Timeless. その物語の始まりは.....
自己紹介からはじまったNoteの記念すべき最初のページから少し時間が経ってしまいました。書こうと思いながらも、なかなかnoteに向かうことができず、しかし、全く書いていないわけではなく、いくつか整理しながら、記録をたどっていく。その過程が本当は好きで、そしてさらに言うと、書くということは残すことでもある。だからこそ、次に書きだすのは大事にしたい。その大事なところが、実を言うと、このタイトルにある「Timeless. その物語の始まりは.....」の話です。
これは私達の出会いとそこから生まれた作品を紹介しながら、その過程の中でどんなことが起きたのか、そして今も続いている動きなどを少しづつ書いていきたいと思います。
私達は大学の芸術研究課題で出会い、その課題を進めていく中で、お互い「自然の法則」に興味を持ちはじめ、近くにある川や街中の公園、さらに遠くの山々など自然の中にある形や色を探しに旅をはじめました。そして、旅を重ねるうちにふと気がついたのです。それは、とても重要なメッセージでした。私達が暮らす日常の中では気がつかなかったであろう微かなメッセージは、生命の時間という貴重なメッセージでもありました。自然に委ねたことから、見えた情景や流れている時を私達は「しるし」と呼んでいます。
ミッシェルが最初に「Sign」「Sign of nature」とつぶやいたのがはじまりでもあります。ひとことに「しるし」や生命の時間という言葉を書いても、理解しづらいかもしれません。
もっと身近なことで例えるならば、落ち葉や木の実。それは自然の育みから起きる最後の時だと考えます。いずれ、それは森の肥料となり、次の種となる。私たちが日夜暮らしている都会の中では、その育みを感じるのは容易ではありません。しかし、自然の山々に足を運んだ時に、その感覚は静かに身体の芯に感じることができるのではないでしょうか。私達はこの研究から、自然の中にある「しるし」を拾いだすことに気づきはじめ、その拾いだしていく感覚と共に記録を残して行くことにしました。
それがきっかけに植物標本を作り始め、その時の情景や感覚、さらに数値、時間もメモしていきました。
ここでひとつ重要なのは、私達の視点です。
研究という課題は探す、視点を変えるというのが主であるかと考えますが、この旅での物語は探すという行動がなくなり、自然の風が吹く、光がさす、そんな情景の中で視点が呼ばれた場所へと足が動いていく。その先に落ちていたものが、自然界が残したメッセージであるかのように、私達の心が揺れ動く。そんな体感をいくつも繰返していきました。その繰り返しにより、ふと気がつくと街中にいても微かに聞こえてくるのは、自然の音や色でした。
これは昔読んだレイチェル・カーソンの「センス・オブ・ワンダー」の中と同じ植物の神秘がそこにあるとお互い確信していたようです。心にとまる時の感覚と、それを手にした時に起こる静かな感動。その体感と共に、私達はこの旅を1年間ほど日本各地へと導かれ、自由に歩き続けました。そして、しるしのカケラを箱に詰めていく、いわゆる「自然標本」は面白い記録として、残すことができたのです。さらに私達は研究標本のほかに、日常で見つけた自然のカケラを先人のメッセージと共に、小さな芸術という「ボタニカル・アート」の植物標本も創りだしました。
その標本の写真に詩を添えて、最初に作った記録という冊子が「Timeless」です。私達が今回の旅をとおして、自然から与えられた視点の記録でもあり、これからの物語のはじまりでもあります。
ここから「小さな芸術を拾いだす」新たな動きがはじまっていくことになるのですが、まだ二人にはその新たな動きには、全く気がついていませんでした。