ブギウギロス
【療養日記2024 4月12日(金)☁️☀️】
もう三月も終わって2週間近くになる。先日録りだめしていた「ブギウギ」の残り三週間分を観た。このドラマに関しては最初から撮りだめを一気見していたが観るときは止まらないのに毎日楽しみにするというわけでもなかった。
僕は全曲集がコロンビアからCDでリリースされた時から笠置シヅ子は大好きで、その分知識もあったのでドラマも楽しみにしていた。そしてドラマも決して期待を裏切るような内容ではなかったと思う。
それなのになんとなく不完全な充足感を与えられるような気がしてならない。キャストはよかった。特にスズ子役の趣里の体当たり演技は華やかで面白く時として可愛さもあった。他のキャストもだいたいは良かったと思うし、オープニングの「ハッピーブギ」も楽しかった。
何か不満があるとすれば脚本だろうと思う。もちろんこのドラマはフィクションだからと言われればそこまでだが、特に後半はこれでいいのかと思うくらいに史実とはかけ離れていた。それまでは生い立ちや弟の事などかなり史実には忠実だった。「村山」という名前で登場した吉本興業、その一人息子の吉本穎右(ドラマでは村山愛助)、穎右との間にできた娘エイ子(ドラマでは愛子)の存在から一緒に喜劇を演じるエノケンこと榎本健一(ドラマではタナケンこと棚橋健二)とエノケンの病気に至るまでかなり詳細に描いていた。それが最後の三週間でかなりの乖離を見せている。
まずこのあたりで本家笠置シヅ子は娘エイ子の誘拐の脅迫を実際に受けている。そこに某ドラマの大岩純一(内藤剛志)が登場。ここでこのドラマはだんだんフィクションの色が濃くなりますよという合図が来たなと感じ取れた。
それと同時に登場した若手の大物歌手がかつての仲間の娘という設定だったが、どうもこれは史実で言うところの美空ひばりではないかと思われる。しかしその人物設定は全くの架空だ。史実では笠置シヅ子とほぼ同年代の美空ひばりの母親との確執がありかなりの間ひばりとシヅ子は誤解の解けぬ間柄だったらしいがそのあたりは全く登場していない。
ドラマではその後スズ子はきれいさっぱりと歌手を引退する。実際に笠置シヅ子も歌手引退してタレント業に専念し、娘の前で鼻歌も歌わぬ徹底ぶりだったという。しかし笠置シヅ子は後に来るマンボの台頭にも取り残されずに歌い続けている。ヒットこそしていないが「エッサッサ・マンボ」「ジャジャンボ」「たよりにしてまっせ」などの歌を残している。
そこはやっぱりドラマでは「ブギの女王」がマンボを歌っちゃ都合が悪いのかマンボを歌う前に引退しているというか、全くマンボのマの字も感じさせない見事な幕引きに仕立てていたと思う。
このあたりにかなりの違和感は感じたが最後は引退ライブで締めくくりこのドラマは終わった。
このドラマの良かったところはこれまでにも何度となく書いたことだがライブ感だ。ステージシーンにフルコーラス使うことも多く、これがとても良かったと思っている。恐らく歴代の朝ドラの中ではこのライブ感はダントツだったと思う。
こうしてブギウギは終わった。感想としては楽しかった。最近では「エール」「おちょやん」に並んで楽しめたドラマだと思う。そして新しい朝ドラが始まると必ず古いドラマの「ロス」というのがあるのだが幸いにも次の「虎に翼」がまた面白そうでロスにはならずに済みそうだ。こちらも恐らくまとめて観るだろうと思うが配役が際立っているなと思っている。
「ブギウギ」が終わっても僕はこれまで通りたまに思い出せば笠置シヅ子の歌を聴く。ドラマで一時的に注目されるだろうが僕はこれまでもずっと笠置シヅ子の歌が身近にあった。ドラマで初めてスズ子が羽鳥善一からもらった「ラッパと娘」をステージで歌ったあのシーンは鳥肌が立ったくらい、どの歌も昔から知っていたこともあり本当にあのドラマは楽しめた。そして改めて思う。