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オムニバス草案後のEUにおける持続可能性報告の将来
Forbesに、「包括報告書後のEUにおける持続可能性報告の将来」と言う記事が載っていました。
導入部でEU規制のここまでの数年の振り返りの記載があり、参考になるとおもいます。
これを読むと、まさに法規制によるレジームが頂点を極める一歩手前まで来ていた様子がよく分かります。
これらの記載の後に様々な識者の意見を載せているのですが、EU規制堅持派はほぼ居らず、なんらかの改善点を挙げているのは印象的です。
例えば「セクター別の規制は、多くの企業が複数のセクターに関連していて企業は煩雑な対応を強いられている」と言った頷きたくなる意見もみられます。
一方で、こちらの記事ではオムニバス草案が簡素化ではなく、規制緩和だとして批判している人の意見を載せています。
とは言え、こちらは投資家寄りに人たち(We Mean Business CoalitionのCEO、マリア・メンディルーセ氏等)の意見であり、元々規制を求めていた人たちであることに注意する必要があります。
尚、現時点での修正案の詳細は、こちらのForbesの記事が詳しいと思います。
これを見ると、EU規制案が如何に厳しいものかが分かります。
特に罰金と民事訴訟の部分、デューデリジェンスで問題あるサプライヤーだと分かったら契約を打ち切る条項などは、大いに問題があります。
後者はやっちゃいけないダイベストメントの代表例(切ったサプライヤーが別の買い手を見つけることは容易であり、地球全体から見れば何ら改善にならない)であり、エンゲージメントで解決を目指すことを求めているTNFD移行計画ガイダンス案と比べると、思慮が浅いと感じます。まさに「EUだけサステナビリティなら良い」の典型例であり、損失リスク低減だけを求める投資家の狭い視点の典型でもあります。
いずれにせよ、これだけ意見が分かれ、問題のある法規制を、そのまま施行するのは問題があるとだけは断言できそうです。