しかし、彼は、学生ビザや就労ビザの制限の新提案が、他の人々が彼と同じようなアメリカン・ドリームへの道を辿ることを妨げるだろうと、憂慮しています。
社会は、たくさんの違った(バックグランドをもつ)人々が一緒に暮らし、働くことによって、より良くなっていくものです、と、彼は語りました。
アメリカ人と共に肩を並べて協同する、他の国々から来た同僚たちがいないということは、アメリカを停滞させることになるでしょう。私たち(のように他国からやって来た者)はアメリカ人から学びますが、(同時に、)アメリカ人も私たちから学んでいるのです。
Minott氏は、Donald Trumpアメリカ大統領に、4月に作られた暫定的なビザの制限を伸張させないように要請している、企業や大学のリーダーたちの1人です。
企業や大学のリーダーたちは、熟練した外国人労働者を締め出すことは、アメリカ経済を傷つけ、イノベーションが最も必要なときにそれを制限するものとなると、主張しています。これに対して、ビザの制限はまだまだ足りないとし、もっと強力な制限を求める人たちもいます。
2.(1) COVID-19がアメリカ国内に広がる中、Trump大統領は、永住権を求める外国人のためのビザの60日間の発給停止を行いました。しかし彼のこの4月22日の大統領令には、多くの例外が列挙されていました。毎年発給されて来た、(農業に従事する)数万人のゲスト・ワーカー(H-2Aビザ)や、学生ビザも例外となっていました(H-2Aビザについては、以下の記事をご参照下さい)。
As COVID-19 spread across the U.S., the president established a 60-day halt on visas for foreigners seeking permanent residency. But his April 22 order included a long list of exceptions. It also did not cover the hundreds of thousands of guest worker and student visas issued each year. (itが何を指すのか迷いましたが、記事全体から考えて、a long list ...ではなく、a 60-day halt ...と考えて意訳しました。)
(2) Tom Cotton氏や Ted Cruz氏を含む共和党の上院議員たちは、新たにやって来るすべてのゲスト・ワーカーたちのビザを、少なくとも60日間停止すべきだと主張しています。その期間、あるいは、未就労者率が通常のレベルまで戻るまで、とも言っています。
Trump大統領への先月の要請文の中で、彼ら共和党上院議員たちは、「この極端に仕事の少ないという条件の下で、そのような限られた雇用を争う外国人ゲスト・ワーカーをさらに認めることは、常識に抗うものである。」と、書いています。
(3) Trump政権の官僚たちは、これからの大統領令にどれだけの期間効力を持たせるか、どの産業、たとえば、医療や食品生産関係など、を(ビザの発給停止の大統領令から)除外すべきか、話し合って来ています。
しかし、彼らは、高い技術を有する労働者のための H-1Bビザの発給停止をすることを議論しているとはっきりと述べて来ています。同じく、(農業以外の)季節労働従事者のための H-2Bビザや、アメリカ国内で会社に雇用されていた労働者が転職する場合のための L-1ビザについても、発給停止することが議論されています。
3. OPT program
(1) 最近の週数間、企業や大学のグループは、Optional Practical Training program(OPT program)が変更されうることへの懸念についても、声高に表明してい来ています。OPT programとは、あまり知られていなプログラムですが、それは、およそ20万人の外国人学生――大部分が中国とインドからの学生――に毎年、アメリカ国内での就労を許可するプログラムです。
1940年代に創設されたもので、OPTは、外国人留学生に、学生の間あるいは研究を終えた後、1年間まで、就労するすることを許可するものです。この10年で、このプログラムは、自然科学、科学技術、工学技術や、数学を先行する学生のために伸張されました。彼らは、現在では、3年間まで就労可能です。
(2) 共和党の立法者(議員)たちは、このプログラムへの最も強い批判のいくつかを表明して来ています[←OPT反対]。[OPT擁護→]これに対して、OPTは、アメリカが、外国人留学生を温かく迎える場所としてあり続けるために必要だと主張する議員たちもいます。彼らは、Trump政権に、留学生やその家族は、アメリカ経済に年間、400億ドル以上の貢献をしていると、書簡を送りました。それは、アメリカの大学の学生人口に占める留学生の割合が、5.5%にすぎないにも関わらず、そういう貢献をしているということです。
(3)[OPT擁護] 企業や大学の専門機関もまた、頭脳の逆流出(reverse brain drain)を警告しています。それは単に、外国人留学生に、アメリカの教育(の成果)を、他国の経済を潤わせるために使わせているようなものです。
(4)[OPT反対] (これに対して、)OPTは、企業に、連邦課税をいくらか払わなくて済むために、アメリカ人でなく、外国人を雇う経済的理由を与えていると、指摘する批評家たちもいます。
OPTプログラムには、監視が行き届いておらず、アメリカに滞在し続けるための法的な許諾を求める外国人たちとって、格好の抜け道となっているとも指摘されています(Jessica Vaughan氏)。
The program also lacks oversight and has become a popular path for foreigners seeking legal permission to stay, said Jessica Vaughan. She is policy director at the Center for Immigration Studies, a Washington group that fights for strong immigration limits. (a .. group fights for strong immigration limits: 強力な入国管理制限を求め活動しているグループ)
政府は、実際的なトレーニングを要求しておらず、雇用主あるいは雇用契約をチャックする者もいない。ある者は、いわゆる職業『学生』であり、短期間の、学位修得プログラムと雇用を繰り返し、それによって、ただ、アメリカに滞在し続けることができているのです。
“The government does not require that there be actual training, and no one checks on the employer or terms of employment,” she said. “Some … are career ‘students,’ going back and forth between brief … degree programs and employment, just so they can stay here.” (... require that there be ...の部分は、subjunctive moodの用法の一つで(いわゆる仮定法現在) 、that節中の動詞に原形(base form of a verb)が使われています。)
(5)[OPT擁護] マサチューセッツ州の Business Immigration Coalition(入国管理事業連合?)という組織の共同創設者である Andrew Tarsy氏は、OPTをやめることは、マサチューセッツ州経済の主要部分を危険に晒すことになるだろうと指摘しています。
Andrew Tarsy says, in Massachusetts, removing OPT would put a major part of the state’s economy at risk. He is the co-creator of the Massachusetts Business Immigration Coalition. (wouldは、現在時制の subjunctive conditional(仮定法の条件文、2nd conditional))
今月(2020年6月)初めに、TripAdvisor 社、マサチューセッツ大学を含む、50近くの企業・大学が、Trump大統領に、OPT programをやめないように嘆願する書簡を送りました。
「私たちは、もっとも優秀な人々がアメリカで学ぶように魅了している。」とTarsy氏は言う。「アメリカがそういう人々にとって魅力的であることは、多くの多くの会社の創設や、新商品・サービスの創造につながるものです。それは、外国人留学生への架け橋なのです。」
以上