大手コンサルとベンチャーコンサル、どちらに行くべきか?
最近コンサル記事ばかりになり恐縮ですが、今日もコンサル記事です。
求職者から聞かれる質問で、「コンサル行くにしても、大手とベンチャーコンサルどっちがいいですか?」というのはよくあります。
これは人それぞれ解がありますし、大手/ベンチャーの中も千差万別なので、一概には言えないところです。
とはいえ、一定の特徴はあるので、参考程度に私感含めて記載していきます。
※いつもの注釈ですが、職業柄ITバックグラウンドの方とメインに話すため、一定その方々向けの話が多くなります。
※また、ここで大手コンサルとベンチャーコンサルの特徴をわかりやすく記載していますが、0か100かではなく、あくまで「その色が強い」「大手(ベンチャー)と比べると一般的には」という感覚でとらえてください。
大手コンサルとベンチャーコンサルの定義
決められた定義はないのですが、便宜上設立10年程度未満かつ従業員数2000名以下をベンチャーコンサル、設立10年以上かつ従業員数2000名以上を大手コンサルとします。
したがって、設立10年以上だが中小規模のコンサルや、設立10年未満で2000名以上(おそらくなさそうですが)のコンサルはここでは一旦除外します。
大手コンサル例:Big4、アクセンチュア、ベイカレントコンサルティング、アビームコンサルティング
ベンチャーコンサル例:リブコンサルティング、ビジョンコンサルティング、ノースサンド、Dirbato
大手コンサルの特徴
顧客/案件規模の大きさ
大手コンサルの顧客は、大企業(時価総額も○○億以上)がメインです。
以前からそうした企業との繋がりがあった、大規模案件をこなせる人員数がいる、大手コンサルの一人当たり単価が高いので中小企業だとコストが厳しい、小規模案件のみだと利益を得にくい、といった理由からです。
顧客/案件規模の大きさは、PJを成功させる難易度や、社会に与えるインパクト(社会貢献性)に直結します。
また、大企業の戦略の中心のコンサルをやれることも強みです。ベンチャーコンサルだと、一定特定領域(IT戦略)や中小企業相手の戦略までは入り込めますが、なかなか大企業の戦略の中心部分のコンサルに踏み込むことは難しいです。
年収の高さ
人それぞれではありますが、基本的には大手コンサルのほうがベンチャーコンサルよりも年収が高いケースが多いです。
大手コンサル⇒ベンチャーコンサルの転職の際には、ベンチャーコンサル側がどうしても採用したいために年収を現年収より上げて提示するケースはあります。
ただ、この場合でも、大手コンサル⇒大手コンサルのほうが、提示年収が高いケースの方が多いです。
この年収の高さは、結局顧客/案件規模の大きいものを保有しており、その分売上/利益率を高く担保できるためです。
豊富な社内ナレッジ/優秀メンバーの存在
長年日本/世界の大企業のコンサルをしているため、コンサル手法や研修内容等は充実しています。また、各種Awardを受賞しているメンバーも社内に多く在籍しており、その分野のトップが在籍していることも多いです。
一例ですが、SAPの有資格取得者数、SAP AWARDでも、Big4やアクセンチュア、アビームといった大手コンサルの存在が顕著にみられます。
業界/ソリューションの専門性の持ちやすさ
ベイカレントコンサルティング社はワンプール制をとっているため少しずれますが、大手コンサルは基本的に部門がかなり分かれているため、その部分の専門性を持ちやすくなります。
大手コンサルだと、大まかにインダストリー(業界)やソリューション毎に部署が分かれており、例えば金融業界のコンサルになった場合は、金融のスペシャリストになることが可能です(異動制度もあるため、望めば異動の可能性はありえますが)。
※注:ワンプール制
ワンプール制とは、コンサルタントを特定領域に固定せず、様々な案件に参画が可能な制度です。ベイカレント・コンサルティング社や、ベイカレント社出身の方が立ち上げた企業は、この制度を取り入れています。
ワンプール制だと専門性がつくかどうか、については、以下の記事での考え方もあるので、これは各自でうまくとらえていただけると幸いです。
ベンチャーコンサルの特徴
早期に役職アップを望める(マネジメント経験を積みやすい)
ベンチャーコンサルは、組織の拡大スピードに対し、上の役職(シニアコンサルやマネージャー層以上)が空いているケースが多いです。
後述しますが、ポテンシャル採用も多く実施しているため、メンバー層も多く、そこをマネジメントする層を求めています。
したがって、コンサル未経験の方でも、メンバーで入社した後、活躍次第では早い段階でシニアコンサルやマネージャー層に上がり、メンバーのマネジメントを経験することが可能です。
自社の事業/組織づくりに参画しやすい
大手コンサルと比べると、組織体制や教育体制が整っていないため、こうした領域の整備にも携わりやすいです。
また、ベンチャーコンサルの中には、大手コンサルとの差別化のために新規事業を展開する企業もあります。そうした新規事業の企画~実行まで携わることができるのは、ベンチャーコンサルならではです。
※この項目に関しては、一定のレイヤー(マネージャー層)以上の人でないと難しいです。この辺りを勘違いして、すぐに会社経営にも携われると思われる人もいるので、注意書きしました。
様々な業界/分野の案件に参画しやすい
大手コンサルの専門性の部分に記載した通り、ベンチャーコンサル周りはインダストリー/ソリューションで部署が分かれていないケースが多いです。
そのため、例えば金融系のPJにアサインされた後、流通系、通信系、といった業界案件を経験できたり、SAP導入支援コンサルをした後にSalesforceの導入支援、オンプレ⇒クラウドへの移行支援等の経験をすることも可能です。
また、特定領域に精通しない人たちも案件にアサインしやすいように、PMO案件を多く保有しているケースもあります。PMOは実行フェーズを品質や納期含め正しく進められるようにする重要な役割です。そうした進捗管理/品質管理の要素を学びたい方にもおすすめできます。
入社難易度
入社難易度は基本的に大手コンサル>ベンチャーコンサルです。
大手コンサルのほうが人気なため、ベンチャーコンサル側は一定基準を落とさないと採用難になってしまうためです。
ベンチャーコンサルに内定がでたけれども大手コンサルは落ちてしまう人は多くいますが、逆を見るケースはかなり稀です。
両方に共通するスキルとしては、コミュニケーションスキル(Q&Aがずれない、ある程度端的に話せる)やロジカルシンキング(論理的に話せるか)など、一定のビジネススキルは見られます。
専門スキルでは、大手コンサルの場合、例えば20代でも要件定義やリーダーの経験、30代後半以降はコンサル経験やプライムSIerでの大規模PJのPM経験など、一定高い基準を設けています。
ベンチャーコンサルの場合は、20代でもITの素養がある方は、設計以降の経験やメンバー経験のみでも通過したり、30代後半や40代、50代でも、ある程度の規模のリーダーや要件定義位で通過するケースがあります。
したがって、大手コンサルがよい!という方でも、もし大手コンサルに入れなかった場合は、ベンチャーコンサルへの転職も視野にいれるとよいと思われます。
ベンチャーコンサルで一定経験を積めば、大手コンサルにチャレンジすることは十分可能です。
まとめ
以上で大手コンサルとベンチャーコンサルの違いをまとめました。
改めての注意点ですが、大手/ベンチャーどちらが良いという話ではなく、それは個々人が何を学びたいか、どういう学び方があっているか、何を成し遂げたいか、といった要素が絡んできます。
また、大手/ベンチャーのあくまで傾向であって、企業によっても内容は全く異なるので、前提知識としていれつつ、各企業ごとに実態を確認いただけるとよいです。
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