風になった日
2024年11月30日(土) 19時00分
店内を最後に一周して電気と28度に設定したエアコンを消し、
分厚い鉄板の扉を閉めた。
僕はこれで(実務上の)退社となった。
およそ5年間、この職場でたくさんの人と物と事に出会うことができた。
どこに、どう感謝を伝えていいのか分からない、伝えたい気持ちがずっと溢れかえっている。伝えても、伝えても、伝わってない気がしていたけれど、それは単なる僕の思い過ごしであることはすぐにわかった。
これまで関わらせていただいたお客様が打ち合わせでもしていたのかと思ってしまうくらい、次々とお店に足を運んでくれた。「会いにきたよ!」と声をかけてくれたり、お花、焼き立てのパン、和菓子、日本酒、焼酎。それと「ありがとう」という言葉も添えて伝えてくれた人たちもいた。私にはこれくらいしかできないと言うけれど、僕は貰いすぎて申し訳ないとすら感じる。
僕は、この人たちの中に存在することができただろうか、意義があっただろうか。そんなことも考えていたけれど、皆それぞれの応えをしっかりと僕に届けてくれた。ここに居られて、会えて、本当に嬉しい。
この一生を終えるそのときまで、僕は絶対に忘れない。
どこかでまた、お会いしましょう。
僕は、新しい風をまとい、また戯れる。