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NUNOIMIは西洋近代哲学と風呂敷の関係から生まれた
こんにちは、風呂敷のブランド「NUNOIMI」を立ち上げ、絶賛クラファン中の野口です!
(プロジェクトページはこちらから!)
今回はNUNOIMIのコンセプトにとても大きく影響を受けた哲学者を紹介したいと思います。
「風呂敷」と聞くと、"日本文化としての風呂敷"を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
ところが、今回は一回も日本文化に関しては触れません。僕自身、日本文化を尊重して風呂敷のブランドを立ち上げたわけではないからです。
むしろ西洋文化(西洋で発展した哲学)に大きく影響を受けました。
西洋の近代哲学がもたらす風呂敷の意味はなんなのかを解説していきたいと思います!
そもそも何故コンセプトを知る必要があるのか?
おそらくNUNOIMIの風呂敷はファッションアイテムの1つとしてご使用頂く方が多いと思うのですが、
せっかく使って頂くなら、
NUNOIMIの風呂敷を使う事の意味を実感しながら、使用して頂きたいという想いもあります。
しかし、さらに踏み込んだ話をすると、
ファッションには
通気性とか、肌触りとかの機能の側面と、
お洒落だったりの表現の側面があると思うのですが、
「表現としての風呂敷」も楽しんで頂きたいからです。
NUNOIMIの風呂敷をファッションアイテムとして取り入れる事は、必然的にどのような表現たり得るのかを考えるきっかけになれば嬉しいと思ってます。
影響を受けた哲学者は?
その名も、20世紀フランスで構造主義を発展させたクロード・レヴィ=ストロースです。
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彼について、全く哲学に詳しくない人でも理解できる様に解説してみます。
本日はまずは基礎知識となる構造主義について解説します。
【構造主義とは?】
構造主義を理解するために、「実存主義」についても軽く触れておきます。
20世紀の近代西洋哲学では、「実存主義」が流行りました。
実存主義を一言で説明すると、
「人生に意味なんてない。だから自分の人生の意味は自分で決めろ。」
という考え方です。
歴史的に、科学が発展してきたのもあり、宗教や神の存在が危ぶまれていました。
そしてついにニーチェが残した有名な一言
「神は死んだ」が生まれたのです。
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元々、神が信じられてた時代には、自らの人生には神から与えられた「使命」がありました。その使命をこなすために生きてましたし、使命こそが”生きる意味”でした。
ところが神が否定させると、
「人生に意味なんてないのではないか?」という不安が世間を取り巻きました。
そこで実存主義者達は、
「人生に意味はない。だから自らの決断により、人生の意味は作られるのだ。」
と言ったのです。
そこでようやく構造主義の登場です。
構造主義とは、
「いやいや、人生に意味はないけどさ、自らの決断では決まらんよ。だって自らの意思で決断していると思っている行動も実は自分たちの取り巻く社会構造や、文化構造に影響を受けているんだよ」
と実存主義を否定するところから始まる考え方です。
もっと簡単にまとめると、
「自分の意思で行動しているようで、実は自分の行動や思考は、自分を取り巻く周囲の構造に強く影響を受けている」
が構造主義です。
ブリコラージュとは?
その構造主義の第一人者であるのがレヴィ=ストロースです。そんな彼の著書「野生の思考」に出てくる、「ブリコラージュ」という考え方にNUNOIMIは強く影響を受けました。
NUNOIMIの風呂敷はブリコラージュ的な体験を体現できるのです。
一言で説明すると、
「限られた持ち合わせの雑多な材料と道具を間に合わせで使って、目下の状況で必要なものを作ること」
です。
「今日の晩ご飯はカレーにしよう!
スーパーでカレールーと、玉ねぎ、人参、じゃがいもを買って、、、
お鍋も用意して、、、」
これはブリコラージュではありません。
「今日の晩ご飯何にしよう?
