リスキリング、リカレント教育、生涯学習の違い
最近、よく聞く「リスキリング」、だいぶ前から聞いていた「リカレント教育」。その違いを調べて私の頭の中を整理してみました。
1,「リスキリング」(Reskilling.)
「新しい職業に就くために、あるいは今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に対応するために、必要なスキルを獲得する/させること。
※ 経済産業省デジタル時代の人材政策に関する検討会2021リクルートワークス総研。
注目されたのは2020年ダボス会議(世界経済フォーラムの年次総会)でリスキリング革命(Reskilling Revolution)と題して、2030年までに地球人口のうち10億人をリスキリングする。」と発表。これは第4次産業革命に伴い、発展変化する技術に対応するために、人々に良い教育や仕事の機会を提供しようということ。
そして第4次産業革命のDX人事育成の文脈の中でリスキリングの言葉が使われだしました。EV自動車時代に入りGXの文脈でも語られるようになるかもしれません。
どちらかというと社会の要請で、就業者(働いている人)のスキルを上げていくという意味で、企業側の視点にもとづいて学習機会の提供をする党委要素が強く、「業務と並行しながら、企業が戦略的に社員にスキル獲得を促す」という企業視点で実践に重点を置いていると思われます。
2,「リカレント教育」(Recurrent:循環する、繰返す、回帰)
「就職してからも、生涯にわたって教育と他の諸活動(労働・余暇など)を交互に行うといった概念」※総務省情報通信白書平成30年版
つまりそれぞれが必要なタイミングで教育を受け、また仕事に戻ってくることを繰り返す仕組み。一度仕事を離れて大学などの教育機関で学びなおすことを指し、その期間の収入の保証があることなど制度として個人の学びに主体があります。人口の少ないスエーデンが国策として実施、OECDが取り上げたことによりこの概念が世界に知られるようになりました。
3,まとめ
「社会人が新たな知識やスキルを習得する」という点は共通。
リスキリングは、戦略的に従業員が学ぶ機会を与えるため就業しながら学ぶことが大半。
リカレント教育は、学習と労働を交互に行うため、求職など労働から離れることを前提にしています。
※ リカレント教育と混同されやすいのが「生涯学習」です。(政府広オンライン「学び」に遅すぎはない!社会人の学び直し「リカレント教育」より)
どちらも「学ぶ」という点では同じですが、学ぶ目的が異なります。
リカレント教育は、仕事に生かすための知識やスキルを学びます。例えば、「外国語」、MBAや社会保険労務士などの「資格習得系科目」、経営や法律、会計などの「ビジネス系科目」、「プログラミングスキル」などを学び直します。
一方、生涯学習は、生涯にわたり行うあらゆる学習で、学校教育や社会教育、さらには文化活動、スポーツ活動、ボランティア活動や趣味など仕事に無関係なことや「生きがい」に通じる内容も学習の対象に含まれます。
以上
≪参考資料≫
・ 経済産業省デジタル時代の人材政策に関する検討会2021リクルートワークス総研。
・ 総務省情報通信白書平成30年版
・ 政府広オンライン「学び」に遅すぎはない!社会人の学び直し「リカレント教育」
・・・R5/06/12・・・