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入院日記2 病棟動物園(その3)

ハゲ

 前回の屁こき太郎と隣同士の生活が半月以上も経った或日突然新手の騒音メーカーがやって来た。それが向かいのベッドにいる通称ハゲ

 よく髪の毛の薄い人を卑称するのに使う言葉だがそもそもこの人はスキンヘッドで毛がない。なので遠慮なくハゲと呼ばせてもらうことにする。まあ自分も通常の生活では似たような頭をするが今は髪の毛も伸び放題。とにかくこのハゲ、屁こき太郎が生理的な不快音を色々出すのに対し、物理的なノイズを数多く立てる。

 レジ袋ガサガサだの引き出しをゴトゴトだの、気をつければいくらでも出さなくて済むような不快な生活音をいちいち出さないと気が済まないのか、とにかくうるさい。

 また屁こき太郎と違って独り言がうるさすぎる。それも朝昼真夜中とお構いなしだ。この手のブツクサうるさい奴はW5(隣の病棟)によくいそうなタイプのノイズメーカーでもある。また咳がとにかくうるさい、ただし咳は致し方なきものとこちらでも我慢できる(屁とは違って)音ではあるが放っておけば何十分でも咳が続きさすがにおいおい大丈夫なのかと心配にもなってくるし、どうにかしろと言いたくもなる。(その分気の毒で心配にもなる)

 さらに屁こき太郎と同様食事の音がクチャクチャと下品なだけでなく、食べ始め5分くらいからガチャガチャ、ズルズルといろんな音を出し最後は咽せて終わる。要するにがっついて最後は咽せるのだ。食べ方の習慣とはいえ何度も咽せてゲホゲホいっている割にはひとつも学習しないんだな、これまでもずっとこうして食事をしてきたんだと思うと哀れだ■

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