【エッセイ】続編 トルコの友人 Dike 2.「再会」1/2
大学で1年間トルコ語の講義を受講していた。
その成果はこんなところだ。
ー Merhaba. Nasılsınız? Teşekkür ederim.
iとı、çとc、şとs、 öやüなどの音くらいは分かる...。
― 以上。
さて、OmarとはGoogle Translateで会話する。 もちろん運転中の彼には容易ではない。
窓の外の景色を眺める。
「おなかがすいている?サンドイッチとコーラがほしい?」
翻訳の日本語は不自然なカタカナを時折混ぜながら私に問いかける。
そういえば日が昇る前の出発だったから、なにも食べていなかった。 ここで一緒にランチ休憩をするのがいいと思って「食べたい」と答えた。
彼は車を道路の中央、上下の車線を分ける仕切りに沿って、すでに一台止まっているさらに外側に停めて、「待ってて」と合図してドナルの店に入っていった。 頻繁に鳴り響くクラクションが私に対してではないことを祈りながら。
しばらくして彼は袋を携えて帰ってきた。
中にはWrapが入っている。おしぼりも二つ。
Omarは食べないのかと聞くと、今は食べないという。
― 私は肝心なことをすっかり忘れていた。
そう、始まったのは5月の頭。
もう過ぎ去った気になっていた。
いやそんなことはない。 今は、
ラマダンの時期。
彼はこんなにも世の中が暑いのに、水一滴すら口にしない。
それはそうだ。もう一度言うが、ラマダン中だから。
その隣でおいしくWrapをいただくのにはやはり気が引ける。
私はせっかく買ってきてもらったから、一口二口は食べて、それで食事を一休みすることにした。
すると、Dikeから電話がかかってきた。
彼女は、もう近くに来ているよと言っているのであろうか、Omarが信号待ちの中、きょろきょろ辺りを見渡している。
それにしても街中の渋滞がすごい。 いつもこれではストレスが溜まるにきまっている。
さて、車は道の端に停まった。
そして見上げると、そこにはあのDikeが立っていた。
Dikeは私に窓越しにキスをすると、後部座席にさっさと乗り込んだ。
― これにてDikeとの再会までの冒険は終了した。
と同時に、この瞬間私の旅の乗り物は始まりの汽笛を大空に轟かせた。
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