大人の習い事
本日は、月に一回のバイオリンレッスンの日だった。私がこの楽器を始めたのは約10年前。ある日、急に午後から時間ができた私は、美術館にでも行こうかと、近場の「福岡アジア美術館」へ行った。
だが生憎、その日は休館日で閉まっていた。どこの美術館も大体月曜日がお休みなのに、ここは水曜日が休館日なのだ。うっかりしていた。ガッカリしたが、そのまま帰るのも勿体無い気がしたので、隣の博多リバレインに入って、ウィンドウショッピングして帰ることにした。
リバレインには久しぶりに入ったが、素敵なお店ばかり。見て回るだけでも、十分に目の保養になる。適当にウロウロしていると、何とも魅力的なイタリアっぽい店に遭遇。何屋さんなのかわからず、ウィンドウの張り紙を見たら、「バイオリンの生徒募集中。大人の方も大歓迎」と書いてあった。
窓に近寄って中を覗くと、なるほどピアノや楽器ケースが沢山並べてある。とても気になって、私は張り紙の写真を撮った。漠然と習ってみたいなと思い、帰り道に色々と考える。私は子供の頃ピアノを習っていたが、高校ぐらいでやめた。ある程度習っていた割には大した曲も弾けるようにならず、どうせ大学生になれば弾かなくなるし、と思いやめた。
また楽器を始めたところで、結局挫折してやめてしまえば、楽器代やレッスン代が色々無駄になってしまう、、、と数日考えた。だけど、心のどこかでどうしてもやってみたくて、翌週またあの店に行き、レッスンを申し込んだ。
あれから10年ちょっと。今このお店はもうリバレインに無いし、先生も途中で変わった。しかし、何だかんだ、今だにとても楽しんでやっている。もちろん、子供さんたちのように上手には弾けないし、上達も遅い。
今、ブルッフの「ヴァイオリン協奏曲第一番ト短調」という作品に取り組んでいるのだが、何と私、もうかれこれ9ヶ月もこの曲を弾いている。しかも注意される箇所は毎回同じ。特に1ページ目と2ページ目の、三弦を同時に鳴らす箇所。弓が綺麗に三弦に当たらない。今日もまた注意され、ここばっかり何度も練習させられた。
先生も、毎月毎月同じ事を教えて、何でこの人いつまで経ってもできないんだ?と呆れていると思う。だけど流石、大人を指導し慣れている先生。毎度毎度、私に初めて説明するかのように優しく教えてくれる。
大人になって何か新しい事を始めるのは良い事だ。自分の世界が広がるし、その道のプロを心から尊敬する。物事の見方も深くなる。
私は今や、詳しくはないが、クラシック音楽が大好きになり、小さい物から大きい物まで、コンサートへも沢山足を運ぶようになった。ピアノをやっていた時だって、私は情熱を燃やすことが出来たのに、何故大人になった今の方が練習もレッスンも真剣にやっているのだろう?
よくよく考えたが、それはおそらく「指導者」の違いなのだと思う。今の先生は、日々どういった練習をした方が良いか、上手く弾けない箇所の具体的な練習方法など、沢山アドバイスをくれる。また色んなコンサートの招待券を分けてくださったり、良いテレビ番組があれば教えてくれたり。
指導することを含め、音楽にとてつもない情熱を持っているのが分かる。それに比べると昔習っていたピアノの先生は、本当にやる気のない人だった。事細かに練習しなさいなんて言われたことが無かったし、教室に2台置いてあったピアノの内1台は、素人が聴いても分かるほど長年調律されておらず、洋館に取り残された蜘蛛の巣の張ったピアノ、みたいな音がしていた。
勉強でも趣味でも、良い指導者に出会うことはとても大切だと思う。文字通り導いてくれるから。
私はいつまでこのブルッフ第一楽章を弾き続けるのかわからないが、せめて来月こそは、魔の三弦同時鳴らしをクリアしたい。
さて、このブログを開設してから今日まで毎日更新を目標に書いてきたが、少し投稿のペースを落とそうと思う。実は最近YouTubeへの投稿も始めたため、そちらの作業時間を確保したいのだ。ブログは2〜3日に一度の投稿にしようと思う。
それではまた来月、果たして3弦鳴らしをクリアできたか、書いていきたい。