日常の手あかを隠す方法
上の画像は私が作った多肉植物の寄せ植えを撮影したものです。
SNSにアップしたところ、ちょっとした反響がありました。
「とってもきれい!」
「すごい、素敵すぎる」
「素敵なお宅にお住まいなんでしょうね」
「どうやって撮っているの?」
など、様々なご意見を頂きました。
画像だけ見ていると、確かに「どんな洒落た家に住んでいるのかしらこの人」と感じるのかもしれません。またはフラワーショップや雑貨屋さんを営んでいてお店で撮ったんでしょ? と思われるかもしれないですね。どちらにしろ日常感はゼロです。
私は普通の賃貸住宅に住んでおりまして、上の写真もその家で撮りました。「自宅は立派なコンテンツ」にも書いたとおり、日常感を漂わせないように暮らすことに重きを置いているのは事実なので、実際とはほど遠い現実感のうすい写真を撮ることを得意としていますし、最新の注意を払うことが楽しく、それはもうほとんど病気の勢いです。
山や海、森など、自然の中では、被写体自体が絵になるので、誰が撮ってもそれなりに美しい写真が撮れます。が、たとえば家で多肉植物を撮りたくなった時、パッと撮っても日常感が映り込んでしまうので、それは私にとって耐えられないことなんですね。気にしない方は気にしないのでしょうが、私はダメです。むしろその気配を取り除く作業をゲームのようにとらえています。
↑ こちらの多肉植物は一枚目の多肉の寄せ植え画像と同じものです。麻布十番まつりでもらったうちわ、手帖、ボールペン、パソコンのコードまで映り込んでいるし、多肉は逆光で暗くなっています。窓のサッシ、挙句の果てにはベランダの物干しざおとハンガーまで映り込んでまるでダメダメです。
では「どうやって撮っているの?」というご質問にお答えしましょう。
---------------- ここから有料です(100円)-----------------
としてもよいくらいの内容なので有難く読んでください。
いきますよ、一枚目の画像を引きで見ると、下図のような光景が広がっています。実はなんでもないダイニングルームの一角です。椅子には紀伊国屋のエコバッグがかかっていますね。昼間なので観葉植物はテラスで日光浴中のため、カゴだけが写っていたり……。
で、まず100円ショップで30㎝四方のパネルを3枚買ってきます。おそらくこれは何十枚も使って壁紙にできるのだと思います。柄は大理石調、木目、レンガ調と色々あります。小物撮影がしやすいように私が選んだのは白です。
普段は3枚を平らに揃えて収納しているので、使う時だけ適当にガムテープで張り合わせます。意外に面倒な作業なので本当に適当です。
3枚のパネルの中央に撮りたいものを置きます。…ああ、後ろの棚の引き出しがちゃんと閉まっていないだらしなさが写し出されていますが、このパネルさえあれば、そんなことも気になりません。軽井沢の別荘ですか?というような仕上がりになります。
どーん。さあ、撮影です。
自宅ですのでプロフェッショナルな照明器具などありませんから、ZOOM打ち合わせに使うドーナッツみたいな照明などを駆使します。でも一番大切な光は、晴れた日の午前中の太陽光線で、その光が間接的に届く明るい室内が理想的です。うちのダイニングルームは南側が大きな窓になっているのでバッチリです。ご存知の方も多いと思いますが、直射日光で撮ると光が強すぎて硬い写真になってしまうので、あくまでも間接的に使います。
↑これが昨日撮影した多肉植物の加工前の画像になります。加工は何も女性の顔面だけに施すものではありません。植物とて同じです。
……というか、植物自体は必要ないほど美しく、むしろ加工などいりません。ここで加工しているのは、パネルを組み合わせた線と下側の隅に映り込んでいるテーブルです。
パネルを組み合わせた線と隅のテーブルを消すには、Photo Retouchというアプリを使います。背景除去の処理を施し、インスタのフィルター“Hudson”を加え、明るさを10%ほどプラスにしたのがこちらの画像です。
今から25年くらい前、ネットフリマが出始めた頃、なんとなくこの技を習得した私は「商品がほしくなるような文章」を加えて、USEDの子どもブランド服を転売していました。まだまだネットフリマのなかった頃なので、ものすごい人気となり、専業主婦なのに毎月OLの月収ほどを稼いでいました。
その技術、今はブランディングや詐欺に役立っています。
日常の手あかを隠す方法、いかがでしょうか。あなたもぜひ挑戦してみてください。