アートと本とコーヒーと:シャネルと義経
夏休みが取れたので、いまがチャンス!と「ガブリエル・シャネル展」へ行ってきました。平日だから空いているかなと思ったのは甘かった。マダムにおばちゃんに女子に……と9割は女性でけっこうな混み具合。でも、行って良かった~。
シャネルスーツにキルティングバッグ、バイカラーのシューズ、そしてマリリン・モンローと5番の香水のこと、恋多き女性だったこと、多くの名言を残したこと…など、伝説となっているあれこれで、シャネルのことをわかったつもりになっていたことが恥ずかしくなりました。
日本では32年ぶりにシャネルの仕事にフォーカスした回顧展というだけあて、150点ほどの作品が丁寧に展示されていました。
ひとつひとつのドレスやスーツ、コート、コスチュームジュエリーをじっくり見ることができ、いま着たくなるようなデザインや技術の高さに目を瞠ります。もっとも有名な50年代に発表されたあのシャネルスーツ。「ジャケットは一種のカーディガンのようなもの、スカートは腰を締め付けるのではなく、腰のでっぱり部分に引っ掛かるようになっている」……スカートを腰骨に引っ掛けるなんてことを、当時のシャネルが発想したことが心に残ります。これまで何冊もシャネルに関する本を読んできたけれど、なぜ、シャネルがレジェンドになったのか腑に落ちてきたような気がしました。
わたしが気になった作品をいくつかご紹介すると、
●1920年代後半のイブニングドレスーー黒のシャンティイレースを使った、イレギュラーヘムの繊細なドレス。
●1932年のコットンベルベットのイブニングドレスー-ルビー色。脇に並んだ同布くるみボタンとバイアスカットでボディラインが美しく見える。
●1966年の綿モスリンとグログランのドレスーーデコルテ部分のモスリンの透け感とスカート部分にはティアード。まさに、いま着たい!
●№5の香水瓶ー-1921年当時のものは、いまのものよりもっと肩が張っていて首の部分が小ぶり。美しい。
●1960年代のコスチュームジュエリーー製作はロベール・ゴッサンス。想像していたよりずっと大振りで迫力があって……空想だけど、付けてみたい。
と……、先週のシャネル展の図録を何度も眺めると同時に、はまってしまったのが、町田康著『ギケイキ』です。長いこと「室町時代」ってなんか気になるなあと思っていたところで、アヴちゃんと森山未来の番宣を見て古川日出男著『平家物語 犬王の巻』を読みあまりにも面白く、山田風太郎にたどり着きこれまた面白くて、じゃあ遡って鎌倉物をと『ギケイキ』に出合った次第。町田康はもちろんすごいのだけど、描かれている義経と菅田将暉が見事にオーバーラップするのでした。(もう一度、見直したい。義経が生きていた頃の大河)