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そういや今年両親はダイヤモンド婚式

 子供が両親の結婚の馴れ初めを無邪気にたずねることはよくあること。
 そして身も蓋もない答えが返されることもまた、ままあること。

「お父さんは大人になってからおたふく風邪で高熱を出したことがあってさ。自分には子種がないんじゃないかって気にしてたらしいのさ。だから妊娠した私と結婚したんだって。」

 その時父は24才、母23才。私という子を授かり所帯を持った訳である。

「お父さんと一緒に歩いてたらこないだの人と違うねえって言われてさあ。」

笑いながら、聞いてもいないことまで教える母。そして他にもいた女の人には子供ができなかったんだなという事を感じ取る娘、小学5年生。

今思えば「子種って、あんた。」である。

 2人の結婚した年齢を「若いな」と気づいたのは自分が結婚もせずにその年を10も超えた頃だろうか。

そして「若い」ということがどういう意味なのかに気づくのにさらに10年くらいはかかっている。結婚して出産子育てしてる人ならもっと早くに気づいているのだろうが。

 ある時、母の父への愚痴を聞くのに飽きて言ったことがある。

「お父さんが家に帰って来なくなることだってあり得た。でもそうはしなかったじゃん」
「お母さんも私たちを捨てて居なくなったりしなかったし」

急に押し黙る母。そういう気持ちになったことがあったんだなと感じ取る娘、とっくに50代。

「世の中には子供を殺す親もいるのに。」「2人とも偉かったと思う。」

 私も今年の秋には還暦だ。子育て中の人たちは皆私よりずっと若い。

 みんな偉いと思う。










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