見出し画像

副大統領候補のJ.D.バンスとテクノロジー業界との相性


 政治組織や企業、非営利団体を対象にデジタル戦略や広報戦略などの戦略コンサルティングをサービス提供するPrecision Strategies社の共同設立者のテディ・ゴフ(Teddy Goff)氏がトランプ大統領候補の副大統領候補として指名されたJ.D.バンス氏のテクノロジー業界とのつながりや影響、TikTokを利用した大統領選挙キャンペーンについてのインタビューに答えました。
 
[主なポイント]

  • 副大統領候補のJ.D.バンスとテック業界の思惑には多くの共通点がある

  • 但し、対立軸もあり、良い面もあれば、悪い面もある

  • 副大統領が政権に大きな影響力を持つかは不透明

  • TikTokは選挙キャンペーンに重要だがそれだけではない

  • ソーシャルメディアの安全な利用には、両陣営も関心がない

ご参考下さい。


(Original:2024/07/18)


【インタビュー】

[キャロライン・ハイド](Bloomberg)
 
ホワイトハウスにベンチャーキャピタリストが就任することの意味について、あなたの考えを聞きたいです。小規模企業の技術革新のための政策にどの程度の変化があると思いますか?

[テディ・ゴフ](Precision Strategies)
 ご招待ありがとうございます。まず第一に、政権交代があるかどうかが最も重要だと思います。トランプ前大統領や将来のトランプ大統領の可能性がある場合、常にある程度の変動や不確実性があります。宮中の陰謀(palace intrigue)が常に存在しますし、副大統領がトランプ大統領に大きな影響力を持つとは限りません。実際、最初の副大統領もそうではありませんでした。
 J.D.バンスが副大統領になることは、テック業界にとって良いことだと思います。彼はそのコミュニティの一員であり、ここ数年のキャリアを通じてそうでした。特にAIや暗号通貨の規制緩和に関して、彼は同じように関心を持っています。ただし、テック業界は一枚岩ではなく、深い溝があります。共和党もそのような問題すべてにおいて業界と歩調を合わせているわけではありません。
 規制緩和、税制、暗号通貨、AIに関しては、J.D.バンスが望んでいることとテック業界の多くが望んでいることに一致点があると思います。しかし、刑法230条(名誉棄損)やプライバシー、コンペティションに関しては、ある程度対立が生じるでしょう。したがって、テック業界にとって良い面もあれば、悪い面もあると考えられます。

[エド・ルドロー](Bloomberg)
 テディ、おはようございます。サンフランシスコのエドです。今日はTikTokについて少し話しましょう。私たちのアナリストであるマンディープ・シンが、TikTokを政治的コミュニケーションの手段としてだけでなく、政策的な観点からも論じているのを聞いたばかりです。
 アメリカの有権者はTikTokをどの程度気にしていると思いますか?1億7000万人のアメリカ人がTikTokを使っていると言われています。この番組でも常々お伝えしているように、TikTokを利用している多くのアメリカ人はTikTokを気に入っています。ですから、私はこの点が非常に興味深いと思っています。
 TikTokは世界的に利用されており、次回の大統領選挙でどれほど重要な役割を果たすと思いますか?

[テディ]
 現実的に考えると、この国には投票先として2つの選択肢(民主党と共和党)があります。そして、それらを評価するために数多くの問題があります。個々の問題で人々の考えを変えるのは難しいです。中絶の問題でさえ、多くの人にとって決定的な投票の要因にはならないかもしれません。しかし、この国の選挙は接戦になることが多いです。
 TikTokを争点として取り上げられたくない若者が多く存在し、彼らの投票行動に影響を与える可能性があります。ただ、これらの問題や両党間の深い溝を考えると、TikTokの問題が彼らをどちらか一方からもう一方に動かすことは少ないでしょう。なぜなら、TikTokを愛する若者たちは、自らの手でTikTokを議論に取り上げることはないからです。

[キャロライン]
 私も使っています。私はデジタル・ディレクターとして、また前職においても現在も、的確なアドバイスをする者として興味があります。また、個人がコンテンツを消費する方法に泥を塗っている(muddying)人工知能について、どの程度考慮しなければならないのでしょうか?

[テディ]
 大統領候補がソーシャルメディアを活用することは必須だと思います。TikTokを国家安全保障上のリスクと評価するかどうかは別にして、難しい問題であることは明白です。おっしゃる通り、TikTokは非常に重要なコミュニケーションプラットフォームであり、多くのアメリカの若者が膨大な時間を費やしています。彼らはニュースだけでなく、文化的な情報もそこで得ています。そのため、民主党も共和党もこのプラットフォームで勝負する必要があります。
 ただし、TikTokでは個人のアカウントがそれほど大きな影響力を持つことは難しいでしょう。クリエイターやコンテンツが非常に多いためです。ですから、問題は1つのアカウントに頼るのではなく、もっと広範囲にわたる戦略を考えるべきです。どうすれば政治運動が自分たちの見解に多くの目を向けさせるような多くの声を生み出せるか、これが重要なポイントです。

[エド]
 テディ、あなたはオバマ大統領に社会戦略や再選、週末の出来事や暗殺未遂について助言し、ソーシャルメディアのリスクや誤った情報の拡散についても助言しました。ソーシャルメディアの安全な使い方をどちらの陣営も理解しているのでしょうか?

[テディ]
 私の意見では、どちらの陣営も安全に使うことに関心がないようです。超党派的な立場をとりたいわけではありませんが、その証拠は多くあります。偽情報に対抗するのは非常に難しい現実があります。これに関する学術的な研究も多く、政治的な実験や企業による実験も数多く行われています。
 ファクトチェックや警告を出すなど、様々な偽情報緩和テクニックがありますが、それでも偽情報は依然として強力です。一旦世に出れば、人々の心に深く刻まれやすくなります。また、何が真実で何がそうでないかについて人々に疑問を抱かせる傾向があり、結果として、人々は信じたいことを信じ、信じたくないことを信じないようになります。
 個々の誤報に対抗する優れた方法がないかもしれません。だからこそ、キャンペーンとして自分たちのストーリーを世に知らしめることが重要です。モグラたたきのように偽情報に対抗するのは難しいですが、できる限り力強く、効果的で積極的なメッセージを発信することが大切です。偽情報に対抗するのは困難ですが、その影響を克服できれば良い結果を得られるでしょう。
 
 

 以上


 最後までお読み頂きまして誠に有難うございます。
役に立ちましたら、スキ、フォロー頂けると大変喜び、モチベーションにもつながりますので、是非よろしくお願いいたします。 


だうじょん


免責事項


 本執筆内容は、執筆者個人の備忘録を情報提供のみを目的として公開するものであり、いかなる金融商品や個別株への投資勧誘や投資手法を推奨するものではありません。また、本執筆によって提供される情報は、個々の読者の方々にとって適切であるとは限らず、またその真実性、完全性、正確性、いかなる特定の目的への適時性について保証されるものではありません。 投資を行う際は、株式への投資は大きなリスクを伴うものであることをご認識の上、読者の皆様ご自身の判断と責任で投資なされるようお願い申し上げます。



 

いいなと思ったら応援しよう!