見出し画像

筋攣縮と筋短縮の違い

こんばんは!かまだです(^o^)丿
今日は肩関節では無く ”番外編” ということで、意外とぼやけてたり使い分けが出来ていない方が多いのかなと感じる内容です💡


筋スパズムと筋短縮は、いずれも筋肉の収縮に関連する現象ですが、その発生のメカニズムや特徴、影響は大きく異なります。

▶筋攣縮(筋スパズム)とは?


筋攣縮は筋肉の異常な収縮状態を指し、通常は不随意に発生します。これは、中枢神経系や末梢神経系の異常、筋肉の直接的な刺激、または過剰な負荷や損傷などによって引き起こされます。
筋スパズムが発生すると、筋肉は強い張力を伴った収縮を続け、痛みや硬直感を伴うことが多いです。この状態は一時的である場合もあれば、慢性的な障害として現れる場合もあります。
では、なぜ筋攣縮が起きるのか?主な目的は、組織を保護するために筋肉を緊張させることであり、例えば、筋損傷や関節の不安定性から体を守るために起こる反射的な現象として理解されます。
その発生には、以下のような生理的機序が関与します。

物理刺激→侵害受容器の反応→脊髄反射誘発→筋攣縮

1. 物理刺激
筋肉やその周辺組織に何らかの物理的な刺激(例:筋肉の過伸張や損傷)が加わると、その部位の侵害受容器(痛みを感知する受容器)が活性化します。

2. 侵害受容器の反応
侵害受容器が刺激を受けると、求心性神経(感覚神経)を通じて電気信号が脊髄と脳(視床)に伝達されます。
この情報は、脊髄で処理され、次の反応が誘発されます。

3. 脊髄反射の誘発
脊髄内で侵害受容器からの信号が介在ニューロンに伝わり、これがα運動ニューロンを興奮させます。この結果、筋肉が収縮する脊髄反射が起こります。この反射は、侵害刺激から身体を守る防御機能の一環です。

4. 外側脊髄視床路の関与
侵害受容器からの信号の一部は、脊髄を上行して外側脊髄視床路を通じて脳(視床)に送られます。この経路は、痛みの感覚とその空間的位置情報を脳に伝える役割を果たします。視床に伝えられた情報は、最終的に大脳皮質で認識され、「痛み」として意識されます。

筋緊張の機序


痛みの機序



筋スパズムは、このような脊髄反射と侵害信号伝達の過程において、過剰な筋収縮が誘発される結果として発生します。特に、筋肉が損傷を受けた場合や、過度の刺激が持続すると、反射が繰り返され、痙攣が続くことがあります。


▶筋短縮とは?

一方、筋短縮は、筋肉が収縮した状態で長期間維持され、正常な伸張性が低下した状態を指します。筋肉が収縮することによってその長さが短くなる現象であり、通常は随意的に発生します。
筋短縮は、運動の遂行や力の発揮に直接関与し、アクチンとミオシンフィラメントの滑り込みによって筋節が短くなることが基盤となっています。
この過程は神経からの刺激による活動電位の発生、カルシウムイオンの放出、そしてATPの利用によって駆動されます。
その発生には、以下のような生理的機序が関与します。

筋実質部の変化→伸張性低下→アクチンとミオシンの結合→コラーゲン分子の硬化


1. 筋実質部の変化
筋短縮では、筋肉の筋実質部(筋繊維そのもの)に構造的・機能的な変化が生じます。この変化により筋肉の柔軟性が低下し、正常な伸張が制限されます。

2. 伸張性低下
筋肉が長期間短縮した状態にあると、筋実質部の伸張性が低下します。これは筋線維の弾性が失われるためで、筋肉全体の可動範囲が減少します。

3. アクチンとミオシンの結合維持
筋収縮の基本的な単位は、筋肉内のアクチンとミオシンフィラメントが滑り込むことによるものです。筋短縮が起こると、アクチンとミオシンの結合が持続的に固定され、滑走不全が起きます。この状態では筋肉が弛緩できず、収縮状態が維持されます。

4. コラーゲン分子の硬化
筋肉周囲の結合組織、特にコラーゲン分子が硬化すると、筋肉の柔軟性がさらに低下します(分子間架橋)。結合組織のリモデリングが進むと、筋線維の伸張性が物理的に制限され、短縮状態が固定化されます。

筋短縮の機序

このように、筋短縮は筋実質部と結合組織の両方で構造的な変化が生じる結果として発生します。特に、アクチン・ミオシンフィラメントの持続的な結合やコラーゲン分子の硬化が主因となり、伸張性の低下を引き起こします。

▶筋攣縮と筋短縮の違い

生理学的に見ると、筋攣縮は通常、筋肉内や周辺組織からの異常な入力に反応して引き起こされる不随意な反応であるのに対し、筋短縮は運動ニューロンからの指令に基づく随意的な反応です。
また、筋攣縮では持続的で過剰な収縮が筋肉の疲労や代謝物の蓄積を引き起こしやすいのに対し、筋短縮は通常、適切に制御され、運動のためのエネルギー消費が効率的に行われます。
筋攣縮と筋短縮はそれぞれ異なる条件下で発生し、筋肉に与える影響や役割も大きく異なります

▶本日の転用💡

特に整形分野では可動域制限に対して治療する際に、筋に対してダイレクトマッサージをしたら良いのか、ストレッチをしたらいいのかただ「硬いから」という理由で適当になってしまっている人いるかもしれません!
この現象が、筋攣縮なのか筋短縮なのか、まずはその評価をしなくてはいけません
と同時に、メカニズムを知らないと治療を行うのは「何となく」になってしまいます
しっかりと、その現象、現象に対しての評価を行い、だからこの治療なんだ。と理解し納得した上で行った方が絶対に効果が出ます(^^)
もちろん、治療法は様々で良いと思いますが、何でこんな風になっているのかを知っている、分かっている人に体見てもらいたいですしね!
基礎知識は身につけて起きましょう!

では、また次回(^o^)丿


▶引用文献
林 典雄・赤羽根 良和:肩関節拘縮の評価と運動療法 出典 運動と医学の出版社

いいなと思ったら応援しよう!