【エッセイ】続編 トルコの友人 Dike 2.「再会」2/2
Dikeは自分のOfficeを見せると言い、さっそく車でそこへ向かった。
彼女のOfficeは高いピカピカで美しいビルの13階にあった。午後も仕事を続ける彼女の同僚に挨拶をした。
彼女はバルコニーまで私を案内し、「少し休憩しよう」という言葉を使って、私がさっき残したWrapを食べる時間をくれた。
― Omarは私が遠慮して車で食べなかったのを気にして、それをDikeに伝えたようだった。 その間彼は運転係として車で待っている。
バルコニーからは街中を見渡せ、(ここはオフィス街で高いビルがいくつも並ぶが、遠くの景色は歴史的な古い街並みであった。ふとドイツで高台から一緒に見おろした暖色屋根の整った街の風景を思い出した)ソファでくつろぎ彼女の仕事の話を聞いた。
―― 彼女は大学で心理学を専攻していた。 今はカウンセラーとして働いている。
セキュリティのしっかりした高層ビルに毎日渋滞に揉まれながら通勤し、自分のスキルで人の助けになっている。私が想像しても知れない、見たことのなかった彼女の人生を垣間見て、不思議な感覚になった。 そして彼女を友人に持つことを想うと誇らしく嬉しい気持ちにもなった。
暖かく心地よい風を浴びた私たちは、待たせているOmarを思い出して、休憩を終えた。
去り際、彼女はオフィスのエントランスにあるオブジェをぜひとも見てほしいと言った。
さっき入り口で確かに見た。青い目をした西洋女性の顔を模った白くて大きなオブジェがゆっくりと回転していた。
私たちは傍のソファに腰かけた。
天井のライトを見上げる。
ライトから布が垂れ、くるくる回転している。それはまるで..
「スーフィー..」
「Yes! you know it?」
それはセマーと呼ばれるスーフィズムにおけるダンスを連想させるものだった。セマ—は人がくるくる回ることで意識を朦朧とさせ、神との一体を感じるものらしい。
なるほど、トルコならではのライトのデザイン。面白い。
そこから視線をドアの方に向けると、先程の回転する顔のオブジェがある。
さっきちらっと見たけどなと思いながら、こちらに顔が正面になるのを待つ。
先程の西洋顔がこちらを向く。
"3人"で写真を撮った。
Dikeは、
「少し待ってて。すぐに分かるから。」
と言って再びソファに腰かけた。
オブジェはゆっくりと回転する。
西洋顔が横顔になった頃、もう半分に別の顔が表れた。
なるほど。それには全く気が付かなかった。
最初それは、別の怒っている表情か何かかと思った。 なぜなら目が鋭く見えたから。
再びなるほど。一重なのか。
それは、アジアの女性を模った顔だった。
今正面を向く。
今度はこの"3ショット"を写真に収めた。
Dikeは満足そうに私を見た。
― そう。イスタンブールは東と西の中間点、二つの文化が入り交ざる都市。
ヨーロッパとアジアを繋ぐ歴史ある場所。
私とDikeの関係は、まさに東と西を結ぶもので、地理的、空間的な溝を埋め、信頼関係を築き、友達という特別な存在にさえなれた。忘れていたがそれがどんなに貴重で奇跡的で素敵なことか。嬉しくて、同時に不思議で、あらゆる人生の経験を経て今自分がこの場所に立っていることを考えたとき、わくわくした。