冷蔵庫には玉ねぎとひき肉と人参があるな、、
引っ越したばっかりだからフライパンしかないしな、、
よし、今日はこれらを使ってハンバーグみたいなものを作ってみよう!」
これがブリコラージュです。
冷蔵にあるありあわせのもので料理する。経験ある方も多いのではないでしょうか?
ブリコラージュの考え方においては、「そのモノが本来どういった意図で作られたか」より、「目の前の課題を解決するのに、身の回りにあるモノをどう扱えば良いか」が重要視されます。
つまり、「モノが作られた意図」によって自分の行動が決まるのではなく、
自分がとりたい行動によって、「自らがそのモノに意味づけをする」という関係が生まれます。
椅子が目の前にあっても、無思考で座ってはいけません。
今自分が取りたい行動の目的が先にあって、その目的を達成するのに、この椅子っぽい形をした物体をどう使おうか?を考えるのがブリコラージュです。
今の生活を見渡してみて下さい。日常には企業によってデザインされたモノで溢れかえっています。
そのモノによって自分の行動が決まるって事は、「そこに自分の意思は存在しないのではないか?」と疑問を持ったのがブリコラージュという考え方に強く影響を受けたきっかけです。
僕が無人島でサバイバル生活していた時、周りにあったのは、木や石など、誰の手によってもデザインされていない自然物ばかり。
それらを自分の生活に取り入れるには、自分の意思を持って、そのモノを編集するしかありませんでした。
都会での生活より、無人島での生活の方がより主体的に生きることができる感覚になりました。
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風呂敷とNUNOIMI
ブリコラージュの考え方を応用すると、
「何かの目的のために既にデザインされたモノを用意し、使用するのではなく、
今目の前にあるありあわせのモノを目的達成のために編集しながら使用していく」
といった感じの生活になりそうです。
特に、時代はパーソナライズ化に進んでいます。
大衆にウケるような商品は日本においてはほぼ行届きました。
すると、個人の単位で異なる小さな課題が浮き彫りになり、昨今のスタートアップではそういった課題を見つけては解決するサービスを次々に打ち出していきます。
個人、それも特定の状況下における、とある”目的に最適化”されたサービスで溢れる世界へと進んでいるのです。
マッチング系のサービスなんてまさに「最適化」させる事が最上目的のサービスですよね。
話を戻すと、そういった個人のとある目的を達成するのに最適化されたサービスか身の回りに溢れると、
ブリコラージュ的な生き方はしづらくなります。
前回も説明したように、ブリコラージュ的な要素が欠損するという事は、自分の生活から「自分の意思」が剥ぎ取られていく事になります。
そこでようやく風呂敷の登場です。
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NUNOIMIのコンセプト文を抜粋します。
「この風呂敷に意味はありません。余白しかない、ただの布切れです。
だからこそ、“あなたが”この風呂敷に意味を宿し、余白を埋めて下さい。
この風呂敷に取扱説明書はありません。
だからこそ、“あなたならでは”の使い方で愛でて、物語を作って下さい。」
そうなんです、NUNOIMIの風呂敷はあなたの使用目的に応じて"デザインされてない"のです。
あなたの使用目的に応じて都度都度結ぶことで、”あなたが”デザインしていく必要があるのです。
そういったデザインされてないものを「余白」と表現しました。
僕は便利な社会のアンチテーゼを唱えたいわけではありません。
むしろ、便利な社会だからこそ、風呂敷を結ぶという営みに価値が生まれるのです。
今だからこそ、そんな価値観を生活に持ち込んで、
自分の意思を感じて欲しい
そんな想いで作りました。
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まとめ
いかがだったでしょうか。
ちょっと小難しいところもあったかと思いますが、現代社会での生活にこの価値観を持ち込むことは、価値あることだと信じて、ブランドを立ち上げました。
実際、毎日風呂敷を使っている僕は、「主体的に生きれているか?」と言う問いと日々向き合いながら、自分の人生を歩めています。
より多くの方がより主体的に生きる事ができれば、何よりの幸いです。
主体性の話に関しては、下記のnoteもご覧ください
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