昼シャンとは、お昼にシャンプーをすることではない。
9年間1部上場企業で営業としてゴリゴリと働いていた私は、どれだけパフォーマンスを上げて、いかに早く認められ、出世をするかということばかりを考えて生活をしていた。
特に、出産・育児をするかもしれないから1年でも早く同期入社のみんなより早く、たくさんの経験をして育休等を取っても着実に成長していけるように今のうちに仕事のスキルの貯金をしておこうと頑張っていた。
6年目の春頃、大学時代の同級生の結婚式に招待され出席をした。仕事に追われる日々の私は束の間の休息のようなひと時だった。そこには、懐かしい面々がみんな集まっていて同窓会のような雰囲気に。二次会が終わっても終電の時間までカラオケでみんなで盛り上がった。
そこには大学時代からとても気になっていた先輩も参加していた。とてつもなく美人でモデル級の美女で、7年経ったその時も大学生の時と変わらぬ美貌でさらに大人の魅力を纏っていた。
自然とその先輩とお話しをする中で、サラリーマンまっしぐらな私とは別世界で活躍されていることを知りとても魅力にますます惹きつけられた。
その時に話をしたことは今でも覚えていて、多くの人が知る企業を巻き込む大きなスケールの敏腕仕掛け人の一人で、そんな大きな仕掛けができる頭の回転の速さをとてもかっこいいと思った。でもその姿は日常の姿のほんの一部ということも後ほど知ることに。
私はその日からその先輩に経験談や、今その方が見えている目線を教えてもらった。
週末の昼下がりの銀座で、待ち合わせをするととても気持ちのいいサービスのお店でシャンパンを飲む。とてもそれが似合うのだ。
昼シャン。私は常々朝シャン派だ。でもそうじゃない。昼からシャンパンだ。
これまでの経歴や、仕事の考え方、人生の考え方、これからのこと。多くのことを話し、私はあることにようやく気がついた。
一部上場企業で働くことだけが、成功ではない。こんな世界もあるんだ。ー
今まで成功を掴むために当たり前と考えてきたことが、この時にグラグラと崩れることになる。でもその時は全然気がついていなかった。私はこの会社が心から好きでこの会社で全うしたい。そんな風に思っていたし、今でもその思いはある。
でも心の中で、きっとこの働き方には限界がある。そして時間の拘束が強い。働きながら子育てをすることもなぜか罪のような感覚さえ覚えるこの感覚にようやく違和感を感じられるようになったきっかけだったのは間違いなかった。