S&P500の年内目標価格は5600? 30%上昇の期待できる中型株にフォーカス(ゴールドマンサックス)
ゴールドマン・サックスのデビッド・コスチン氏を迎えてのBloombergのインタビューです。デビッド・コスチン氏は、S&P 500の年内目標価格を5600、選挙12ヶ月後の目標価格は6000を見込んでいます。また、賃金のインフレが緩やかになる局面では、労働コスト比率が高い企業の方がメリットを享受しやすく、その分、株価にもプラスの影響がもたらされており、ここ数週間のベンチマークでも、約9パーセント程度の超過リターンを上げているとしています。またFRBの利下げの後は、大型株や小型株ではなく、中型株が最も高いパフォーマンスを示し、バリュエーションの低い中型株にフォーカスしているとしています。以下は会話の中のテーマです。
S&P 500の目標価格と大統領選挙の影響
労働コストの株価への影響
30%成長が期待される中型株
(1)インタビュー
[ソナリ・バサク](Bloomberg)
S&Pの目標価格を5600に設定されているのは興味深いです。現在の水準はそれを上回っており、5700を超えています。目標価格からすると下落を予想していることになりますが、その水準に戻る要因は何でしょうか? もしくは、再度目標価格を引き上げることを検討されているのでしょうか? 今年はすでに3回引き上げていると認識していますが。
[デビッド・コスチン](ゴールドマン・サックス)
選挙まであと1か月半ほどありますが、歴史的に見るとボラティリティが上がり、株価は下がる傾向があります。選挙には不確実性が伴いますので、それが短期的な懸念材料となります。ただし、この不確実性は通常、選挙後に解消されるものです。その結果、選挙後に株式市場が上昇する傾向が見られます。
したがって、戦術的には、選挙前には過去の歴史の通りの懸念があるとしつつも、年末に向けてはラリーが起こる可能性が高いと考えています。そして、1年先を見据えた場合、S&P 500の目標価格は6000に近づく可能性が高く、それが我々のの目標価格です。よって、今年末までの短期目標としては5600を想定し、12か月先には6000を見込んでいます。
[マット・ミラー](Bloomberg)
コスチンさん。あなたは労働コスト、つまり賃金の低下が株価を押し上げる要因になるとおっしゃっていましたね。もし最終的には、バイデン政権が国境を越えて押し寄せる移民の洪水を食い止めたとして、そして、もし次の政権がそれを維持し、さらに、一部の労働者を彼らの母国に帰国させるようなことをしたら、賃金の上昇圧力が生じないでしょうか?
[デビッド・コスチン](ゴールドマン・サックス)
その点については、ポートフォリオマネージャーとして考えるべきだと思います。重要なのは、労働コストの分布や、企業が労働力にどれだけコストをかけているか、そのセンシティビティにフォーカスすることです。市場全体を見た場合、典型的な企業の売上の約12%が労働予算(Labor budget)に使われているということになります。この労働予算には、賃金、給与、ボーナス、そして医療費なども含まれます。市場全体でおおよそ12%、そして一般的な株式で見れば14%程度になるかもしれません。
ここで注目すべきなのは、その分布です。労働コストの割合が低い企業もあれば、高い企業もあります。例えば、一部の企業ではその割合が5%や6%の低い水準にある一方で、他の企業や業界では30%近くに達することもあります。こうした違いを投資家として見極めることが重要です。賃金のインフレが緩やかになる局面では、労働コスト比率が高い企業の方がメリットを享受しやすく、その分、株価にもプラスの影響が出る可能性があります。
実際、ここ数週間で、労働コストが高い企業の方が、低い企業に比べて約9パーセント程度の上昇リターンを上げているのを目にしています。ヘッジファンドの視点で言えば、このロング・ショートの差は、投資家としての見方を形成する上で非常に参考になります。
[マット・ミラー](Bloomberg)
それをアクティブ運用で使っているということですか?
市場全体で見ると、確かに労働コストが下がることが企業の利益にプラスになると理解できます。特に決算発表の際には、その恩恵が見られるでしょう。しかし、一方でそれが消費者信頼感に悪影響を与える可能性があるのも事実です。今日も消費者信頼感の数値が大きく予想を下回りました。これは消費者の購買意欲にも影響を与える可能性がありますので、その点も考慮する必要がありますよね。
[デビッド・コスチン](ゴールドマン・サックス)
そうですね、消費者の動向は非常に興味深いポイントです。例えば、消費財セクターを見ると、典型的な企業のコスト構造のうち約9%が労働コストに占められています。まずはこの点を考慮しなければなりませんが、残りのコストは原材料や食品など、企業によって異なる要素が占めています。労働コストを他の要素と比較することで、その影響を適切に理解できます。ただし、消費財セクターは利益率が全体的に低いので、労働コストの影響は大きいです。
一方で、テクノロジーセクターを見ると、従業員の賃金が比較的高く、労働予算の売上に対する割合も高い傾向にありますが、その分、利益率も高いです。ですので、業界ごとに異なる視点で企業を考える必要があります。どの業界にも、労働コスト構造が高い企業と低い企業が存在するため、労働コストをその文脈で把握し、個別企業を特定する材料として活用しています。
現在、私たちが特に注目しているのは中型株です。多くのポートフォリオマネージャーが大型株や小型株に焦点を当てている中で、中型株はあまり注目されていません。実際、私はここ数日で約45人のポートフォリオマネージャーと話しましたが、話題に上がるのはほとんどが大型株か小型株です。しかし、中型株はこれまでのパフォーマンスで大型株や小型株を上回る実績があります。具体的には、中型株は市場全体と比べてかなり低いマルチプルで取引されており、約15倍のバリュエーションに対して、大型株は21倍、場合によっては22倍近くまで上がります。したがって、中型株にはより良い価値が見込まれます。
さらに、特に注目すべきは、FRBが金利を引き下げた後は、中型株が最も好パフォーマンスを示すことです。先週、FRBが利下げを行ったこともあり、今後の3カ月から12カ月の期間で中型株は好調な成績を収める傾向があります。したがって、私たちはこの分野にフォーカスしており、来年にかけて中型株は30%程度の上昇が期待できると考えています。市場全体では5%前後の上昇が見込まれていますが、それよりも大きな成長が期待できる分野です。
(2)オリジナル・コンテンツ
オリジナル・コンテンツは、以下リンクからご覧になれます。
尚、本投稿の内容は、参考訳です。また、意訳や省略、情報を補足したコンテンツを含んでいます。
① Goldman's Kostin Sees S&P 500 at 6,000 a Year From Now
Bloomberg Televisionより
(Original Published date : 2024/09/24 EST)
② Goldman's Kostin Sees Mid-Cap Stocks Outperforming
Bloomberg Televisionより
(Original Published date : 2024/09/24 EST)
以上です。
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だうじょん
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