法則は日本に入り、企業間競争に用いられ、「強者と弱者の戦略」という概念が生まれた。99%の中小企業は弱者になる。

1.差別化と集中
規模や資本の有利性を説いてきたが、弱者が単純に同質的競争の中で規模を求める経営をしてはならない。

弱者がまずやらなければならないことは、強者の2乗作用をできるだけ避けることだ。つまり、同質的競争からはずれること、強い会社との「差別化」が第一の要点になる。

次に、弱者といえども量的効果を利用すること。つまり、投入範囲を狭め、少ない経営資源量でも「集中」させることで2乗を利用することになる。

2.弱者の戦い方
戦い方においては、第1法則に焦点が当てられた。弱者は、「射程距離の短い兵器」「接近戦」「一騎打ち戦」で戦えというのだ。が、まともに、連射式機関銃の相手に向かって、槍で突っ込んでいっても勝ち目はない。そこには知恵がいる。第1法則的戦いが、有利に働く戦場を見いだせということだ。

幸い、企業間競争は完全に2乗の世界にはなっていない。地理上でもそうだし、競争の複雑さの中には、強者の2乗作用の及ばないところが出てくる。

複雑さは自由度を生み出す。例えば、一つのルートで10km離れたポイントまで早く走るといった固定化されたルールには、自由度はない。そこに移動手段やルートが自由に選べるとなれば知恵の勝負となる。

「弱者の戦略」はそういった知恵の体系なのだ。本当の競争時代だからこそ増々有用になるのではなかろうか。弱者の戦略にそって競争に負けない自社に有利なルールを作ればいい。そのためには、経営原則と戦略原則の理解と独創性が必要だ。

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