大手企業とベンチャーどちらがいいのか?~②ベンチャー企業至上主義への警鐘~
IT業界エージェントの芦野です。
今日は大手企業とベンチャー企業どっちがいいの?の第二弾として、ベンチャー企業至上主義への疑問符を投げかけます。
前回の記事では以下のようにまとめました。
・大手=終身雇用/年功序列があるから安泰、といった時代が終わった
・理由は日本経済の低迷による終身雇用/年功序列の終焉
・個別企業でみても、VUCA時代が到来し、将来を保証された企業はない
上記をうけ、大手企業では安泰ではなく、ベンチャー企業がよいのでは?といった風潮がでてきています。個人的にそこに一定同意しつつ、持論をつらつら記載できればと思います。
ベンチャー企業の定義
そもそも「ベンチャー企業」の定義はなんでしょうか?これは決まったものはなく、人によって定義がずれます。
ただ、一般的に現在多くの意味でつかわれているのが、大体以下のコトラさんの記事かと思います。
上記の記事にあるように、ベンチャーとは、
・「新規性があること」
・「短期間での急成長を目指すこと(実現したこと)」
となります。
したがって、決して創業2年の10名程度の企業だけでなく、ヤフーやディーエヌエーのような企業も含まれます。
ベンチャー企業の特徴
ベンチャー企業で働くメリットとしては、
・裁量を持って働ける
・成果次第で出世しやすい=上のレイヤーの仕事をやりやすい
といった点です。
ベンチャー企業は会社の成長スピード/本来やりたいことに対して、人手が足りていない傾向にあります。またそれに伴いマネジメントレイヤー以上が不足している傾向にあります。
したがって、与えられた範囲ではなく、裁量をもって幅広く業務を主体的に行う、それによって成果をあげることで、年次に関わらず出世(マネジメントレイヤー)しやすい、といった特徴があります。
上記は大手企業ではすぐに味わいきれない要素のため、ベンチャー企業にいったほうが市場価値があがりやすい、といった論調は一定正しいものかと思われます。
ベンチャー企業の落とし穴
大手企業も安泰ではない
⇒VUCA時代に生き残るならスキル=市場価値を高める必要がある
⇒ベンチャー企業は裁量もてるし実力次第で出世もしやすい(経験の幅が広がる)ので市場価値高まる
⇒ベンチャーが良い
といった論調はある種正解ですが、以下のような見落としがちな落とし穴があります。
ベンチャーにいくことが目的になる
このタイプは、ベンチャーにいけば市場価値があがる、と思ってベンチャーに入社し、そこで一定成果をだせなくなる傾向があります。
ベンチャーに入って裁量があるといっても、案外その裁量を活かさない/結局受け身に働く人も一定います。ベンチャーでは会社成長のため、一定業務量も多い傾向があり、「目の前のタスクをただこなすだけ」になることもあります。
そうなると、ベンチャーのメリットが活かせないため、あまり行く意味がありません。
さらに重要なのは、「自分はどれだけ裁量/主体性をだせる環境を求めているのか」です。
裁量を求めている、と言っても、
・上司から何も言われなくても様々なことをやりたい
・一定上司からのサポートが欲しい
・何をやるか、を決めてもらったうえで、その中で一定の創意工夫の幅をもちたい
等、タイプは様々です。
一番最後のタイプ等、そこまで大きな裁量を求めていない方であれば、特にベンチャー企業にこだわらず、幅広く選択肢を広げるのもありです。
良質な経験を積みにくいベンチャーもある
裁量を最大限に使える/主体性持って働ける、といった人であっても、すべてのベンチャーがいいわけではありません。
特にシード/アーリーフェーズの企業の場合は、まずはプロダクトを売り、売り上げを拡大することが急務です。そのため、例えばエンジニアにとっては、プロダクトの品質等は二の次になり、とりあえずリリースする、といった作業が続くことがあります。
さらにその製品の売上が伸びないと、積極的な投資ができないため、プロダクトの思い切った機能追加/新規プロダクトのリリースもしづらく、エンジニアとして新たなチャレンジがしにくいです。
また、そうしたベンチャーだと、優秀な経歴の方もあまり入ってこないため、周りから吸収することも難しく、気づいたらベンチャーにはいるけど、思ったように成長していない(ハードワークスキル/ストレス耐性だけ見についた)、といったことにもなりかねません。
実際、上記のようなベンチャー出身のエンジニアの方の転職支援をすることもありますが、
・品質の観点が弱い
・大規模サービスの経験がない(負荷対策の考えが弱い)
等、様々な理由でお見送りとなるケースがあります。
まとめ
本記事では、ベンチャー企業にいく=成長につながる、とはならないケースもあることを記載しました。
※上記理由以外でも、ベンチャーのメリット/デメリットはあります。
次の記事では、大手企業でも市場価値を高められるケースがあることを記載していきます。
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