帰省日記③ 新快速
1月3日 帰る場所
明日出町座で上映の「ナミビアの砂漠」のチケットを取った。岡山の実家のリビングから、京都の映画館に予約の電話をかける。帰る場所がいくつかあると安心する。
友人がインスタのDMで「これめっちゃ良かったです」と薦めてくれたロボット・ドリームズも明日アップリンクで上映されるようだったので、これもチケットを取った。明日は関西に帰って映画館をはしごだ。
帰りの新幹線は14時頃に新大阪着のやつにした。他のちょうどいい時間の新幹線は全部満席だった。
ナミビア旅行の時に参加した現地ツアーで知り合った日本の友人が写真集を買ってくれて、LINEで感想をくれた。写真集にはナミブ砂漠で撮った写真も収録していたから、懐かしい気持ちで見てくれたそう。
メッセージの締めくくりに、
「元気に暮らせてはるのかは分かりませんが、いろいろアウトプットされているのはいい事だと思います。また、いつかお話したいです」。
私が元気じゃない可能性もあると思ってくださっている優しさにじーんときた。
お昼から地元の友達と4人で遊んだ。私が帰省する時にはいつも予定を合わせて集まってくれる、ラブすぎる友達。
みんなの近況を聞く。それぞれの場所で日々を紡ぎ、人生を進めていて感動した。凄いな。
私は進んでいるんだろうか。
いつまでたっても風呂が苦手。「あ〜〜風呂めんどくさ……」と連呼し、母に「頑張れ!」「頑張るんだ!」と励まされながらのそのそとソファから起き上がり、ススス……と脱衣所の扉を閉め、無事風呂場にログイン。毎日こんなふうに励まされなきゃ風呂に入れない。26歳にもなって情けない。不潔な人間と思われそうであまり人には言えないけど、心の底から本当に風呂が苦手。
帰省初日はまだ関西弁のノリが残っていて、岡山弁は見え隠れするぐらいだったけれど、親や友達と話すうちに、地元にいた頃の話し方を取り戻してきた。でもやっと本調子になった頃に帰省が終わるので悲しい。
久々に歯列矯正後のリテーナー(歯がズレないようにするマウスピースみたいなやつ)を着けたら痛くて痛くてたまったもんじゃない。でもこれ以上歯がズレたら困るので耐える。
1月4日 右へ左へ
ホニャホニャと10時半に起き、トーストの上にスクランブルエッグとベーコンを乗せてマヨをぴろぴろかけて食べ、これを朝兼昼ごはんとし、実家を出た。また3月に来るけどね。親が倉敷駅まで車で送ってくれて、ロータリーで「じゃ、また3月に」と言って別れた。親と別れる時、いつもこれが最後になったらどうしようと思ってしまうのをやめたい。
新幹線の時間の30分前に岡山駅に着いたので人の流れをぼーっと眺める。こうして見ると、スーツケースって人間に飼われているみたいだな。あっちへこっちへ、つるつると動きまわる色とりどりの四角い生き物たち。
関西へ戻ってきた。帰省の時は京都ではなくて1つ手前の新大阪で新幹線を降りて、新快速に乗り換える。その方が1000円以上安くなるから。ドアツードアの所要時間はそんな変わらんし、「しんかんせん」「しんかいそく」ってひらがなにしても半分は同じやしそんな変わらんね。関係ないか。
自宅に着いて荷物を解き、洗濯機をぶん回し、ごみを捨てる。机の上にはなんかしらの書類やらカップヌードルやらキャンドルやらが散乱していたのだけど、片付け方が分からず小物を右へ左へ移動するだけになっちゃった。なんでこんなに物が増えているんだろう。おかしいな……。
文フリ京都で使う什器が届いた。ポスタースタンドを試しに組み立ててみたんだけれど、なかなかいいぞこれは……!ブースっぽい!ポスターの内容、考えなくちゃだな。値札とかも作らなきゃ。
出町座でナミビアの砂漠を観た。河合優実さんの演技がとても素でたまらなく良かった。
「ブーパッポンカレー嫌い。蟹見た目キモイじゃん」
「でも響き可愛くない?ブーパッポンカレー」
「ぶーぱっぽんかれー」
このやりとり好き。
烏丸御池に移動して、ひゃくてんまんてんで夜ご飯。2回目の来店。お店の大将と女将さんが私のことを覚えてくれていて、話しかけてくださった。
アップリンク京都でロボット・ドリームズを観た。とてもいい映画だった。後半がさあ……あれさあ……めっちゃ泣いた。でもあれで良かったんだよな。
ナミビアの砂漠もロボット・ドリームズも、全く雰囲気が違う映画なのに、どちらを観ているときも何故か同じ人のことを思い浮かべていた。