『中文』ってなに?
こんにちは、Mikiです!自己紹介はこちらから!
日本人の父と台湾人の母がいる私は幼い頃から『中文』に触れて育ってきました。
…しれっと『中文(ちゅうぶん)』と表現していますが、いわゆる「中国語」のことです。この「中国語」には実は色々な言い方があり、その中で私は意図的に『中文』を使うようにしています。
今回は『中文』を使うまでに経た様々な呼称について、私が知った順に振り返って考えてみたいと思います!
※正確な定義というよりは私の理解と個人的な印象に留まりますので悪しからず…
※説明の中では便宜的に「中国語」を使うこととします
まずはここから、
ペキンゴ(北京語)
私が小さい頃から母は中国語のことを「ペキンゴ」と表現していました。中国語といっても地域ごとにたくさんの種類があり、その中でもいわゆる標準語とされるものとして認識されています。その名の通り北京で話されている中国語です。
東京で日本語の「標準語(とされるもの)」が話されているのと同じように、中国の首都である北京で話されている言葉だからペキンゴなのかなあと漠然と思っていました。しかし大きくなるにつれて「ペキンゴって何?」と聞かれる機会が増えました。
中国語(ちゅうごくご)
そこで「ペキンゴ」の代わりに使い始めたのが「中国語」。小学校、中学校、高校と交友関係が広がるにつれて「ペキンゴ」では伝わらないことも多くなっていったためです。また「台湾では台湾語を話すの?」と聞かれることも増え、その度に「台湾では学校とか基本的に中国語を話すよ」と答えるようになりました。さらに突っ込んで、「ちなみに台湾語は中国語とは違う言語で発音も全然違うよ」と説明する機会も増えていきました。
中国话(zhōng guó huà)
その「中国語(ちゅうごくご)」をそのまま中国語にしたものが「中国话」です。学校で「ペキンゴ」って伝わらなかった!と母に言うと、
那你應該說「中國話」。
(じゃあ「中国語」って言ったほうがいいかもね。)
と教えてくれました。
多くの人はみな、汉语か普通话と言うのでこの表現はあまり聞き馴染みないかもしれません。※ちなみに漢字表記は中国語ではなく中国話。
中文(ㄓㄨㄥ ㄨㄣˊ/zhōng wén)
でも「中國話」は台湾の親戚もあまり聞き馴染みが無いようで、「中國話」と言うと「?ああ、中文ね」と言われるようになりました。そう、「中文(ㄓㄨㄥ ㄨㄣˊ/zhōng wén)」です。あれあれ?中文?実はこれは中文の中国語読みで(ややこしいですね😇)、この頃に覚えました。「ちゅうぶん」という読み方はまだ知らなかったのです。
汎用表現を知り、
國語(ㄍㄨㄛˊㄩˇ/guó yǔ)
そんなある時、母方の親戚たちの会話からちょこちょこ「國語(ㄍㄨㄛˊ ㄩˇ/ guó yǔ)」という単語が聞こえてくるようになりました。おそらく中国語がだんだん話せるようになってきた高校くらいの時だった気がします。
しばらく耳を傾けていると、それが中国語のことを指しているようで、台湾では中国語のことを「國語」と呼ぶのだと知りました。 日本で学ぶ国語(こくご)が日本語のことであるように、台湾での国語/國語は中文を指しているのです。その国で話す言語を国語というのだから中国語を話す台湾での国語は中国語!なるほど!と妙な納得感があったのを覚えています。
普通话(pú tōng huà)
「國語」という表現にも慣れてきた頃、大学で「普通话(pú tōng huà)」という表現を知ります。中国からの留学生や中国語の先生が言っていたのを聞いた気がします。
「普通话」≒標準語なのでいわゆるペキンゴと同じかなあと思っていたのですが、厳密には異なるようです。ペキンゴはその名の通り北京で話される言葉で、普通话よりも巻き舌で発音されることが多いんだとか。
日本語の標準語も東京で話されている言葉というよりは、アナウンサーが話す言葉としたほうがしっくりきませんか?そういう意味では、実際のところ完全な普通话や完全な標準語を話す人は(アナウンサー等を除いて)いないのかもしれませんね。
とはいえ当時はそんなこと知らなかったので「普通(ふつう)」という呼び方が、それ以外の中国語が普通でないようなニュアンスに感じられ、あまりしっくりこなかった印象でした。
汉语(hàn yǔ)
普通话と同時期に知ったのが「汉语(hàn yǔ)」。日本の漢字で書くと『漢語』です。中国語選択の友だちに教科書を見せてもらった時に「汉语って何?」と聞いて教えてもらった記憶があります。※私が選択した第二外国語は中国語ではなく韓国語でした笑(詳しくはこちら)
また、「汉语」はHSKという中国語の試験の名称にも含まれています。HSKは汉语水平考试(Hàn yǔ Shǔi píng Kǎo shì)の略称で、大雑把な説明をすればTOEICの中国語版です。問題文も回答もすべて中国語。ただ、5級と6級には作文の問題もあり、ネイティブ(母)も難しいというレベルでした😇
台灣華語(tái wān huá yǔ)
汉语という初めて聞く単語に驚いた後に知ったのは「台灣華語」。台湾で話されている中国語を指します。※台湾語とはまた別。
これを知ったのは台湾への短期留学の時だったような、日本の本屋で見かけた参考書だったような…記憶は曖昧ですが多分大学生の頃に知った気がします。この頃は大学で"普通话"の授業を受けながら、HSKの勉強もしたりしながら、聞き馴染みのない単語や表現にモヤモヤしていた時期でした。
土豆(tǔ dòu)って豆?え?ジャガイモ!?馬鈴薯(ㄇㄚˇ ㄌㄧㄥˊ ㄕㄨˇ/mǎ líng shǔ)じゃなくて!?
