インターン、渋谷区に住む|後編
|青山 4万5000円
物件探しにおいて、どうしても外せない条件があった。それは、会社からの家賃補助の条件である「表参道駅」から2駅以内、かつ駅から徒歩10分以内という立地だった。正確には渋谷も最寄駅に含まれていたのだが、渋谷から会社までの宮益坂を登るのが嫌で、表参道に限定していた。家賃補助を受けられるわけではないが、会社近くに住むことで通勤時間を短縮したいと考え、この条件を最優先に物件を探していた。(後々家賃補助も出ることだし)
条件を絞り込み、物件を検索していると、目を疑うような物件に出会った。場所は青山。会社から徒歩8分という好立地にあり、決して木造の古びたアパートではなく、レンガ造りの立派なマンションだった。青山という土地柄を考えれば、家賃は2桁万円を下らないだろうと思っていたが、その物件の家賃はなんと4万5000円だった。
「絶対にここに決めよう。」
そう心に決め、速やかに不動産会社へ内見の申し込みを行った。翌日、不動産会社を訪れ、件の物件について詳細を尋ねたところ、その家賃の理由が明らかになった。それは「いつ立ち退きを求められるかが未定」であることに加え、「過去にトコジラミが発生したことがある」という事情だった。さすがに毎晩お尻を噛まれるのは勘弁なので、断念せざるを得なかった。
|代々木の可能性
不動産会社に条件を伝え、ネットに公開されていないものも含めて条件に合う物件の一覧を出してもらった。家賃補助圏内であること、家賃が8万円以下であること、できれば洗濯機が置けること。この3つの条件をお願いした。
条件を伝えるや否や、20件ほどの候補がざっとプリントアウトされ、一通り目を通していく。やはり、条件が厳しいだけあって、どの物件も狭かったし、洗濯機の置き場がなかったり、初期費用が異様に高額だったりと、現実的な引っ越しが難しい物件が大半を占めていた。
しかし、そんな中で3件の物件が目を引いた。そして、そのすべてが代々木に位置していた。この時点で、僕の住まいはほぼ代々木に決まった。
|初めての内見
過去に海外でマンスリーマンションを借りたことはあったが、日本で物件を探すのは初めての経験だった。最初に内見する物件は、最終候補に残った3つの中から、一番広い物件を選んだ。(広いとは言っても20平米にも満たない物件だが)
内見予約を取り、さっそく40分後に物件集合という形をとった。ひと足先にLUUPで現地へ向かうと、落ち着いた雰囲気の土地柄におしゃれな歩行者が行き交っていた。そんな小綺麗な街並みの中に、一際年季の入ったアパートを見つけた。
ここが今日の内見先。どこか異質なその空気感に惹き込まれる自分がいた。しばらくすると、鍵を持った不動産会社の担当者が到着し、部屋を案内してくれた。
部屋に入ると、左手には少し広めのキッチンスペース、右手にはトイレとお風呂があった。まさかのトイレとお風呂が別で、少し驚いた。そのエリアを抜けると、奥には5畳の一間が広がっていた。
内見して3分で、「ここにします」と即決した。
こうして僕は、渋谷区での新しい生活を始めることとなった。