見出し画像

ひつじの読了録「貸出禁止の本をすくえ!」

「貸出禁止の本をすくえ!」アラン・グラッツ 作/ないとうふみこ 訳/ほるぷ出版

ネタバレあり!



図書室でこもって本を読んでいるのが好きなエイミー・アン・オリンジャーが主人公。大好きな本をもう一度借りようと図書館に行ったら、ない?!
ある保護者が、子どもの教育上良くないから貸出禁止にしろと教育委員会に訴え、それが通ってしまったのだという。ショックを受ける彼女に、司書が教育委員会で動してその本が好きかを語って欲しいと頼んでくる。ノーとは言えずに引き受けてしまう。
自己主張の強い妹2人に我慢し続けているせいか、言いたいことは頭の中だけで言っていて、きちんと言葉にして相手に伝えられない。伝えることをあきらめ我慢し続けている彼女にできるか?
パパが日程をやりくりして教育委員会に連れて行ってくれたのに、大好きな本のことをで意見を述べるために準備もしたのに、結局発言できずに帰ってくる。
友人たちと話して、彼女が始めたささやかな抵抗は、貸出禁止本を集めて、ロッカーで読みたい人に貸出すること。2人の友人がサポートして、ロッカー図書室はどんどんバージョンアップしていく。

図書室の機能とか、原点がわかるという意味でも面白い。貸し出す本があって、読みたい人がいるから成り立つものなのだ。
最後に友人たちと考えた対抗手段がなかなかいい。なるほどね、という感じ。ところが事件が次々と発生。終いには彼女が爆発する。結果的に、多くの子どもたちがどんどんと関わっていき、彼女自身が変わっていく。

子どもにふさわしい本かどうかは誰が決めるのか?アメリカらしい答えで詰めていくあたりが、最後の山場。なるほどね、という感じでした。物語自体はよく考えられていてテンポ良く展開していくので読みやすい。
さらに、貸出禁止本を始め、たくさんの児童書が登場するので、本好きにはそれも結構楽しい。実は、本書の中で貸出金氏とされた本は、アメリカで、子どもにふさわしくないと実際にやり玉に挙げられたことのある本だという。巻末にはリストが合って再確認できるが、理由は何でもこじつけられるものなのだということも、よくわかる物語でした。
楽しかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?