「去哪儿?」って言ったことないし!「去哪裡?」って言うし!
…みたいな(笑)そんな時、私の中国語は普通话というより台灣華語なのでは!?と自分の言葉を説明する単語を見つけたのです。 最近は日本の本屋にも参考書が並ぶようになってきました。本屋で中身をチラッと見ては、そうそう!台湾では蕃茄(ㄈㄢˉ ㄑㄧㄝˊ/ fān qié: トマト)ってよく言うよね!なんて心の中で思ってはちょっと嬉しくなっています。
※ちなみに華語(ㄏㄨㄚˊㄩˇ/ huá yǔ / かご)という言い方もあり、これは割とニュートラルな表現で、主に台湾で使われるようです。
落ち着いたのは、
中文(ちゅうぶん)
台灣華語!と嬉しく思いながら次に出会ったのは中文(ちゅうぶん)という表現でした。
初めて見た時は、高校入試で英語の長文読解ならぬ中文読解(短文より多く長文より少ない200語程度の文章読解)があったのを思い出しました笑。
実際には言わずもがな、中国語を指す単語です。先に書いた中文(ㄓㄨㄥˉ ㄨㄣˊ/zhōng wén)は知っていたのですがまさか日本語読みもするとは…!
知ったきっかけは 大学休学中に参加した地球一周の船旅で、中国語という表現ではなく中文と表記され、スタッフも中国語とは言わず「中文(ちゅうぶん)」と言います。
最初は(ㄓㄨㄥ ㄨㄣˊ/zhōng wén)と発音していた単語を「ちゅうぶん」と発音するのにとても違和感がありましたが、乗船者やスタッフと仲良くなる中でなぜ「中国語」ではなく「中文」を使うのか知っていきます。
それは、中国語を使うのが中国大陸だけではないからです。言わずもがな台湾でも使うし、華族や華僑など、シンガポールやマレーシアにも中国語を話す人がたくさんいるのです。
「"中国"語」というとまるで中国大陸でしか使われていないように感じる、というのもあって敢えて「中文」という表現をしているとのこと。
この表現は日本語読みだとまだまだ馴染みがないのですが、中国語読みはかなり一般的な単語なのです。
〜文 で〜語という意味なので
中文(ㄓㄨㄥˉ ㄨㄣˊ/ zhōng wén)→中国語
日文(ㄖˋ ㄨㄣˊ/ rì wén)→日本語
韓文(ㄏㄢˊ ㄨㄣˊ/ hán wén)→韓国語
英文(ㄧㄥˉ ㄨㄣˊ/ yīng wén)→英語
となります。
個人的にはこれまで見てきた表現の中で一番ニュートラルな表現だと思います。
Let’s say 中文!
(ではここからはいつも通り「中文」と表記していきますよ💪)
中国大陸の中文と台湾の中文は、よくアメリカ英語とイギリス英語に例えられます。単語も表現の仕方も異なるところがたくさんありますが、アメリカ英語もイギリス英語ももちろん、オーストラリア英語もインド英語も他にも色々、どれもが英語。
同じように、中国大陸で話されていても台湾で話されていても、シンガポールやマレーシアで話されていても、そのどれもが「中文」であることに違いはありません。
日本語を話す人は日本にしかいない(と思われがちな)ため、日本語を「日本語」と呼ぶことに疑問を持つ人は少ないでしょうし、日本ではやはり「中国語」という呼び方が浸透しています。ですがここまで見てきたように「中国語」を指す表現は実はたくさんあります。「英語」と同じようにニュートラルな表現として日本でも「中文(ちゅうぶん)」という呼び方がもっと浸透すればいいのになあと思うMikiなのでした。
補足: 華語(ㄏㄨㄚˊㄩˇ/ huá yǔ / かご)という言い方もいいかもしれませんね!