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オムニバス草案で、CSRD、CSDDDが大幅な簡易化の可能性
オムニバス草案で、CSRD、CSDDDが大幅な簡易化されるという噂が、Responsible Investorの記事では「骨抜き」という過激な表現に変わってきました。
記事によると、CSRDの報告対象をCSDDDに合わせるとのこと。これで対象企業が大幅に削減されますが、これは以前から想像されていた通りです。
問題は、ダブルマテリアリティの断念です。
ダブルマテリアリティを放棄した場合、EU法案は単なる投資家のための規制になってしまい、ISBBに吸収合併される(のとほぼ同等)という私の嫌な予測が当たってしまうことになります。
そもそも、社会に対する影響を考慮しないEU法案は、特別にそれを別個に作る意味そのものをなくしてしまいます。
但し、これは大仕事です。
ESRSそのものを書き直さないと成り立たないからです。
ドイツやフランスのように、CSRD、CSDDDの実施延期と簡易化を求めた国にしても、この規制を投資家だけを対象とするもの(に等しいもの)にすることまで意図していたとは思えません。
当然のことながら、多くのNGOが懸念を表明し始めているようです。
尚、RIの記事によると非公開の円卓会議が開かれるそうですが、そこに選ばれたメンバーがエネルギー企業や金融系ということで、益々懸念が広がる感じです。
こんなドタバタで当初の2月末に発表が間に合うはずもなく、とりあえず3月に延期されるようです。
RIの記事通りとなると、これはもうESRSからCSRD、CSDDD、さらにはタクソノミーまで書き直すことになり、ほぼ仕切り直しになってしまいます。
果たして本当にEU委員会がここまで踏み込むかには大いに疑問が残ります。
私はもうリタイアの身なので影響はありませんが、企業のESG(特に開示)担当者の皆さんの気苦労は大変なものだろうと思い、心配になります。それ以上に、これ(特にCSDDD)は、生産地などにも大きな影響が必至です。
もちろん、問題あるものを修正することは歓迎ですが、この辺りに対する十分な配慮も期待したいところです。